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平成十六年度全国剣詩舞コンクール決勝大会
幼少年の素晴らしい演舞に驚嘆の声
 
■平成十六年九月十二日(日)
■笹川記念会館国際ホール
 
財団を代表して挨拶する河田和良会長
 
審査結果を発表する入倉昭星総合審査委員長
 
審査講評をする石川健次郎総合審査委員。壇上は大会役員の皆さん
 
 今年も北は北海道から南は九州まで、日本全国から栄冠を目指して、笹川記会館国際ホールに各地の厳しい予選を勝ち抜いた剣詩舞合わせて一二七人の皆さんが集まりました。鈴木吟亮専務理事が開会を告げ、国歌斉唱、財団会詩合吟とつづき、河田和良財団会長が出場する皆さんに日頃の精進を発揮して、全ての力を出し切るように励まされたあと、平成十六年度全国剣詩舞コンクール決勝大会の幕が、緊張感の中、静かに開きました。
 コンクールは午前中に剣詩舞の幼年の部、少年の部、青年の部が行われ、午後からは一般一部と二部が審査されました。
 今回は特に幼少年の部が素晴らしく、剣舞幼年の部では一番手である野中政利(栃木)くん以下、七番手の松本勇斗(福岡)くんまでが幼年らしいはつらつとした、元気で可愛らしい剣舞を披露してくれました。少年の部は八番手、梅本綾香(岡山)さんから十七番手の五月女智仁(栃木)くんまで演技者の力に大きな差がなく、切迫した舞台が続きました。詩舞も剣舞に劣らず、素晴らしい舞台が続きました。幼年の部では二十九番手、竹内美歌(福岡)さんから三十五番手、山中祥太(兵庫)くんまで、少年の部では三十六番手、岡田祥歌(埼玉)さんから四十九番手、田辺文(兵庫)さんまで、それぞれが持てる力を出し切り、甲乙つけがたい白熱の舞台で、訪れた剣詩舞愛好家の目を楽しませていました。青年の部では剣詩舞とも、各演技者の若さあふれる、充実した舞台を楽しむことができました。また、一般一部、二部では、ベテランならではの味わい深い演技を満喫することができました。
 接戦が続く決勝大会にあって、見事栄冠を手にしたのは、剣舞では幼年の部が加賀裕人(愛知)くん、少年の部は藤野綾(福岡)さん、青年の部は伊藤武(愛知)さん、一般一部では鈴木文枝(愛知)さん、一般二部では加藤政恵(愛知)さんでした。詩舞では幼年の部が高須巳嘉(岡山)さん、少年の部は三宅絢子(岡山)さん、青年の部は鈴木宏実(愛知)さん、一般一部では上岡治生(三重)さん、一般二部では菅原かよ(東京)さんでした。愛知、岡山勢の強さが際立っていますが、久々に東京も優勝して、関東勢にも活気が起こっていました。
 
河田大会会長から会長賞優勝トロフィーを受ける詩舞少年の部優勝者・三宅絢子さん
 
工藤龍堂実行委員から文部科学大臣奨励賞を受ける詩舞青年の部優勝者・鈴木宏実さん
 
 石川健次郎先生による講評では、
●幼少年の剣舞が非常に良かった。しかも、賞を取った人だけではなく、全体的に良いというのが素晴らしい。同点になるケースが多くなりそうだと思いながら採点していた。
●その中で、何が賞につながったのかといえば、例えば幼年で言えば、ただ子供らしいだけではなく、かつての「少年の部」のような演技力がなければ賞につながらない。
●子供が舞うとしても児童舞踊ではない、詩心をいかに舞うかが重要になっている。幼少年を指導する場合にも、詩の心をいかに舞台で表現するかを考えて指導していただきたい。
●大人の方の演舞も全体的に標準レベルに達してしまったので、あまり差がなくなっている。だから、どこで勝負をするかといえば、これも重要なのは詩心になってくる。ただ詩心といっても先程の幼少年とは違い、大人の演技ではどのように作品を解釈するかということ。例えば、役代わりの設定などをしっかり考えて演じることが大切だ。
など、剣詩舞のレベルの高さを評価しながらも、更なる向上を求めて、細やかな注意をされていました。
 すべてが終了し、工藤龍堂常任理事が閉会の辞を告げると、白熱したコンクールにも幕が下ろされました。入賞した人も、そうでなかった人も、また明日からより高いレベルの剣詩舞を求めて研鑽を積まれることでしょうし、それがいつか形となって実を結ぶ日が来ることでしょう。
 
優勝者の喜びの声
【剣舞幼年の部】加賀裕人くん(愛知)
 「いつも失敗する箇所があるのですが、今日は失敗せずにできました。これからも剣舞は続けたいですし、もっとうまくなるように頑張ります」
【剣舞少年の部】藤野 綾さん(福岡)
 「トロフィーを前にして胸がドキドキしていますが、やっと優勝したという実感が湧いてきました。本当に嬉しいです、ありがとうございました」
【剣舞青年の部】伊藤 武さん(愛知)
 「二年連続で、私も兄につづいて優勝させていただき、本当に嬉しいです。今日は平常心で、普段の練習どおりの舞ができるように心がけました」
【剣舞一般一部】鈴木文枝さん(愛知)
 「夢見たいで信じられません。今日は桜島の情景をどうしたら見ている人に伝えることができ、自分の気持ちをわかってもらえるかに気をつけました」
【剣舞一般二部】加藤政恵さん(愛知)
 「嬉しさで胸がいっぱいです。家元、宗家にご指導いただき嬉しく思っています。ここまで来るのに時間がかかりましたが、頑張ってきた甲斐がありました」
【詩舞幼年の部】高須巳嘉さん(岡山)
 「すごく嬉しいです。みんなすごく上手に舞っているので、賞が取れるとは思いませんでした。でも、優勝できたのでよかったです」
【詩舞少年の部】三宅絢子さん(岡山)
 「緊張はしましたが、とにかく今日は自分なりに頑張ろうと思いました。結果、優勝できたので大変うれしいです。これからも精進していきます」
【詩舞青年の部】鈴木宏美さん(愛知)
 「今日はすごく緊張しました。少年から青年に移りましたが、まだまだ未熟な部分があるので、これからもっと頑張らなければと思いました」
【詩舞一般一部】上岡治生さん(三重)
 「信じられません、ありがとうございます。本番では練習どおりにできたことが良かったと思います。妻も喜んでくれて大変嬉しいです」
【詩舞一般二部】菅原かよさん(東京)
 「いつかは賞がほしいと思っていましたが、やっと取ることができました。今日は十年前になくなった母が作ってくれた着物を着て臨みました」
 
平成16年度全国剣詩舞コンクール決勝大会入賞者一覧
〔(文)は文部科学大臣奨励賞〕
【剣舞】
●幼年の部
優勝(文) 加賀 裕人  (愛知)
2位     松本 勇斗  (福岡)
3位     野中 政利  (栃木)
●少年の部
優勝(文) 藤野 綾   (福岡)
2位     五月女 智仁 (栃木)
3位     白石 健太  (愛知)
4位     早淵 良宗  (兵庫)
5位     服部 幸海  (愛知)
●青年の部
優勝    伊藤 武   (愛知)
2位     松本 典子  (愛知)
3位     坪田 里美  (愛知)
4位     藤野 舞   (福岡)
5位     荒木 美津  (兵庫)
●一般一部
優勝    鈴木 文枝  (愛知)
2位     中町 尚子  (兵庫)
3位     西原 香   (兵庫)
4位     五月女 益美 (栃木)
5位     藤野 代志乃 (福岡)
●一般二部
優勝(文) 加藤 政恵  (愛知)
2位     玉田 朝子  (兵庫)
3位     渡辺 敦子  (愛知)
4位     友井川 睦子 (兵庫)
5位     谷野 光弘  (岡山)
【詩舞】
●幼年の部
優勝    高須 巳嘉  (岡山)
2位     神尾 龍   (愛知)
3位     田中 滉己  (愛媛)
●少年の部
優勝    三宅 絢子  (岡山)
2位     中川 真生  (愛知)
3位     田辺 文   (兵庫)
4位     高部 美恵  (岡山)
5位     見城 真弥  (静岡)
6位     山本 純子  (大分)
7位     浅川 笑乃  (山梨)
●青年の部
優勝(文) 鈴木 宏実  (愛知)
2位     大野 晶子  (愛知)
3位     梶原 いずみ (岡山)
4位     伊藤 修司  (愛知)
5位     釘宮 芳江  (大分)
6位     田辺 富士子 (兵庫)
7位     尾曲 七保子 (山梨)
●一般一部
優勝(文) 上岡 治生  (三重)
2位     奥田 悦代  (岡山)
3位     佐々木 まなみ(京都)
4位     上羽 由子  (京都)
5位     増田 真理  (大阪)
6位     木村 照代  (福岡)
7位     松永 みどり (岡山)
●一般二部
優勝    菅原 かよ  (東京)
2位     今和泉 靜子 (広島)
3位     中野 禧子  (兵庫)
4位     杉原 加代  (広島)
5位     稲垣 和子  (愛知)
6位     笹野 和子  (兵庫)
7位     大岩 行代  (愛知)


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