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6.9 記録装置
6.9.1 コントロール・セクションの記録装置は、デジタル・プリンタを備えたものでなければならない。また、電子データで記録しても良い。記録した事項は、プリントアウト上に明瞭に判明するようでなければならない。プリントアウトは、読み取れなければならず、また3年以上保存しなければならない。
6.9.2 次に掲げる事項は自動的に記録しなければならない。
.1 油の瞬間排出率(1マイル当たりリットル単位)
.2 瞬間油分濃度(ppm)
.3 排出全油量(立法メートル又はリットル単位)
.4 日付と時刻(GMT)
.5 船速(ノット単位)
.6 船舶の位置 −緯度及び経度
.7 流液の流量
.8 船外排出制御又は関連設備の状態
.9 油種選択設定(附設されている場合)
.10 警報状態
.11 故障状態
.12 オーバーライド事項(例:手動オーバーライド、フラッシング、較正等)
 代替措置の結果として手動入力情報は手動入力とプリントアウトで明示しなければならない。また、電子データとして保存されている揚合もプリントアウトできなければならない。
6.9.3 このガイドラインの6.9.2項の各データは、最低次の頻度でプリントアウトしなければならない。
.1 排出が開始したとき
.2 排出が停止したとき
.3 10分以内の間隔(油排出監視制御装置がスタンバイモードのときを除く。)
.4 警報状態となったとき
.5 平常状態が回復したとき
.6 排出率の計算値に1マイル当たり10リットルの相違ができたとき
.7 ゼロ点調整又は較正モードのとき
.8 手動指令のとき
6.9.4 記録装置は、船外排出操作の担当者が容易に近接し得る場所に設けておかなければならない。
6.10 データ表示
6.10.1 現在のデータは、プリントアウトして記録するほか、目視で表示しなければならず、少なくとも次の事項を含まなければならない。
.1 1マイル当たりの油の瞬間排出率
.2 排出全油量
.3 瞬間油分濃度(ppm)
.4 流量
.5 船速(ノット単位)
.6 船外排出制御又はその設備の状態
6.10.2 データ表示は、船外排出作業従事者が容易に視認することができる位置に設けておかなければならない。
6.11 機器故障時における手動操作による代替手段
6.11.1 油排出監視制御装置の故障の際用いる情報を入手するための代替手段は次によらなければならない。
.1 油分濃度計又はサンプリング系統:流液排出箇所付近の水面の目視による監視
.2 流量計:ポンプ吐出特性等
.3 油タンカーの船速指示装置:主機rpm等
.4 プロセッサ:人手による計算及び人手による記録
.5 船外排出制御:ポンプ及び弁の手動操作
6.12 排出停止を生ずる警報条件
6.12.1 視聴覚警報は、次のいずれかの条件で発しなければならない。
 油排出監視制御装置は、次の場合、海中への流液の排出を停止するよう措置しなければならない。
.1 瞬間排出率が1マイルあたり30リットルを超えるとき
.2 排出全油量が以前の積荷の30,000分の1に達したとき
.3 次に掲げるような油排出監視制御装置の運転上の故障
.3.1 電力等動力源の故障
.3.2 サンプル喪失
.3.3 測定又は記録に係る装置の重大な故障
.3.4 センサーの入力が装置の有効容量を越えたとき
6.13 警報指示器の場所
6.13.1 油排出監視制御装置の警報指示器は、荷役制御室のある船にあっては当該場所又は直ちに注意と対応措置を起こすことのできるその他の場所に設けなければならない。
7 油排出監視制御装置の油分濃度計とコントロール・セクションの型式承認試験基準
7.1 試験要件
7.1.1 油分濃度計は、広い範囲の油分濃度と各種の油について6.2.2項の精度の範囲内で油分濃度を検出する能力につき試験しなければならない。承認に係る製品モデルと全ての点で同一であるべき油分濃度計は、このガイドラインの付属書の第1部試験性能基準に従って型式試験しなければならない。
7.1.2 承認に係るモデルと全ての点で同一であるべき油排出監視制御装置の油分濃度計及びコントロール・セクションは、このガイドラインの付属書の第2部環境試験基準に従って型式試験しなければならない。
7.2 承認制度
7.2.1 このガイドラインの要件を全ての点で満足する油分濃度計は、タンカーに設置するための主官庁の承認を得ることができる。この承認は、「型式承認証書」により証明することとし、この証書には当該機器の要目とその性能を担保とするため必要な使用上の限界条件を記載しておかなければならない。この証書は、このガイドライン付属書第3部に示す様式で発給しなければならない。この機器を備えた油タンカーには常時油分濃度計型式承認証書の写し1部を備えておかなければならない。
7.2.2 型式承認証書は、油分濃度計が承認された特定の用途、例えば原油、「黒もの」精製油、「白もの」精製油、その他の製品又は用途であって証書に記載のため発給するものでなければならない。
7.2.3 承認された油分濃度計は、外国においてその外国の船舶で使用するためその外国の船上での最初の試運転に基づくか、又はその外国の関係者の監督下で行われる試験に合格し、他の国の同様の試験に不合格となった場合には、当事国は共に了承点に達するため、双方協議しなければならない。
8 工場内性能試験要件
8.1 油排出監視制御装置の油分濃度計及びコントロール・セクションは、それぞれ出荷前に適当な試験台にて機能試験を行わなければならない。当該機器の機能試験の詳細計画は、機器特有の設計に係る性能及び機能を考慮に入れて製造者が作成しなければならない。出荷試験書類を含め完全な工場証明書を出荷する各機器ごとに添付しなければならない。
8.2 次の試験は、油分濃度計につき行われる機能試験として行わなければならない。
.1 流量、圧力降下その他同等の事項のうち該当するもの
.2 油分濃度計に組み込まれた警報条件に係る全ての試験
.3 油排出監視制御装置の他の部分との取り合いに係る全ての切替機能のチェック
.4 数種のppm値における正確な読みのチェック(油分濃度計の使用に適した油で作動させ全ての測定スケールについて行うものとする。ただし、他の同等の方法によることができる。)
8.3 次の試験は、油排出監視制御装置のコントロール・セクションについて行う機能試験として行わなければならない。
.1 警報機能の全てのチェック
.2 ppm、流量及び船速の擬似入力信号を変えた場合における、信号プロセッサ及び記録装置の機能の正確さのチェック
.3 MARPOL 73/78条約付属書I第9(1)(a)(IV)及び(V)規則に定める排出限度を超えるよう入力信号を変えた場合における警報作動のチェック
.4 警報状態となった場合における船外排出制御信号作動のチェック
.5 諸入力信号の内の1つ1つを、それぞれ、油排出監視制御装置の能力を超すよう変えた場合における警報作動のチェック
9 船内設置許可要件
9.1 油排出監視制御装置を設置しようとする者は、十分事前に必要な書類を準備し、承認を受けるため主官庁にこれを提出しなければならない。提出文書には、次のものを盛り込まなければならない。
.1 当該システムの記載。この説明には、ダーティ・バラスト及びカーゴタンクエリアからの油濁水のための排出口を明示し、かつ、油タンカーのカーゴ及びバラストの取扱説明書に盛り込まれた操作上の要件に適合するポンプ・配管系統の線図を含めなければならない。通常と異なるポンプ・配管系統を備えた油タンカーにおける設置については特別の考慮が必要となる。
.2 製造者が供与する装置説明書であって油排出監視制御装置の詳細を盛り込んだもの
.3 油タンカーに備えておくべき油排出監視制御装置全体に関する操作技術説明書。この説明書は、油排出監視制御装置全体の配置と運転に係るものでなければならず、かつ、製造者の装置説明書に盛り込まれない同装置の各部についての説明があるものでなければならない。
.4 説明書の運転の部には、平常時の運転方法及び装置作動不良の場合における油水排出方法を記載しておかなければならない。
.5 説明書の技術の部には、不良箇所を見つけられるよう必要な事項(油排出監視制御装置のポンプ、配管系の説明と図面、電気・電子機器の配線図)と、維持管理記録の作成保管に係る指示事項を盛り込んでおかなければならない。
.6 機器の場所と取付要領、安全区域と危険区域との間の境界の気密保持のための設備及び6.3.6項に掲げられている試料応答時間の計算を含むサンプル管系施設に係る技術施設基準
 設置は、製造者の設置基準に従ったものでなければならない。
.7 油分濃度計に係る型式承認証書1部と油排出監視制御装置の他の主要部分に係る技術文書
.8 設置される油排出監視制御装置に特有の試験とチェック要領
 この要領は、設置契約者による機能試験で要求される全てのチェック項目を織り込んだものでなければならず、かつ、油排出監視制御装置の船内検査を行っている際に検査員のためのガイダンス、かつ、製造者の設置基準を反映した設置を確認できるものでなければならない。
10 一般設置要件
10.1 船内設置の要領は、全体の系統の機能が満足できるようなものであり、関係主官庁の安全規則に全て適合するようなものでなければならない。
10.2 設置の要領は、それぞれの場合において第9章に記載の船内設置要領認可の方法概要に基づき規定され、認められた設置の要領に適合しなければならない。
10.3 設置の要領は、第6章の技術基準中関係部分全部と各部機器の製造者の定める全ての関係設置要領書を満足しなければならない。
11 設置の検査
11.1 次の書類が永久使用のため適当な形式で船内に保管されていることを検査する。
.1 油分濃度計の型式承認証書1部
.2 油排出監視制御装置のコントロール・セクションが、このガイドライン付属書第2部の環境試験基準に従って型式試験してあることを確認することのできる主官庁の証書又は主官庁の承認した研究所の証明
.3 油排出監視制御装置の主要部分に係る装置の証明書
.4 油排出監視制御装置の技術説明、運転方法及び機器作動不良時の対処要領等を記載した主官庁承認の運転及び技術に関する解説書
.5 設置基準
.6 設置検査方法
11.2 油排出監視制御装置の油分濃度計及びコントロール・セクションの工場説明が完全かどうかを検査する。
11.3 油排出監視制御装置の設置は、9.1.6項の承認された設置技術基準に従って行っているかどうかを検査する。
11.4 次の事項を検査する。
.1 油分濃度計か型式承認証書の発給されたものと同一のものかどうか。
.2 油排出監視制御装置の油分濃度計及びコントロール・セクション設置が製造者の設置基準に従って行われたかどうか。
.3 運転の際に用いる出口が、ポンプ・配管施設の図面中に示された場所に設けられているかどうか。
11.5 設置の施工技術が適切であるかどうか、特に隔壁の貫通部か承認された関係基準のとおりであるかどうかを検査する。
11.6 油排出監視制御装置がこのガイドラインの第12章に定められた承認された方法に従って試験した場合、正確に作動するかどうかを検査する。
12 船内機能試験及び検査要領
12.1 9.1.8に掲げる機能試験においては、油排出監視制御装置が船内に設置され海上で作動している状態において次の試験を行わなければならない。
.1 ポンプの運転、サンプル用ポンプ配管系のもれのないこと、遠隔制御サンプル弁の正常な機能等を確認すること。
.2 流量又は圧力降下のいずれか適当な事項により、装置が正常な流れの状態にて運転することを確認する。
.3 サンプルの流量そう失、流量計信号停止、電源そう失等油排出監視制御装置の外部での異状が生じた場合、警報の作動が正確かを確認する。
.4 油排出監視制御装置が海上で運転中、擬似信号の手動入力を変えてみて正確な値と時間の記録を調査する。アラーム状態をとるまで擬似手動入力信号を変化させ適当な記録を確認する。船外排出制御が作動していることを確認し、かつ、その作動が記録されていることを確認する。
.5 瞬間排出率の値が1海里当たり30リットルを下回る場合、通常の運転状態がリセットされうることを確認する。
.6 手動オーバーライド制御を作動させ、次の事項を確認する。
.6.1 記録がなされること。
.6.2 船外排出制御が作動すること。
.7 油排出監視制御装置を停止した場合、船外排出弁の自動閉又は、関連のポンプ停止等による船外排出停止及び船外排出制御が作動しえないことを確認する。
.8 製造者の運転及び技術指導書に従って、油排出監視制御装置を始動し、油分濃度計のゼロ点調整及びゲイン・セッティングを調査する。
.9 流量がタンク内の水準の変化により計算で求まる場合、ループ内に水を流すことにより、設置した流量計の精度を調査する。この調査は、流量計の定格流量の50%程度の流量で行わなければならない。


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