日本財団 図書館


精神障害者の在宅看護セミナーの実施結果【後期】
1. 開催概要
1)研修のねらい
(1)精神障害者の看護を実践するために必要な条件を理解し、訪問看護体制を整えることができる。
(2)精神障害者の家族および介護者等への援助技術を理解し実践できる。
(3)精神障害者の在宅看護について自ら評価を受け、自立して支援できる。
2)日程 平成17年10月20日(木)〜22日(土)3日間
3)会場 あいおい損保ビル
4)受講者数 30人
 
2. プログラム
日程 研修内容 講師等(敬称略)
10月20日
・木
9:30〜12:30
●精神障害者の薬物療法と最新医療
・在宅における服薬管理と副作用
・在宅における最新医療管理・処置
医療法人社団翠会成増高等看護学校
専任教員 辻脇邦彦
13:30〜16:30
●精神障害者の家族及び介護者等への支援
・精神障害者の家族の理解
・精神障害者と暮らす家族のアセスメント
・家族や介護者の支援
・近隣、職場、通学施設等関係者へのかかわり
財団法人東京都医学研究機構
東京都精神医学総合研究所
ストレス障害研究部門
主任研究員 田上美千佳
10月21日
・金
9:30〜12:30
●精神障害者の訪問看護実践(意見交換含む)
・精神障害者の支援方法
・精神障害者の社会的能力維持・向上の方法
・精神障害者の援助技術としてのプロセスレコード
聖路加看護大学
看護学部看護学科精神看護学研究室
助手 林亜希子
13:30〜16:30
●精神障害者の訪問看護実践(演習)
・事例検討
聖路加看護大学
看護学部看護学科精神看護学研究室
教授 萱間真美
10月22日
・土
9:30〜12:30
●精神障害者の訪問看護をすすめるための条件整備
・訪問看護ステーション内での24時間ケア提供体制
・医師、訪問看護師、在宅療養者、家族、福祉職等との連携
・緊急時、症状変化に伴う医療機関との連携
・精神障害者の在宅支援チームづくり
医療法人 耕仁会
訪問看護ステーションやまのて
所長 谷藤伸恵
13:30〜16:30
●在宅看護管理とコンサルテーション
・リエゾンナースの役割と活用
・コンサルテーションの必要性と活用
筑波メディカルセンター病院
看護師長 精神看護専門看護師 三ヶ木聡子
 
3. 研修内容
 初日は、統合失調症に対する非定型抗精神病薬を中心とした薬物療法、薬物の効果と副作用の違い、多剤併用大量投与(処方)の問題など、最新情報とともに、看護職であっても薬物の知識と効果をさらに深く理解することの必要性を再認識した。また、家族支援に関しては、家族援助の必要性、時間的経過における家族員の心的態度、訪問看護の特徴と家族援助への期待など家族へのケアの共通ポイントを学ぶことができた。
 2日目は、訪問看護実践として、積極的傾聴の技術や訪問を歓迎していない利用者を訪ねる場合の留意点、さらに、精神的退院前訪問指導における訪問看護師の役割等、具体的技術についての内容であった。午前中の講義を受け、前期セミナー終了後の課題である事例のレースレポートをグループワークで検討した。なお、事例については、講師より語別指導を受けた。
 3日目は、精神障害者の訪問看護をすすめるための条件整備の実際的な内容として、訪問看護ステーションの事例等の話があり、その具体的調整方法や社会資源の活用方法など学べた。最後に、地域で精神障害者を支えていくためには、訪問看護師個人や訪問看護ステーション独自では、抱えきれない問題もあるため、地域の専門看護師や認定看護師を含めた専門的なアドバイザーやコンサルテーションの必要性についての内容で精神障害者の在宅看護セミナーを終了した。
 
4. まとめ
 アンケート結果から、前期の課題レポートの効果は高く、参加目標は「達成された」「まあまあ達成された」を合わせるとほぼ全員が達成できているといえる。
 後期の研修プログラムの特徴としては、事例展開の課題レポートを事前に提出してもらい、研修会を実施したことにより、グループワークでの意見交換がより深いものとなり、自己の事例展開に関する評価も担当講師から個別に受けることができた。大変難しいのと捉えがちな精神障害者の訪問看護について、参加者は今後積極的に取組んでいきたいと希望をのぞかせた。また、現在訪問看護を実施している参加者は、自分自身の看護への確認と自信につながった。
 今年度、初めての精神障害者を対象とした長期の研修プログラムのため、重複した項目や不足した内容等も明確になったために、今後は訪問看護基本療養費IIの算定ができるような、グループ療法等の実践方法を中心にプログラムを構成していく必要がある。
 参加者数が少ないことに対しては、広報活動の範囲を医療機関の訪問看護従事者にも広げ、病院から在宅への継続看護が出来る地域システム作りを念頭において、今後の研修を継続していきたい。
 
5. アンケート集計結果 N=28
(1)職業
 
(2)所属
 
(3)年齢
 
(4)このセミナーを知った媒体
 
(5)講義内容について
1日目(10月20日・木)
「精神障害者の薬物療法と最新医療」
 
「精神障害者の家族及び介護者等への支援」
 
<学びと課題>
・非定型性抗精神病薬の使用が高まるにつれ、今在宅で看ている統合失調の方の病態や生活支援、看護のあり方が少しずつ変化していくかもしれないと感じた。
・薬物療法の現状と看護師の関わり方、訪問看護の当事者と家族の関わりが学べた。
・統合失調症でも回復できることを患者に伝え、治療を続けること。病気を理解し受け入れて行くことが大切であることが分かった。
・家族アプローチは改めて問題点が数々浮かんできた。
・以前より精神病薬の怖さを感じていたため、今回の研修は力強かった。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION