日本財団 図書館


 蛍を3歳の子どもに見せますと、こういうふうに前頭前野の左脳、右脳とも非常に活発に働きます(図9)。これは右脳ですね。このように多分ブローカ野の中枢も働きますから、心の中で「あー」と声を出しているだろうと思います。このように3歳でも自然と触れ合うことがいかに大切かということがこのデータが物語っています。
 
図9  ホタルを見ているときの脳活動
上段:正面 中段:右脳 下段:左脳
 
 これはテレビのアニメです(図10)。これもほとんど脳のネットワークが働かないですね。特に前頭前野に関しては働きが悪い。視覚領域、あと頭頂連合野、空間位置に関係にしているような場所は働いていますけれども、漫画よりはアニメーションのほうが少しはよいようです。
 
図10  アニメを見ているときの脳活動
上段:正面 中段:右脳 下段:左脳
 
 これはケータイメールの例です(図11)。これはほとんどが働かない。左のこういう所はちょっと働きますけれども、特に言語系のネットワークは働いていません。指の領域、こういう所は働きますけれども、他の領域はほとんど働きません。
 
図11  ケータイメール中の脳活動
上段:正面 中段:右脳 下段:左脳
 
 これはパソコンの例です(図12)。パソコンは私も13台ほど使っていますけれども、やっぱり注意して使っています。最初一番上は安静状態で、左右の前頭前野がよく働いています。時系列的にはこのように時間が進んでいます。これは1分目ですね。最初は、間違えないように注意していますから左右とも働いています。これが15分経過しますと全体的に活動が低下してきます。特に右側の活動が低下しています。下が20分です。30分40分たちますとさらに低下します。ですからパソコンを使っても4、50分ですね。それをめどに休みを必ず入れることが大切です。そのほうが効率がよいと思います。ただ数字を打ち込むだけなら機械と一緒ですから、前頭前野を使わなくてもいいわけですから、その場合はよいと思いますけれども、ものを考えたりするような場合はちょっと駄目だということになります。
 
図12
 
 ゲーム脳タイプですけれども、ゲーム脳タイプになりますと前頭前野は、ほとんど働かないようです。これは真上からのスライドです。ここがおでこです。これが右脳で、これが左脳です。手の領域は働いていますけれども、左脳、右脳、正面から見てもほとんど働いていないです。このようにゲーム脳になると、働きが非常に悪くなる。ですから本を読んでも脳のネットワークが働かない。ワーキングメモリーも働かない。ですから覚えることが難しくなるということです。
 これはベートーベンの田園を聴いているときのスライドです。よく言うんですけれども、私は2年前までは音楽嫌いだったんです。それはちょっとトラウマで、小学校3年生の時に学芸会の代表選考がありまして、「森さん歌いなさい」と言われて、教壇の前で歌わされましてはずされたんです。そのショックで音楽が大嫌いになりました。しかし2年前、脳の研究で音楽の効果ということで調べたところ、脳が非常によく働くんです。特にこの右脳の前頭前野、ここが室音楽と言われる場所です。ここが非常によく働くんです。ですから、ここが壊れると音楽の表現ができなくなるといわれています。これがよく働くということが分かったのです。あとでその動画をお見せします。
 モーツァルトの場合はどうかというと、これは視覚領域で、後頭部の視覚領域や側頭連合野が働くんです。ですからイメージができやすく、風景などが起想されやすいのだと思います。そういうものがモーツァルトの特徴だろうと思います。
 そこでちょっと動画をお見せしたいと思います。これは世界で私しかやっていない方法ですが、これは500分の1秒刻みで脳の働きを見ているんです。室音楽の場所というのは、ちょうど運動連合野に関係したこの辺の場所です。これが非常にきれいに働きます。田園という曲を聴いているときに前頭前野、室音楽が反復して働いています。このように働くということで分かったんです。
 手塚治虫さんが「火の鳥」と言う作品を作っている時は、「田園」かどうか分からないですけれども、必ずベートーベンを聞いて作品を作っていたといわれています。そのようなことから、前頭連合野を含めて、非常に活性化するということです。音楽というのは脳を、特に前頭前野を含んだ前頭連合野を活性化するという意味では、非常にいい効果を持ちます。
 それから、これはビジュアル脳タイプの人の脳の働きを動画化したものです。やはり、500分の1秒刻みでの安静状態です。左右とも前頭前野が、非常によく働いています。赤い色ほど活動性が高いということです。こちらほど高いわけです。
 このように、ビジュアル脳タイプは、安静状態では右脳、左脳とも、こういうふうに活性化しています。しかし、ゲーム中は右前頭前野の働きは低下してしまいます。これは読書をさせますと、視覚野、それから角回、ウェルニッケ、ブローカ、そして前頭前野が働いています。これは500分の1秒刻みで脳の動きをみているわけです。このようにネットワークというのが脳の中で働いているわけです。これは、ボケてから本を読んでも駄目なんです。このネットワークが働きません。ですから、普段から本を読むことがよいと思います。非常に左、右とも活性化しています。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION