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4.2.8 会議のまとめ
 当財団では、平成14年度に構築した「地域の海洋環境貢献活動(SOFモデル)」を、平成16年度までの3年の間、全国11ケ所の活動拠点において活動を実施してきたが、地域の活動を立案し計画・実施まで直接携わってきた地域の方々が、今後もより良い形で継続的な活動を進めてゆくことを願い交流会議を開催した。
 この交流会議は、北海道から沖縄まで全国9地域の地域活動担当者が、活動の紹介と実施状況の発表を行い、その内、5名の発表者が参加して「地域活動の広がりへの期待」をメインテーマにデスカッションを行い、環境チケット(地域通貨)、情報交換、活動の継続・自立等について意見交換を行った。以下に、本交流会議で発言された主な内容を記す。
(環境チケット〈地域通貨〉について)
・環境チケットをきっかけとして、地域活動への参加、助け合いの気持ちの芽生え、環境活動参加へのメリットの授受等、子供たちにも解りやすい環境への関わり方等が、地域住民に伝わり、自分達が協力し合って地域の環境を大切にする活動へのツールとしての役割がある。
 すなわち「人が自分から動いて行くときの一つの小さな道具立て」として使われている。
(情報交換について)
・現在、各活動地域の交流、情報交換等の場が無く、SOFが仲介役となっているが、今後も出来るだけ多様な人々が集まり、アイデア、意見等を出し合える場が必要である。
(活動の継続、自立について)
・地域の指導者がトップダウン的に進める「活動」ということでは無く、地域の人々が自発的にボトムアップで進めて行ける「運動」としての地域活動が必要である。
・全国共通に使える環境チケットシステムや、環境チケットをバックに地域活動組織に与信力・担保力が与えられる様な、全国的なサポート体制を作ることが望まれる。
(ネットワークについて)
・ネットワークは作るものではなく出来るものであり、みんなで協力しあい助け合って求心力を持つ様な、全国的サポート組織の立ち上げが必要である。
 
 本交流会議で、「地域の海洋環境貢献活動」が継続的な広がりを持つこととして望まれたことは、環境チケットの広域的な活用の必要性と、同じ様な目的を持った方々が活動を発展させてゆくためのネットワーク作りであり、そのためにはSOFが何らかの形で窓口となることが重要と考える。
 本交流会議は、地域で活動されている方々の初めての情報交換の場として成功裏に終了したものと思量する。
 
ゴミ問題に取り組む地域社会−循環型の継続的活動を目指して−
交流会議参加者一覧及び参加者のコメント
1. 参加者数
官庁 団体 企業 研究所 大学 マスメディア その他
28
26
30
7
6
5
39
141
 
2. 参加者内訳(順不同)
○官庁等
国土交通省、海上保安庁、水産庁、岩手県庁、山形県庄内総合支庁、神奈川県庁、石川県羽咋市、和歌山県庁、長崎県東京事務所、大分県庁、岡山県東京事務所
○団体
(財)日本海運振興会、(社)海洋水産システム協会、(財)地球科学技術総合推進機構、社会貢献支援財団、(財)国際海洋科学技術協会、日ロ交流協会、(財)港湾空間高度化環境研究センター、(社)日本海難防止協会、(財)国際海洋科学技術協会、米国財団法人国際平和文化センター、(財)日本海事協会、(財)日本海事広報協会、船の科学館、日本船舶輸出組合、(社)日本舶用工業会、(社)日本造船協力事業者団体連合会、(財)吟剣詩舞振興会、(社)日本海事検定協会、(社)海洋産業研究会、(財)環日本海環境協力センター、日本環境災害情報センター
○企業
住友重機械マリンエンジニアリング、芙蓉海洋開発(株)、東亜建設工業(株)、コスモ石油(株)、住友重機械工業(株)、国土環境(株)、共和コンクリート工業(株)、(株)商船三井、五洋建設(株)、商船三井テクノトレード(株)、(株)久栄インターナショナル、JFEソルデック(株)、古野電気(株)、(株)三菱総合研究所、(株)オズクリエーティブ、ユニバーサル造船(株)、東洋建設(株)、(株)タナカ・マックコーポレーション、三井造船(株)、共和コンクリート工業(株)、(株)日本海洋科学、エスケイ産業(株)、ソーラージャパン(株)、(株)ディプロマット、(有)光泉、みらい建設工業(株)、エンヴィックス(有)、エスケイ産業(株)、(株)タイリョウエンタープライズ
○研究所
海上技術安全研究所、航海訓練所、海洋研究開発機構、(株)海洋総合研究所、(財)日本システム開発研究所、NTTデータ経営研究所、コリン未来学術研究所
○大学
日本大学、専修大学、東京学芸大学、東北公益文科大学、広島大学、筑波大学
○マスメディア
みなと新聞、海事プレス社、日本海事新聞社、海上保安新聞、(株)舵社、
○その他
サンクチュアリジャパン、フリーランス環境技術コンサルタント、NPOブルーアース、NPO日本ウミガメ協議会、南方町産業振興大使、日本サーフィン連盟、オーシャンファミリー海洋自然体験センター、藤野技術士事務所、海辺つくり研究会、フリージャーナリスト、個人9名
 
3. 参加者のコメント(原文のまま)
1)日本海沿岸を訪問した際に、我が国のゴミと考えられるものより、ハングル語、中国語の書かれたゴミがかなり多く残念に思いました。周辺諸国との連携が必要な重要な問題と認識しています。
2)当県でも、海洋環境保全への啓発を目的に、沿岸域においてシンポジウムの開催や、学校への研究者派遣による授業などに取り組んでいます。全国各地域で取り組まれている具体的な活動について、発表をお聞きし、勉強させて頂きたいと思っております。
3)いつも海洋フォーラムを楽しみにしています。今回も海洋ゴミについての興味ある話題で、大変期待しています。
4)非常に対応が難しい問題であるだけに、ブレークスルー的な対策に興味があります。
5)私たちは、遠州灘海岸115キロをフィールドにしてアカウミガメやコアジサシなどの野生生物の保護活動を通じて海岸環境の保全活動を行っています。
 今、遠州灘海岸は、海岸への車両乗り入れやゴミ問題、人工紫外線問題、浸食問題、海岸近くに埋められた30年前のゴミの流出問題などが山積みしています。次世代に豊かな海事環境を伝えられるように勉強させてください。
6)幣NPOは「環境保全」を目的に設立し、「美しい海を守る」活動を事業の一つとして取り組んでいます。
7)当日、昼前より所用のため午前に出席させて頂きます。瀬戸内海でも漂着ゴミに対する活動が次第に進みつつあり参考にさせて頂きます。
8)漂流漂着ゴミの国際協力と対策のあり方、アプローチについて情報を入手したい。
9)何がゴミか、というところが大切かと思います。生態系、物質循環などもふまえて、議論を進めていただければ幸いです。
 
5. 海洋ゴミに関する技術的取り組み
5.1 海洋ゴミ集積技術について
 海洋ゴミ集積技術に関しては、平成15年度に世界の海洋ゴミ集積機械に調査を実施した結果(平成15年度報告書参照)、海浜清掃装置としては、砂浜専用のビーチクリーナ又は、農耕用のトラクターに専用のアタッチメントを装備し流木等を回収する機械がほとんどで、清掃をする海岸は砂浜等の平坦な場所を対象としており、人は入れないような岩場や岩礁地帯を対応したゴミ回収機械は世界的に見ても見あたらない。
 台風や荒天時に大量に漂着する海洋ゴミは、自治体が民間業者に委託して専用の海浜清掃機械やブルドーザー、ショベルカー等の機械により清掃を行っているレベルに限られ、岩場、崖等の岩礁地帯のゴミは、放置されているのが実情である。しかし、多くの岩場や岩礁地帯は、海岸線の中でも日本的な美しい風光明媚な景勝地にあり、陸から海を見下ろすと岩礁の隙間に大量のゴミが堆積・散乱している風景問題である。そこで、岩礁地帯の清掃用のロボットシステムの取りまとめを行った結果を記す。
 
5.1.1 岩礁域回収システムイメージ
 岩礁地帯での問題点としては、(1)足場が不安定な不整地(2)機器の運搬が困難(3)回収したゴミの運搬も難しいという点である。そこで、そのような問題を解決する為、不整地走行が可能な多足マニピュレーターによりバキューム吸引ホースを移動させ、ゴミを吸引・回収するシステムについて検討する。バキューム車を利用する事により、運搬設備の整わない岩礁地帯でもスムーズなゴミ回収作業が可能であるが、バキューム車が入れない事も考慮し、減容装置という展開も含め検討した。
(1)システムイメージ(1)(図5.1.1参照)
 マニピュレーター式の回収車(不整地走行ロボット)にてゴミを回収し、バキューム車にて吸引し処理場まで搬送するシステム
(2)システムイメージ(2)(図5.1.2参照)
 クローラ式の回収車にてゴミを回収し、バキューム車にて吸引し処理場まで搬送するシステム
(3)システムイメージ(3)(図5.1.3参照)
 ベーラ又は、マニピュレーター式の回収車にてゴミを回収し、減容するシステム
 
図5.1.1 マニピュレーター式の回収車+バキューム
 
図5.1.2 クローラ式の回収車+バキューム
 
図5.1.3 回収車+減容ロールベー


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