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精神障害者の在宅看護セミナーの実施概要
1. 目的
 精神障害者が地域での暮らしに適応していくための援助技術を身につけ支援できる。
 
2. 目標
(1)訪問看護ステーションで精神障害者の看護を実施するために必要な条件整備を理解し、体制を整えることができる。
(2)精神障害者の現状・動向とが訪問看護について理解できる。
(3)精神障害者の病態と治療が理解できる。
(4)精神障害者への全人的ケア・援助技術を理解し実践できる。
(5)精神障害者の家族及び介護者への援助技術を理解し実践できる。
(6)精神障害者を支援する社会資源と制度を理解しマネジメントできる。
 
3. 総時間数
60時間(3単位)+課題実習
・講義は15時間=1単位とする。
・45分を1時間計算とする。
 
4. カリキュラム内容
1)精神保健の現状と動向
(1)精神障害者の実態
(2)精神障害者の医療及び地域精神保健福祉対策の動向
(3)心の健康づくり
(4)心神喪失者等医療観察法
(5)新障害者プラン等
2)精神障害者の地域生活と自立に向けての援助
(1)精神障害者の支援体制
医療機関・保健所・精神保健福祉センター・精神障害者社会復帰施設
居宅生活支援事業・精神科デイケア・ナイトケア・セルフヘルプグループ
(2)社会復帰のすすめ方と在宅生活支援
3)精神障害者の病態と最新の治療法
(1)主な疾患の病態と治療
統合失調症・躁うつ病・アルツハイマー病・アルコール依存症
薬物中毒 等
(2)在宅精神科最新医療管理
4)精神障害者の薬物療法と最新情報
(1)在宅における服薬管理と副作用
5)精神障害者の各種療法
(1)集団療法、グループアプローチの実際
(2)生活技能訓練(SST)
6)精神障害者の在宅看護に必要なアセスメント能力と危機管理
(1)精神障害者の理解
(2)危機状態のアセスメントと対応
(3)精神科救急、急性期看護
7)精神障害者への訪問看護技術
(1)精神障害者との関係形成
(2)生活援助
(3)症状コントロールに対する援助
(4)対人関係調整に対する援助(社会参加含む)
8)精神障害者の家族及び介護者等への支援
(1)精神障害者の家族の理解
(2)精神障害者と暮らす家族のアセスメント
(3)家族や介護者の支援
(4)近隣、職場、通学施設等関係者へのかかわり
9)精神障害者の訪問看護実践
(1)精神障害者の支援方法
(2)精神障害者の社会的能力維持・向上の方法
(3)精神障害者の援助技術のトレーニングとしてのプロセスレコード
10)精神障害者の訪問看護をすすめるための条件整備
(1)訪問看護ステーション内での24時間ケア提供
(2)医師、訪問看護師、在宅療養者、家族、福祉職等との連携
(3)緊急時、症状変化に伴う医療機関との連携
(4)精神障害者の在宅支援チームづくり
11)在宅看護管理とコンサルテーション
(1)リエゾンナースの役割と活動
(2)コンサルテーションの必要性と活動
 
5. 単位と評価
1)履修期間
前期:平成17年6月の第3週の木・金・土
後期:平成17年10月の第3週の木・金・土
 
2)履修時間
前期 後期
講義 17時間(765分) 2日間 16時間(720分) 2日間
演習 8時間(360分) 1日間 8時間(360分) 1日間
課題実習 14時間(630分) 2日(前期終了後〜後期開始まで)
合計 63時間(2,835分)
 
3)課題実習課題
・精神障害者の事例をケースレポートとして2例を提出する。
 
4)領域修了課題レポート課題
・在宅精神障害者看護における現状と課題・地域連携
・A4用紙(1200字程度) 3枚以上とする。 (図・表含む)
 
5)評価方法
(1)出席日数
前期3日間 後期3日間それぞれ出席していること
(2)課題実習レポートの提出
提出期限を守れること
課題の趣旨が明確にまとめられていること
(3)領域認定課題レポートの提出
趣旨や目的に応じた結果考察ができていること
※レポートの評価点は、A・B・C・D・Eで採点。D・Eは不合格とする。
 
6. 学習管理
1)管理上の役割
・受講生管理
・カリキュラム作成
・講師依頼
・資料作成
・研修会時の講義内容の把握、受講生の達成度の把握と軌道修正
・レポート評価
・受講生の達成度の評価
・今後の課題と総合評価
2)カリキュラムの準備
3)講師の選考
4)受講生の選考
・免許取得後に通算2年以上の訪問看護領域の実務経験を有すること。またはそれと同等以上の実務経験を有し、それを所属長が証明すること。
・訪問看護の経験を有し、当該領域の経験事例が5例以上ある者。
※ステップ1の受講は必須要件としないが、当該領域に関してステップ1に相当する知識・技術を有する者であること。
・勤務証明書を提出すること。
 
7. 学習方法
1)講義
2)演習
3)課題レポート
4)修得レポート
5)評価基準
5)学習効果評価方法
 
8. 内容の取り扱い
1)カリキュラムの小項目内容は、社会的背景や制度改正に伴い変更する場合がある。
2)研修テキストは、講師により最新情報で資料提示をする。
3)「訪問看護精神障害者の看護」を参考図書として活用する。
4)以下の(1)(2)の対象研修として位置づける。
(1)訪問看護研修ステップ2領域別修了認定証発行
領域:9領域
「緩和ケア」「在宅輸液管理」「痴呆状態にある人への看護」
「呼吸管理」「リハビリテーション看護」「精神障害者の看護」
「難病患者の看護」「小児・障害児看護」「訪問看護経営管理」
1領域60時間以上を修得した者にレポート審査を行い、合格者に「訪問看護研修ステップ2修了認定証」を発行する。
(2)訪問看護基本療養費(II)
(1)指定老人訪問看護を受けようとする精神障害を有する者であって、精神障害者社会復帰施設等に入所している複数のものに対して、それらのものの主治医から指示書の交付を受け、指定訪問看護を行った場合、週3日を限度として算定する。ただし、当該指定老人訪問看護につき老人訪問看護基本療養費Iを算定した場合は、所定額は算定しない。
(2)訪問看護基本療養費を算定する訪問看護ステーションの保健師、看護師、作業療法士は、次のいずれかに該当するものであること。
(1)精神科を標榜する保険医療機関において、精神病院又は精神科外来に勤務した経験を有する者
(2)精神障害者に対する訪問看護の経験を有する者
(3)精神障害福祉センター又は保健所等における精神保健に関する業務の経験を有する者
(4)専門機関等が主催する精神保健に関する研修を修了している者


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