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付属書
 油タンカー用油排出監視制御装置の各部の詳細な試験及び性能基準は、この付属書によることとする。この附属書の構成は、次の3部とする。
第1部 油分濃度計の型式承認のための試験と性能基準
第2部 油排出監視制御装置の油分濃度計及び演算制御装置の型式承認のための環境試験の基準
第3部 承認関係書類
 
第1部 油分濃度計の型式承認のための試験と性能基準
1 通則
1.1.1 ここに定める型式承認のための試験及び性能基準は油タンカーの油排出監視制御装置の油分濃度計に関するものである。油分濃度計は、明記された数種の適用(原油、白もの精製油及び黒もの精製油)の1つのため試験してもよい、そして型式承認証書には、容認される適用油を明確に記載しなければならない。また、油分濃度計の電子及び測定部分は、この付属書の第2部の環境試験の基準に従って試験しなければならない。
1.1.2 試験する油分濃度計は、このガイトラインの第6章の関係要件を全て満足するものでなければならない。
1.2 試験基準
1.2.1 広範囲の油分濃度を測定する設計の油分濃度計は、その読みの誤差が土10ppm又は各試験の間油分濃度計に流人する試料の真の油分濃度の土10%のいずれか大きい方の値以下でなければならない。また、試験はこの基準の1.2.5項から1.2.18項までに詳述する要領に従って行わなければならない。
 測定精度は、油以外の汚染物の存在及び供給源(電源及び圧縮空気)が設計値から±10%変動しても、上記の制限内になければならない。
1.2.2 油分濃度計の性能を評価する試験設備の図式配置を図1に示す。油分濃度計の精度は、既知の水の流れと既知の油の流れを混合させたものにつき油分濃度計で油分を計測して判定しなければならない。採取した試料は、この基準の1.3項に定める方法により実験室で分析しなければならない。実験室の分析結果は、試料の油分濃度と試験装置が示す油分濃度との相互関係をとることにより相互のずれを明らかにするために用いることができる。水の流量は、時々行う試料採取の場合を除き、全体の油水の流れが油分濃度計を通過するよう調整しなければならない。
 油分濃度計中に流入する水中の油分を連続的に一定に保つよう特に留意しなければならない。油と異物のmetering pumpは定常流を流すよう調整しなければならない。油の注入が低濃度において断続的になる場合には、連続的な流れを確保するため、どうしても必要とあらば、油はあらかじめ水と混合しておくことができる。油の注入点は、試験系統によって生ずる時間遅れを最小とするため油分濃度計のすぐ上流に設けなければならない。No.2原油が試験で規定されている場合は、類似の原油で代替することができる。ただし、かかる代替による場合は、各試験を通しその油のみ使用するものとする。
1.2.3 試料採取の設備は、すべての運転状態の下、すべての運転上の油分濃度の下で、代表的な均質の試料が得られるようなものでなければならない。試料は油分濃度計から流れる全量から採取しうるものでなければならないが、これが実情にそぐわない場合は、第2図のような試料採取の設備としなければならない。結果として得られるものが適切でなければならず、そのためには試料の採集及び保管に十分な注意を払わなければならない。
1.2.4 試験用の混合液から固形汚濁物を除去するため、フィルタその他の装置が油分濃度計に設置されている場合には、かかる装置は、油分濃度計の一部分とみなされなければならず、かつ、すべての試験の間連結しておかなければならない。1.2.10項に記載の汚濁物試験完了後、混合液から固形汚濁物を除去するために用いる装置は、開放の上、残査を検査し、残査中に有意の量の油を含まないことを確認しなければならない。
1.2.5 較正及びゼロ試験
 油分濃度計は、製造者の指導書に従って較正し、かつ、ゼロ点調整しなければならない。油分濃度計は、次いでNo.2原油を用いて次の濃度(ppm)において試験をしなければならない。0,15,50,100,200及びそれより上の濃度(200ppm毎、油分濃度計の最大範囲全域につき測定実施)完全な較正曲線を確立しなければならない。各濃度試験は15分続けなければならない。各濃度試験の後、油分濃度計は、15分間油分を含まない水で運転し、読みを記録しなければならない。油分濃度計は、ゼロ点が移動したとしても、再較正してはならない。
1.2.6 応答試験―異種油
 上記の試験の較正を終えたら、油分濃度計は、次の油を使用して15ppm,100ppm及び最大全域の90%の油分濃度で試験しなければならない。
 下記の油に対して、完全な較正カーブを得るため、要求がある場合、追加試験を行うことができる。
 
原油
油の分類 分類説明 パラメーター
許容範囲+又は−%
1 比重−低
粘度−低
流動点−非常に低い
一般性状−混合基
比重:790.9−800.0
動粘度:2.52−2.78
活動点:-5−-1℃
2 比重−中
粘度−中
流動点−低
一般性状−混合基
比重:852.0−862.0
動粘度:9.69−10.69
活動点:-8−-2℃
3 比重−高
粘度−中
流動点−低
一般性状−ナフテン質
比重:884.0−894.0
動粘度:12.3−13.5
活動点:3−8℃
4 比重−高
粘度−中
流動点−低
一般性状−アスファルト質
比重:946.0−957.0
動粘度:1190−1300
活動点:26−31℃
5 比重−中
粘度−高
流動点−非常に高
一般性状−パラフィン質
比重:839.0−849.0
動粘度:3.94−3.98
活動点:36−42℃
 
残渣燃料油
6 舶用残渣燃料油−RMG35 RMG35のパラメーターは、ISO8217:1996(表2)による
 
注:
1. 石油協会発行のパラメータ参照―石油測定紙No. 8-ISBN 0 85293 2
2. 粘度は、流動点(K)が高いため40℃で計測し、20℃で計測しなかった。
* 比重(Kg/m3)/15℃:本パラメーターは、石油測定表ASTM D 1250-80の表3からコンバートしたもの。
* 動粘度(cSt)/20℃
* 活動点℃
注:上記の油が入手できない場合、上記の特性の範囲をカバーする他の油を代用することができる。
 油の特性及びサンプルの放置時間は記録すること。承認のために使用されたサンプルは、12ヶ月以上放置することはできない。
 各試験に引き続いて、計器は油を含まない水で15分間運転し、その読みを記録すること。もしも、油分濃度がゼロ時における計器の読みが精度の要求内に入らない場合は、自動洗浄装置を標準として装備しなければならない。また、その計器が各試験の間で再度計器の零点調整、較正又は洗浄をする必要のある場合は、この事実及び較正又は洗浄に要した時間を証書に記録すること。
 
油の種類 分類説明
サハラブレンド 比重−低
粘度−低
流動点−非常に低い
産出国−アルジェリア
一般性状−混合基
アラビアンライト原油 比重−中
粘度−中
流動点−低
産出国−サウジアラビア
一般性状−混合基
ナイジェリアミディアム原油 比重−高
粘度−中
流動点−低
産出国−ナイジェリア
一般性状−ナフテソ質
パチャクロ17原油 比重−非常に高い
粘度−非常に高い
流動点−低
産出国−ベネズエラ
一般性状−アスファルト質
ミナス原油 比重−中
粘度−高
流動点−非常に高い
産出国−インドネシア
一般性状−パラフィン質
残渣油 C燃料油又は、No.6燃料油
 
1.2.7 白もの精製油
 計器が白もの精製油用として適当であると考えられる場合には、1.2.5及び1.2.6項の試験と同等の方法で次の石油製晶に対しても試験すること。
自動車用ガソリン
ケロシン
舶用デイーゼル油又―DMA―ISO 8217:1996(表1)
 もしも、その計器がMARPOL 73/78条約付属書II第14規則の統一解釈に含まれるリストに参照されるC、D分類の油類似物質に対して適合している場合は、承認が要求されるそれぞれの物質に対して1.2.5及び1.2.6項の試験と同等の方法で試験すること。図1の高能率シアポンプは、水流中で物質の適切な微細化を得るため試験中は高回転を維持すること。
1.2.8 応答時間
 油分濃度計は油を含まない水で運転し、零点調整を行うこと。No.2原油100ppmに設定してある油注入用ポンプの栓を開くこと。次の応答時間を記録し、証書に含めること。
.1 最初の読みを検知するまでの時間。
.2 63ppmを読みとるまでの時間(応答時間)。
.3 90ppmを読みとるまでの時間。
.4 最大値において読みが安定するまでの時間。最大の読みを記録する。
 以上の指度上昇試験に引続き、油注入用ポンプの栓を閉じ、次の応答時間を記録し証書に含めること。
.5 最大値において下降を検知するまでの時間。
.6 37ppmを読みとるまでの時間(応答時間)。
.7 10ppmを読みとるまでの時間。
.8 最小値で安定するまでの時間。最小の読みを記録する。
 上昇時63ppm及び下降時37ppmの応答時間の平均値を計器の「応答時間」と考えることとする。応答時間は、20秒以内とする。
1.2.9 対油よごれ及び較正シフト試験
 目盛りの変位における油による汚損の結果を決定するために二つの試験を実施すること。最初は、10%の油分濃度で、次は純粋の油で実施すること。両方の試験ともNo.2原油を使用すること。
 10%油分濃度での試験に当っては、先ず計器は油を含まない水で運転すること。水に10%の油を入れた、大容量油注入ポンプの栓を1分間開いた後、これを閉鎖すること。
 100%の油での試験に当っては、計器は油を含まない水で運転すること。栓を開いて水を止め、100%の油を1分間通すこと。その後、栓を閉じて油を止め、油を含まない水の流れに戻すこと。
 試験装置の設計に際しては、計器の外に設けられた試料パイプの汚損により汚損試験の結果が悪影響を受けないことを確保するための注意を払わなければならない。
 両試験について次の応答時間を記録し、証書に記載のこと。
.1 最初に検知できる応答時間
.2 15ppmを読みとるまでの時間
.3 100ppmを読みとるまでの時間
.4 最高範囲におけるスケールオフを読みとるまでの時間
.5 最高範囲におけるスケールバックを読みとるまでの時間
.6 100ppmへの戻りを読みとるまでの時間
.7 15ppmへの戻りを読みとるまでの時間
.8 零点又は最低安定値を読みとるまでの時間
 各汚損試験の後、零点の読みに戻すために計器をすすぎ洗いをする必要があるときは、この事実並びに洗浄及び再較正に要した時間を記録し、証書に記載のこと。
 両方の汚損試験に合格した後、No.2原油100ppmの混合液を導入し、いかなる目盛りの変化も記録し、証書に記載のこと。


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