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関連する発展
 海洋安全保障協力に向けての能力構築の考えは、同地域において決して新しいものではない。とくに日本海上保安庁(JCG)は近年、地域の海洋保安部隊とともに海上でのトレーニングや訓練を行いながら東南アジアを中心に能力構築に積極的に取り組んでいる。JCGはまた、日本にあるトレーニング機関で外国人のトレーニングを行い、マレーシアとインドネシアに対してその沿岸警備隊の発展について援助し、2004年7月1日に発効したSOLAS/ISPSコードの実施を後押しする港湾保安セミナーを東南アジア諸国で開催している。
 
 JCGは、アジア海上保安機関長官級会合(2004年6月、東京)で取決められた「アジア海洋安全保障構想(AMARSECTIVE 2004)」6と、その後に取決められた「アジアにおける船舶に対する海賊行為・武装強盗撲滅のための地域協力協定(ReCAAP)」7の発展に向けて主導的役割を果たしてきた。全ASEAN諸国、日本、中国、韓国、インド、バングラディシュ、そしてスリランカはReCAAPのもと、地域水域における船舶に対する海賊行為・武装強盗を防ぐための情報ネットワーク作りと協力体制作りに取り組んでいる。海賊行為と船舶に対する武装強盗に対抗するための地域協力基盤を提供するReCAAPは非常に大きな功績である。「船舶に対する武装強盗」8について正式な定義を下し、シンガポールに設置が予定された情報交換センター(ISC)の設立を規定している。
 
 アジア太平洋経済協力(APEC)会議ではこれまで、能力構築について数々の構想が取り上げられてきた。APEC高官は2003年2月に、「テロ対策行動計画(CTAP)」を支持した。貨物の安全確保、輸送中の人身保護、国際航海に従事する船舶の安全確保、国際航空の安全保障、テロ行為への資金の流れを止めること、サイバーセキュリティの強化、エネルギー供給の安全確保、地域社会の衛生管理のために、CTAPは、具体的な目標とAPEC経済が期待する成果を列挙している9。CTAPは、その実施の成功のためには、能力構築とその必要性を評価することが不可欠であることを認めている。全APEC加盟国に対し、能力構築のニーズを明らかにすること、および能力構築の分野で他のAPEC加盟国に提供できる専門的知識・技術は何かを説明することを奨めている。
 
 APECによって考案された「APEC域内における安全な貿易(STARイニシアティブ)」は、船舶・貨物保護を規定し、船舶・港湾保安計画の導入を促進し、同地域における船員配乗機関の認定を規定し、海賊撲滅にあたって協力を促し、海上検知装置・技術について規格を設定し、海上交通路(SLOCs)の安全などエネルギー保安に特別な注意を払うものである。2003年2月にバンコクで開催された第1回STAR会議では、同プログラムを成功させるうえで欠くことのできない要素として、政府の制度上の能力強化の必要性に言及した。
 
6 "Coastguards adopt Amarsective 2004", The Star online, Monday June 28, 2004.
7 "Asian nations band to fight piracy", The Straits Times (Singapore) online, November 13, 2004.
8 ReCAAP第1(2)条からの引用「この取決めにおける「船舶武装強盗」とは以下の行為を意味する。
(a)締約国の管轄区域の中で船舶または乗船者または船上の財物に対して私的な目的で行われる不法な暴力/抑留行為、略奪行為。
(b)船舶武装強盗の目的に供されることを承知のうえで船舶の運営に自発的に参加する行為。
(c)従属節(a)または(b)に記載された行為を教唆扇動する、または故意に助長する行為。
9 Asia-Pacific Economic Cooperation (APEC), Submission to United Nations Counter Terrorism Committee Meeting, Washington, 7 October 2003(2003年9月18日付)(www.apec.orgにて入手可能)
 
 APECでは、主に運輸作業部会(TPTWG)と海洋安全保障専門家グループを通じて海洋安全保障が扱われている。海洋安全保障専門家グループは、8月16〜20日にバンコクで開催された第24回TPTWGで、「船舶と港湾施設の国際保安(ISPS)コード」のもとでのトレーニングと、海洋安全保障分野におけるAPEC経済圏の能力構築ニーズについて議論した。これに先駆けて2003年9月8〜9日にマニラで開催された「海洋安全保障協力におけるAPEC高官レベル会議」では、海洋安全保障措置実施の関係でAPEC経済圏に求められる能力構築を示唆する指標のリストが作成され、そのリストを国際金融機関に提出することで合意した。チリのサンティアゴで先ごろ開催されたAPECサミットでは、ブッシュ大統領ほか6名の首脳が、ISPSコードの遵守にあたって技術援助や助成金(2005年より提供)を通じてAPEC加盟国を援助する「ISPSコード実施援助プログラム」を立ち上げた10
 
 今年の初めに米国でスタートした「地域海上安全保障構想(RMSI)」もまた、能力構築について大きな意味合いを持つ地域的取り組みである。RMSIは、マラッカ海峡とシンガポール海峡に接する沿岸諸国に当該海峡を通過する船舶・海上貿易の安全を守る力が十分に備わっていないとする米国の懸念に端を発したものである。これは安全保障にあたって米国からのある程度の働きかけを前提とするものだが、とくにマレーシアとインドネシアの側での主権問題が原因となり、少なくとも当初は同地域で十分な理解が得られなかった。RMSIの骨子となるのは状況把握、情報共有、意志決定構造、そして省庁間協力の向上である11
 
10 Office of the Press Secretary, The White House, "FACT SHEET: U.S. Actions on the APEC Leaders' Meeting: Ensuring Security, Promoting Prosperity", Washington File, November 21, 2004.
11 ADM Tom Fargo USN, Commander, US Pacific Command, Address to MILOPS Conference in Victoria, British Columbia, 3 May 2004, pp. 3-5(ウェブサイト:
 
旗国の責任
 海における法と秩序の崩壊と海洋安全保障にとっての脅威は概して、一部の旗国が、自国の旗を掲げる船舶が海で違法行為を行ったり、テロリストの目的に利用されたり、大量破壊兵器(WMD)やその関連物資の輸送に利用されたりした場合に、UNCLOS第94条に従って自らの責任を果たしていないという事実にまでその原因をたどることができる。これは海上で行われる事実上すべての犯罪に当てはまることだが、とくに違法漁業、麻薬や武器の密輸、環境破壊、密入国などの背景にはこのような事情がある。これらの犯罪を行う船舶は通常、無国籍船ではなく、旗国の管轄権のもとで登録された船舶である。国旗を掲げない船舶や複数の国旗を使う船舶は無国籍船と同一視されるため、公海上では他国の政府船舶がこれを抑留し取り調べを行うことができ、他国の排他的経済水域(EEZ)の中でもおそらくこれを抑留し取り調べを行うことができ、取り調べを行う船舶は国家責任を負わない12
 
 旗国責任に関する地域協定は可能かもしれないし、「船舶登録条件に関する国際連合条約」および「保存及び管理のための国際的な措置の公海上の漁船による遵守を促進するための協定」の批准を関係地域諸国に奨める取り組みも可能かもしれない。この地域協定の中では、旗国とその旗を掲げる船舶との「真正の連関」の原則を尊重すること、そして違反の疑いがある船舶について調査を行う承諾を与えるための準備を盛り込むといいだろう13。いくつかの国際条約では、禁止された活動に従事している疑いのある船舶に対して調査を行うための合意を旗国に求めることができる規定をおいている。これは、疑いが持たれる船舶が、公海上、調査国の排他的経済水域(麻薬取引や人身売買などEEZでは管轄権が適用されない犯罪は除く)、または第三国の排他的経済水域にある場合である。
 
 調査を行う許可を旗国に求めることになっている国際条約では、その許可は通常速やかに与えることになっている。こうしたことは合理的な要件と一見思われるであろうが、それに伴う手続きによって調査は遅れたり、妨げられたりすることがある。旗国の許可を求める必要がなく自動的に相互の調査権限を認めている主要な条約に基づき、二国間協定または多国間協定により調査の迅速化を図ることができるだろう。それには関係国間の強い信頼が要求されるし、法執行機関による情報共有や共同訓練など、場合によっては信頼作りのための効果的措置を事前に実施する必要があるだろう。
 
 この乗船検査の問題は、「拡散に対する安全保障構想(PSI)」の実施および大量破壊兵器(WMD)やその関連物資の輸送について疑わしい船舶を海上で阻止するための手続きに伴い生じている。米国が準備したこの計画は、大量破壊兵器拡散が投げかける難題への対応に向けて意欲を示すパートナー国の連携を目指すものである。PSIの正式加盟国は2004年8月の時点で18ヶ国(コアグループ)を数えたが(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、スペイン、ロシア、イギリス、米国)14、すでに16ヶ国余りが同構想に対する支持を表明している。PSIには一連の原則が盛り込まれており、「拡散懸念」のある国家主体または非国家主体を行き来する大量破壊兵器の輸送を阻止するための具体的手順を明確にしている15。そこには、米国とその同盟国が大量破壊兵器/関連物資の輸送の疑いがある船舶に乗船し、捜索を行えるようにするための新しい国際協定が盛り込まれている。米国およびリベリア、パナマおよびマーシャル諸島との間では、当該諸国の旗を掲げる船舶への乗船を認める乗船検査協定がすでに調印されている。他の主要旗国との間でも同様の協定が模索されている。
 
12 UNCLOS第92(2)条。その船舶は国籍を持たない船舶と推定されるため、国籍主張の規則は満たされず、影響を受ける国は国際法に基づく請求を主張できない。
13 UNCLOS第91(1)条は旗国とその国旗を掲げる権利が認められた船舶との間に「真正の連関」の存在を要求する。これは旗国、とくにオープン登記簿を持つ旗国(便宜船籍漁船)に、自国の国旗を掲げる船舶の条件や乗組員配置に対する適正管理を徹底させるために考案された。
14 The Ministry of Foreign Affairs of Japan, "Japan to host the Proliferation Security Initiative Maritime Interdiction Exercise", August 2004,
15 PSIのための阻止原則声明は米国務省のウェブサイトで入手できる。
 
「海を護る」に向けての能力構築
 海の安全を守る国と地域の能力を拡大することは、政治的・社会的意志を築きあげ、さらには制度上の取決めと法律上の枠組み作りを助成することにつながるだろう。本論文ではこれを踏まえ、海の安全維持と海洋環境・資源保護に包括的に取り組み、さらに「海を護る」というコンセプトを国家レベルと地域レベルで効果的に実現するうえで関係地域諸国に求められる能力を明らかにする。
 
国家レベル
 
制度的取決め
・海洋安全保障と海の安全のあらゆる局面について政策の策定と実施を担当する公共部門省庁。責任を明確化し重複を避ける。
・海洋保安部隊と法執行機関(場合によっては海洋での捜索・救助能力も含む)
・情報の収集、分析、普及のための取決め、および海洋安全保障の脅威に関するリスク評価のための取決め
・政策、運営機関、諜報機関をひとつにまとめる国家レベル(および州レベル)の海洋安全保障委員会または海洋安全保障対策委員会
−州レベルでも必要かもしれない
−諜報・技術分科委員会を含むこともある
・情報センター(国のフォーカル・ポイント、地域調整センター、海上救助調整センター、情報共有センター)
・海の安全と保安に関係する公共・民間部門間協力のための取決め
 
法的枠組み
・海洋安全保障のための法規制:
−調査、逮捕などを行うための法的権限を有する実体を明らかにする。
−違法行為に対する管轄権を確立し罰則に取り組む。国家レベル・多国間レベルの協力に向けて手順を確立する。
−刑事手続きと身柄引き渡し手続きを強化する。
−訴追手続きを強化する。
・海洋安全・保安関係機関間の相互支援・協力に関する覚書(MOU)その他の取決め
 
資源
・国の管轄権下にある水域、ならびに当該水域に通じる経路での偵察、パトロール、対応のための国家機能(船舶、航空機およびシステム、状況に応じて地上レーダー、AIS取り調べシステムおよび偵察衛星を含む)
・しかるべき教育とトレーニングを受けた人材
・隣接する海域で状況を把握し、港湾の安全を向上させるための新技術
・財源
 
地域レベル
制度的取決め
・国家レベルのフォーカル・ポイントで既存の協力関係を明らかにし、強化し、改善する。
・情報収集・交換に関する地域/準地域レベルの取決め
・海上境界線付近の海で発生する活動や境界線をまたぐ活動に関する共通の施策を含む、近隣諸国間の国境警備取決め。
・関係機関の協力関係を築き、アジア地域における海洋安全保障について情報を分かち合うアジア沿岸警備機関長官級会議。「沿岸警備機関の長官」とは、海賊行為や船舶武装強盗、海上テロ行為を含む海での違法行為に対抗する法執行活動を実施し、そのような攻撃を受けて海で遭難する人/船に支援を提供する関係機関の「長官または副長官」を意味する。16
・西太平洋の海軍が集う「西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)」。2004年11月にシンガポールで開催された前回のWPNSでは、地域安全保障訓練の可能性を検討した。
・シンガポールのReCAAP情報共有センターは、海賊行為や船舶武装強盗についてデータを収集、分析する重要施設となるだろう。
・業務上船舶汚染事故を地域レベルで把握し、訴追を成功させるための証拠処理に関する監視・偵察レジーム。
 
16 アジア沿岸警備機関主席会議(2004年6月18日、東京)にてAMARSECTIVE 2004採択。バングラディシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、大韓民国、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムの沿岸警備機関主席が出席。
 
法的枠組み
・逮捕、調査、継続追跡権、訴訟と身柄引き渡し、証人の交換、証拠の共有、質疑、押収、そして海上犯罪で得た収益の没収などを促進する多国間/二国間の法的取決め。
・海洋境界の合意−関係地域諸国は迅速に行動し、今ある境界の問題を解決することにより、該当する区域において海洋管轄権を正しく行使できるようにするべきである。境界の問題を解決できない場合は、境界交渉における自らの権利を侵害することなく、紛争区域において暫定的な海洋安全保障取決めを締結する準備を整えるべきである。
・境界警備や連携海上パトロールを含む近隣諸国間の覚書(MOU)またはその他取決め。さらに発展して、近隣諸国は互いの国の法律、規則、規制などを互いの国の管轄下で執行することに同意できるかもしれない。例えば、ニウエ条約は太平洋島嶼国のための相互執行レジームを規律する。
・近隣諸国間の国境警備に関する取決めでは、海上境界線の近辺で行われる一定の活動や境界線を越える活動について、それぞれの国が共通の施策に合意できるかもしれない。
・海事に関する各国の国内法規則を可能な限り調和させること。
・国際義務に対する理解を深め、遵守を徹底するための技術協力
・「石油汚染災害時における公海への干渉に関連する国際条約」の当事者にあたる近隣諸国の二国間協定で、条約の内容を排他的経済水域にまで拡大することを検討する。そうすれば、船舶に起因する海洋汚染の影響緩和を促進できるだろう。
・旗国責任に関する地域協定は可能かもしれないし、「船舶登録条件に関する国際連合条約」の批准を関係地域諸国に奨める取り組みも可能かもしれない。主たる条約のもと、一連の二国間条約や多国間条約の中で相互乗船検査を盛り込み、旗国の許可を求めずとも調査の相互権利が自動的に与えられるようにするといいだろう。
・資源や環境に関係する違法行為とは別の違法行為について、排他的経済水域の中で公海上での執行原則を適用する共通の合意。
 
資源
・トレーニングプログラム。海上での海賊行為と武装強盗、その他越境犯罪にともなう法施行と情報共有にあたって協調・連携を高める。
・共通の運営・報告手順の整備、執行職員のトレーニング、法的手続きと義務に対する意識の向上、執行ガイドラインの作成、ハイリスク領域を特定する共同研究などを含む、海洋汚染抑制にともなう協力活動。
・地域レベルで海の状況を把握するための情報共有・普及手順。具体的な協力分野は次の通り。
−海洋安全保障を扱う国内法制の地域データベース(インターネットでアクセス可能)
−国内・国際法に違反する船舶の地域登記簿
−協力機構、関係条約の現状など、地域の海の法秩序について情報・データを伝えるウェブページ
・戦術的・運営的レベルで調整のとれた対応手順
・国際金融機関からの融資や協定加盟政府からの寄付によって得られる財源
 
結論
 要約すると、「海を護る」の実施に向けた能力構築にあたっては次の事柄を検討すべきである。
・制度上の取決め。国家レベルでは、海洋安全保障に関する各庁間の責任分担と、意志決定構造と、指揮統制・通信・コンピュータ・偵察・諜報(C4SI)を含む庁間連携手順を備える官公庁。二国間・多国間レベルでは、情報共有手続き、運営調整、状況把握の促進を含む。
・法的枠組み。海の安全を脅かす危険を取り上げ、関係国際条約を実施するための国内法制が必要である。地域レベルでは、当該地域内のそれぞれ異なる法制度が許す範囲でできる限り海洋関係法の調和を図るべきである。さらに、海の安全を脅かす危険への対応にあたって地域の限界を取り除く地域協定など、協力を徹底するための地域・準地域協定を検討する。
・資源。海の安全を保証するには財源と物資(船舶、航空機、C4SIシステム)と人材が求められる。国家レベルと地域レベルの両方で協力が可能な環境を作るには、共同のトレーニング・教育プログラムが大切である。財源不足は能力構築にともなう大きな問題であり、国際・地域金融機関に対する協調的アプローチの必要性を示唆するものである。
 
 本論文で明らかにした能力の多くは、とくに地域レベルで求められる能力は、今のところ、同地域において政治的に実現可能な範囲を遥かに超えている。目下の課題は、「海を護る」の実現に向けてなすべきことは何かを明らかにすることである。それはとくに「海を護る」の理解を深めるトレーニングと教育の分野で、海の安全保障要求について意識を高める基礎作りとなるだろう。トレーニングと教育においては、主要な法体制を理解すること、そして国家レベルと地域レベルの両方で海洋安全保障に携わる各種機関のコミュニケーションと連携の大切さを理解することが重要である。
 
 日本の海上保安庁のアウトリーチ・プログラム、アジア海上保安機関長官級会合と「アジア海洋安全保障構想(AMARSECTIVE 2004)」、そして「西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)」が予定する活動は、達成可能な好例である。次のステップは、これらの成果をより高い政治的枠組みにまで高めることで、今のところ同地域に欠けている政治的意志と海洋安全保障の概念へのコミットメントを築きあげることだろう。ASEAN地域フォーラム(ARF)やASEANプラス3はその土俵になるかもしれないし、APECもまた、その加盟国の範囲はすこぶる広く、現時点における活動焦点は「海を護る」が構想する運営的活動ではなく、港湾、船舶、貨物の安全保障ではあるが、次のステップに向けての土俵になるかもしれない。これらの地域フォーラムで扱われる各種の海洋安全保障概念の橋渡しをすることもある意味ひとつの課題ではあるが、それらの概念は「海を護る」のもとで一元化される。


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