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平成15年度
全国剣詩舞群舞コンクール決勝大会
 
時=平成十六年二月八日(日)
場所=笹川記念会館国際ホール
主催=財団法人日本吟剣詩舞振興会
群舞はいま、定着から質の高い芸道へ
 群舞コンクールの最高峰として二年に一度開かれる、全国群舞コンクール決勝大会が、笹川記念会館国際ホールにおいて華々しく開催されました。
 優勝の二文字を手にしたのは、どの組だったでしょう。
 
開会の辞を述べる鈴木吟亮大会実行委員
 
財団を代表してあいさつをされる河田和良大会会長
 
演舞終了後、講評を述べる石川健次郎総合審査委員
 
審査結果を発表する入倉昭星総合審査委員長
 
 鈴木吟亮専務理事の開会の辞で始まった本大会は、国歌斉唱、財団会詩合吟のあと、河田和良財団会長が挨拶に立ち、「剣詩舞は詩歌の心を、心技をもって表現する伝統芸道であり、今日までの民族精神の形成に大きな役割を果たしてきたばかりではなく、わが国の精神文化の高揚においても多大な期待をかけられている芸道」として参加者に対し日頃の成果を遺憾なく発揮するよう、エールを送られていました。
 午前十時、剣舞の部二十四組、詩舞の部二十五組(一組欠場)、合計四十九組による決勝大会の幕が切って落とされました。まず、剣舞の部が行なわれ、一番手の上岡治生さん他の皆さん(三重)による「無題(和歌入り)」から、二十四番手の富田芳正さん他の皆さん(京都)による「蜀相」まで、片時も目の離せない舞台が続きました。詩舞の部では二十五番手の佐治亜有子さん他の皆さん(京都)による「笛を吹く」から、五十番手の山本純子さん他の皆さん(大分)による「琵琶湖上の作」まで、やはり剣舞に劣らない熱演が続きました。群舞は独舞と違い、演ずる皆さんの呼吸が揃わなければ美しい群舞となりませんが、講評でも言われたように、揃えなくてはいけないと言う意識が強すぎて、テンポが速くなりがちになるチームがあったことが残念でした。しかし、全体的にはレベルの高い大会であり、入賞したチームは群舞をしっかり理解し、独舞とは違う群舞における舞を演じていました。
 
平成十五年度全国剣詩舞群舞コンクール
決勝大会入賞者氏名(敬称略)
〔剣舞の部〕
優 勝=大野 晶子
鈴木 宏実
長坂 理絵
(愛知・北辰神明流分家剣詩舞)
第二位=長澤 仁美
松本 典子
鈴木 祥隆
(愛知・日本壮心流昭武館総本部)
第三位=河田 哲也
前田 雅博
浦野 佳奈
(兵庫・青柳流剣詩舞道神武館道場)
第四位=上岡 治生
井上 ゆり
河村 美奈
(三重・晄明流剣詩舞道治晄館)
第五位=西原 香
新藤 正代
荒木 美津
(兵庫・大日本敬天社道場総本部)
第六位=岡本 達夫
永岡 美智子
西田 ちよ子
(岡山・菊水流剣詩舞道本部)
〔詩舞の部〕
優 勝=入倉 仁美
山本 薫
山本 直子
川野 佳代
石川 公江
(愛知・日本壮心流昭武館総本部)
第二位=原  歩
梶原いずみ
平田 陽子
三宅 絢子
坂本 夏樹
(岡山・菊水流剣詩舞道本部)
第三位=尾嶋 美紀
中川 真生
服部 幸海
服部 怜海
宮崎 亜由美
(愛知・北辰神明流分家剣詩舞)
第四位=山名 千鶴子
寺中 トミ江
友井川 睦子
橋本 一恵
藤本 ヒロミ
(兵庫・青柳流剣詩舞道神武館道場)
第五位=美濃部浩一郎
斉藤 初音
新山 ふみえ
前田 容良
後藤 亜梨子
(三重・晄明流剣詩舞道治晄館)
第六位=伊藤 トモエ
梅澤 里奈
柴山 和恵
神藤 てる子
鈴木 晴子
(愛知・日本壮心流昭武館総本部)
第七位=菅原 かよ
山田 幸代
押尾 あや子
星野 久美子
日南田きみ子
(東京・詩舞静山流静慧会)
 
剣舞の部で優勝しトロフィーを受ける、チーム代表大野晶子さん
 
 演舞が終了すると、石川健次郎先生が壇上に立ち、次のような講評をなさいました。
●剣詩舞の中に群舞が定着してきたが、それに伴って群舞における表現技法が上達してきている。また、上位に来ている組は、群舞と言うものを意識して稽古し、作品を創作している。
●独舞と、何人かで行なう群舞の違いとは何か。それは律詩と絶句で違うと言うのではなく、両方とも群舞でも独舞でもできるが、財団の方針として律詩を使用して、長い時間をかけて審査をしている。また、群舞と独舞の違いが、どのように成績に現れるかと言うと、群舞だから三人、五人が、盆踊り的に同じ振り(場合によってはあるが)と言うのではなく、作品としてしっかりとした振り付けが行なわれているか、作品として表現されているかが大切で、その上で美しいか綺麗であるかが問われている。
●踊りとして内容が豊かであるか。つまり、独舞よりも三人ないし五人で舞った方がいろいろな内容(情報)を伝えることができる。これが群舞の最大の特徴であり、いろいろな内容が伝えられなければ群舞である意味がない。それができているかが、演技に対する評価の分かれる点でもある。
●揃うことが美しい群舞ではあるが、他の人に「合わせよう、合わせよう」と強く意識しすぎるあまり、全員のテンポが速くなりすぎてしまった組が何組かある。ゆったりとした気持ちで演じてもらいたい。
 このように、石川健次郎先生は群舞に対する本質的で重要な事柄をお話しされ、会場に詰め掛けた多くの剣詩舞愛好家の方々も、うなずきながらお話に聞き入っていました。そして、講評が終了すると、いよいよ審査結果が発表されました。激戦を制し、晴れの栄冠を勝ち得た組は、剣舞が愛知の大野晶子、鈴木宏実、長坂理絵さんが演じた「無題(和歌入り)」、詩舞は愛知の入倉仁美、山本薫、山本直子、川野佳代、石川公江さんによる「笛を吹く」でした。剣舞も詩舞も愛知勢が獲得し、これまでも剣詩舞に強い愛知ですが、さらにその強さを印象付けました。
 
詩舞の部で優勝し表彰状を受ける、チーム代表入倉仁美さん
 
 工藤龍堂常任理事が閉会の言葉を告げると、それまで入賞の喜びに沸きかえっていた会場に静けさが訪れ、再来年に行われる全国剣詩舞群舞コンクール決勝大会に向けたスタートが、ここから始まったのだと感じさせられました。今回惜しくも入賞を逃した皆さんには、より一層の精進を期待したいと思います。
 
群舞優勝団体の喜びの声
□剣舞の部(愛知)
 大野晶子さん、鈴木宏実さん、長坂理絵さん「前半は少し乗り切れないところもありましたが、後半は自分たちで盛り上がれ、それなりにできたとは思います。練習でしたことを出し切るように注意しました。優勝できて嬉しいです」
喜びの剣舞優勝チーム
 
□詩舞の部(愛知)
 入倉仁美さん、山本薫さん、山本直子さん、川野佳代さん、石川公江さん「本当に驚いています。このチームで二年前に出ましたが、その時は二位でしたので、優勝できて幸せです。今回も皆さんが精一杯演じてくれたので、何もいうことはありません。ありがとうございました」
喜びの詩舞優勝チーム


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