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II. 水によるクエンチチェック
(* 湿り排気ガス濃度の計測にのみ適用)
(1)チェックの手順
ア. 通常の作動範囲の最大目盛りの80から100%の濃度をもつNOスパンガスは、CLD(HCLD)に通し、NO値を“D”として記録する。
イ. 次に、NOスパンガスを室温で水中に泡排出してCLD(HCLD)に通し、NO値を“C”として記録する。
ウ. 分析器の絶対作動圧力及び水の温度を計測し、それぞれ“E”及び“F”として記録する。
エ. 泡排出の水温(F)に対応する混合ガス飽和蒸気圧を計測し、“G”として記録する。
オ. 混合ガスの水蒸気濃度(%)を次式によって算出し、“H”として記録する。
 
 
カ. 予測される(水蒸気中の)希釈NOスパンガス濃度を次式によって算出し、“De”として記録する。
 
 
キ. 予測される最大排出水蒸気濃度(%)を次式によって算出し、“Hm”として記録する。(* ディーゼル機関の場合)
 
 
(2)クエンチの算出
 クエンチは次式によって算出することとし、この値は最大目盛りの3%以下であること。
 
 
 ここで、De=予測される希釈されたNO濃度 (ppm)
     C=希釈されたNO濃度 (ppm)
     Hm=最大水蒸気濃度 (%)
     H=実際の水蒸気濃度 (%)
 
3)O2分析器のクエシチチェック
 PMD(常磁性)分析器は、O2が他のガス成分と比較して磁化率が大きいことを利用したものであるが、表5に示すようにNO及びNO2は酸素当量が高いためO2濃度への影響を考慮する必要がある。なお、ZRDO及びECS分析器を使用する場合のクエンチについては、分析器製造者の指示に従って補正すること。
 
表5 酸素当量
100%ガス濃度 当量 % O2
二酸化炭酸、CO2 -0.623
一酸化炭素、CO -0.354
酸化窒素、NO +44.4
二酸化窒素、NO2 +28.7
水、H2O -0.381
 
(1)各ガス成分の酸素濃度に対するクエンチの割合を次式によって算出する。
% クエンチ=(当量 % O2・計測濃度)/100    (7)
(2)クエンチを考慮した、補正後のO2濃度を次式によって算出する。
補正後のO2濃度=補正前のO2濃度 - Σ(%クエンチ) (8)
 
別紙6 排気ガス流量計算に使用する計算式
1. 試験の有効性の確認(* 原動機ファミリーを承認する場合)
1)大気係数faを下記により決定すること。
(NOxコード5.2.1関連)
 
2)試験が有効と認められるには、faは下記の値であること
 
 
2. 空気、燃料計測による方法
(NOxコード5.5.2関連)
1)排気ガス流量は下記のいずれかの式により計算すること。
 
 
2)燃料比係数FFW及びFFDは下記により計算すること。(燃料のタイプにより異なる)
 
 
3. 排気ガス成分濃度の湿り濃度への補正
 GEXHW又はVEXHWを用いる場合において、計算に使用する排気ガス成分の濃度が乾き濃度で計測されている場合には、下記により湿り状態に変換しなければならない。
(NOxコード5.12.2関連)
 
 計測された排気ガスに関して、
 
 
 ここで、
Ha,Hd=乾き空気に対する水分量(g/kg)
Ra  =吸気の相対湿度(%)
Pa  =吸気の飽和蒸気圧(kPa)
PB  =大気圧(kPa)
 
 代替式
 
 吸気に関しては、
 
<参考>
 式(8)は燃料係数FFHの定義として認められること。この方法により定義されたFFHは空燃比に関係する排気中の水分含有量の値であり、燃焼からの水分と吸気からの水分が互いに独立しており、加算できるものとして考慮している。FFHは燃料の仕様により決まるほか、その影響度は少ないがエンジンの空燃比にも影響を受ける。
 
4. 標準温度及び標準湿度におけるNOx濃度への補正
1)NOx排出量は周囲の空気条件に依存するので、NOx排出値を、式(13)と(14)にて与えられた係数をかけて、周囲空気温度と湿度に対し補正しなければならない。
(NOxコード5.12.3.1関連)
2)標準温度25℃における湿度の標準値10.71 g/kgを、本要領を通じ湿度補正を含む全ての計算に使用しなければならない。10.71 g/kgの代わりに湿度に対する他の値を使用してはならない。
(NOxコード5.12.3.2関連)
3)給気装置(空気加湿)により噴射される水と水蒸気は、排出ガス制御装置と考えられ、そのため湿度補正に対してそれらを考慮してはならない。空気冷却器で凝縮された水は給気の湿度を変えることがあり、そのためその水を、湿度補正に対して考慮しなければならない。
(NOxコード5.12.3.4関連)
4)一般のディーゼルエンジンに関して、KHDIESの計算には、下記の式を使用しなければならない。
(NOxコード5.12.3.5関連)
 
 
 ここで:
A=0.309 GFUEL / GAIRD - 0.0266
B=-0.209 GFUEL / GAIRD - 0.00954
Ta=空気温度(K)
Ha=吸気の絶対湿度(乾き空気に対する水分量)(g/kg)
(式(10)で決定)
 
5)中間空気冷却器付きディーゼルエンジンに関し、下記の代替式(14)を使用しなければならない。
(NOxコード5.12.3.6関連)
(1)吸気の湿度を得るために、下記を考慮する。
HSC=吸気の絶対湿度(乾き空気に対する水分量)(g/kg)
HSC=6.220・PSC・100 / (PC−PSC
ここで:
PSC=吸気の飽和蒸気圧(kPa)
PC=吸気圧(kPa)
(2)Ha≧HSCの場合、式(14)のHaをHSCに置き換えて使用しなければならない。この場合、GEXHWGEXHWCorrectedとして訂正して使用しなければならない。
GEXHWCorrectedGEXHW・(1 - (Ha - HSC) / 1000)
(3)Ha < HSCの場合、式(14)のHaをそのまま使用しなければならない。
 
 
 ここで:
TSC=冷却器後の吸気温度
TSCRef=海水温度25℃に対応する冷却器後の給気温度
   (製造者によって指定されるTSCRef
注:他の変数の説明に関して、式(13)を参照のこと。


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