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精神障害者の在宅看護セミナーの実施結果【前期】
1. 開催概要
1)研修のねらい
(1)精神障害者施策の現状・動向と訪問看護の役割について理解できる。
(2)精神障害者の病態と治療・集団療法が理解できる。
(3)精神障害者への全人的ケア・援助技術を理解し実践できる。
2)日程 平成17年6月16日(木)〜18日(土)3日間
3)会場 サイシャインシティ文化会館7階
4)受講者数 41人
 
2. プログラム
日程 研修内容 講師等(敬称略)
6月16日
・木
9:30〜12:30
●精神保健の現状と動向
・精神障害者の実態
・精神障害者の医療及び地域精神保健福祉対策の動向
・心の健康づくり
・心神喪失者等医療観察法
・新障害者プラン等
聖路加看護大学
看護学部 看護学科
教授 萱間真美
13:30〜16:30
●精神障害者の地域生活と自立に向けての援助
・精神障害者の支援体制
医療機関、保健所、精神保健福祉センター、精神障害者社会復帰施設、居宅生活支援事業(ホームヘルプショートステイ・グループホーム)
精神科デイケア・ナイトケア、セルフヘルプグループ、その他
・社会復帰のすすめ方と在宅生活支援
豊島区長崎健康相談所
主事 荻澤健志
6月17日
・金
9:30〜12:30
●精神障害者の病態と最新の治療法
・主な疾患の病態と治療
統合失調症、躁うつ病、アルツハイマー病、アルコール依存症、薬物中毒、その他
・在宅精神科医療の留意点
東京都立墨東病院 神経科
部長 春日武彦
13:30〜16:30
●精神障害者の各種療法
・集団療法、グループアプローチの実際(デモンストレーション)
・生活技能訓練(SST)
国立精神・神経センター
ACT-Jプロジェクト臨床チーム
チームリーダー 土屋徹
6月18日
・土
9:30〜12:30
●精神障害者の在宅看護に必要なアセスメント能力と危機管理
・精神障害者の理解(心身の状態,症状・生活の特徴)
・危機状態のアセスメントと対応
・精神科救急、急性期看護
社団法人 日本精神科看護技術協会
常務理事 仲野栄
13:30〜16:30
●精神障害者への訪問看護技術
・精神障害者との関係形成
・生活援助
・症状コントロールに対する援助
・対人関係調整に対する援助(社会参加含む)
多摩たんぽぽ訪問看護ステーション
所長 千葉信子
 
3. 研修内容
 第1日目は、精神障害者をとりまく対象の理解として、地域精神保健福祉対策の動向についての内容とした。まずは、障害者基本計画に基づく「重点施策実施5ヵ年計画」(新障害者プラン)の進捗状況や心神喪失者等医療観察法、今後の障害保健福祉施策(改革のグランドデザイン案)、平成18年度施行予定の自立支援法の枠組みなど、最新の情報提供が得られた。また、東京都の例として、「精神障害者社会復帰施設と精神障害者居宅生活支援事業の概要」を知ることにより、様々な事業の取組みや施設を知ることができた。
 第2日目は、在宅における精神障害者の対象として、もっとも多い統合失調症の方への理解と対応の具体的かかわり方について知ることが出来た。コミュニケーション技術の詳細を知る機会となった。
 また、ACT-Jプロジェクトの特徴や支援内容について具体的に説明があった。後半では、生活技能訓練(SST)の導入から振り返りまでをグループワークを行うことで体験学習することができた。
 第3日目は、精神障害者の在宅看護に必要なアセスメントと看護技術として、訪問看護ステーションでの実際的な援助技術としてのアセスメント能力や生活援助方法など講義がなされた。訪問看護ステーションからの参加者にもっとも身近な内容となった。
 
4. まとめ
 研修終了後のアンケート結果から、訪問看護師が50%程度であり、病棟看護師、保健師、教育関係者、ケアマネジャーなど、看護職の中でも多岐に渡った参加者構成となった。そのことは、在宅での精神障害者看護への教育的取組みが普及していないことをうかがわせる。講義に関しては、「大半理解できた」「理解できた」が90%以上をしめており、講義への理解度が高かったと言える。特にSST体験学習は集団療法の具体的な方法論として効果的であった。
 さらに、後期セミナー受講のために、在宅等で精神障害者の看護過程の事例展開を課題とし、今回の学びを基に受講者自身のかかわり方や対応の仕方について振り返る機会とした。
 精神障害者が早期に社会復帰するための、制度や地域環境等、問題は多いものの、少しでも今後の訪問看護に生かして生きたいという参加者の意欲を引き出すことができた。
 
5. アンケート集計結果 N=38
(1)職業
 
(2)所属
 
(3)年齢
 
(4)このセミナーを知った媒体
 
(5)講義内容について
1日目(6月16日・木)
「精神保健の現状と動向」
 
「精神障害者の地域生活と自立に向けての援助」
 
<学びと課題>
・地域でのネットワークやシステム作りを行政任せではどうにもならないと改めて感じた。
・支援体制をもっと詳しく把握したい。
・精神障害者の医療及び地域精神保健福祉対策について、具体的な支援方法や施策について理解を深めることができ、精神科訪問看護の専門性を高める必要性を感じた。
・政策が変わろうとする時期であり、古い意識なども変えなければと思った。


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