4 船舶からの大気汚染防止
附属書VIの発効
4.1 当委員会は、2004年3月29日の時点でMARPOL 73/78附属書VIが世界の商船の総トン数の54%以上を支配する13カ国によって批准されたこと、また、発効に必要となる批准国数が3カ国だけになったことを銘記した。
4.2 当委員会は、MARPOL 73/78の1997年議定書批准のための国内手続きが最終段階にあり、附属書VIの批准書を2004年末までに寄託できるであろうという、バルバドス、キプロス、日本及びポーランドの声明を歓迎した。このことは発効条件を満足でき、2005年の内に附属書が発効することを意味している。
決議A.963(23)
4.3 当委員会は、第23回総会が、決議A.963(23)により、船舶からの温室効果ガスの排出に関するIMO公式方針を確立した、“船舶からの温室効果ガス排出削減に係るIMO方針及び措置”を採択したことを想起した。
IMO及びUNFCCC事務局間の協力
4.4 当委員会は、UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)科学及び技術面に係る補助組織(SBSTA)が、その第18会期において、MEPC 49に対し、2004年6月にドイツのボンにおいて開催予定の第20回SBSTA 以前に、大気汚染に関する作業部会のメンバーの専門家の参加を伴った両事務局間での非公式専門家会合又はワークショップの創設を、IMO事務局に指示するよう要請したことを想起した。
4.5 当委員会は、MEPC 49が、IMO加盟国に対し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)からの“国内温室効果ガス目録のための改正1996ガイドライン”の改正への参加要請を受け入れるよう強調したことを想起した。
4.6 当委員会は、SBSTA 19(2003年12月1〜9日、イタリアのミラノ)の結果に関する事務局からの情報を銘記した。SBSTA 19はIMO及びUNFCCC事務局間の現行情報交換を奨励し、また、IMOに対し、2004年6月16〜25日にドイツのボンで開催予定のSBSTA 20に当委員会の結果を報告するよう要請した。当委員会は、事務局に対し、SBSTA 20に出席し、要請された情報を提供するよう指示した。
4.7 当委員会は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、国内温室効果ガス目録のための改正1996ガイドラインの改正版の執筆者を選択中であること、また、水上輸送航海からの排出が、考慮すべき重要な排出源の一つであることを銘記した。それゆえ、当該執筆実施には、経験及び知識を有する執筆者が必要となるわけである。
4.8 当委員会は、大気汚染作業部会に対し、この問題を審議し、IMO執筆者推薦についての当委員会による検討のための勧告をするよう指示した。
船舶からの温室効果ガス排出に関する中間期通信部会報告書
4.9 当委員会は、MEPC 49が、ノルウェーの指導の下での中間期通信部会の設置で合意し、文書MEPC 49/22の附属8に記載の付託事項を承認したことを想起した。
4.10 調整者としてのMr. Kjell Olav Skjolsvik(ノルウェー)が、船舶からの温室効果ガス排出に関する通信部会報告報告書(MEPC 51/4)を紹介した。また、ノルウェー提出文書(MEPC 51/4/2)及びドイツ情報文書(MEPC 51/INF.2)についても当委員会に情報提供された。
4.11 通信部会(MEPC 51/4)報告書の審議において、ブラジル、インド、インドネシア、パキスタン、シンガポール(4.11.4項を除く)及びサウジアラビアの支持を受けた中国代表団が以下の見解を表明し、当委員会によって銘記された。
.1 決議書A.963(23)の実施については、当該決議の原則及び精神に従い、かつ、UNFCCに忠実であること。
.2 UNFCCC附属書1諸国は、1992年のリオの国連環境開発会議(UNCED)で合意され、1997年京都議定書として具体化された、共通ながらも違いのある責任原則並びに先進国から発展途上国への技術移転及び財政支援に従った温室効果ガス排出の削減についてリーダーシップを取ること。
.3 決議へのA.963(23)の技術的フォローアップについては、上述第4.11.2項記載の原則に基づいてのみ実施可能であること。
.4 大気汚染作業部会は上述の原則が正式に配慮されるまでは、通信部会報告書について審議しないこと。
4.12 一方、当委員会は、大多数の代表団が以下のような異なった見解を述べたことを銘記した。
.1 当外通信部会の結果が、温室効果ガス排出の削減又は制限に関する決議A.963(23)の要件に応諾していること。
.2 総体的な通信部会の作業が、海運界により支持されていること。
.3 さらに環境に優しい輸送形態を発達させるためには、排出基準線及び指標の作成作業が必要であること。
.4 海運界が国際貿易の発達に伴って成長しているにもかかわらず、環境に優しい輸送形態として考えられていること。
4.13 当委員会は、第23回総会の決定及び採択された決議A.963(23)を想起したが、これらの事項については、当該総会においていかなる合意にも至ることができず、それゆえ通信部会報告書の審議を含め、この議題に十分な検討時間が割けるMEPC 52におけるさらなる審議まで先送りすることで合意されたことを想起した。
フォローアップ活動の進捗状況報告書
4.14 当委員会は、NOx技術コード実施に係るガイドラインに関するDE 47における進捗状況についての事務局情報(MEPC 51/4/1)を銘記して、期待されるMARPOL附属書VI発効に鑑みて、当該ガイドライン作成の優先度を‘低’から‘高’と変更するで合意した。
4.15 当委員会は、文書MEPC 51/4/1の第6項に記載の、バルチック海及び北海海域におけるSOx排出規制についての効力発生及び実施規準に関する説明を銘記した。
船舶に供給される燃料油の残留硫黄含有率の世界的平均監視のための資金提供を含む他の事項
4.16 当委員会は、MEPC 49が、燃料油の残留硫黄含有率の世界的平均に関するプロジェクトのための資金が2003年末に枯渇する旨を、また、資金が利用できることを条件に、2年以上の監視活動の継続を、オランダに準備させることになる旨を銘記したことを想起した。
4.17 さらに、当委員会は、MEPC 49が、加盟国及び事務局に対し、IMO予算からの資金提供を理事会にアプローチする前に、プロジェクト継続のための資金提供の自主的枠組みのさらなる可能性について、今会期に探索するよう要請したことも想起した。
4.18 当委員会は、自主的資金提供の枠組みの可能性について審議し、オランダ及び英国からの負担金の申し出を歓迎した。当委員会は、作業部会に対し、各代表からのコメントを考慮して、さらなる可能性について検討するよう指示した。
大気汚染作業部会の設置
4.19 当委員会は、岡村敏氏(日本)部会長の下、大気汚染作業部会を再設置し、以下の作業のための付託事項で合意した。
.1 必要なフォローアップ活動明確化のための、総会決議書A.963(23)の吟味
.2 IMO及びUNFCCC両事務局間の協力に関するGHG活動の検討
.3 IPCC作業へのIMO参画の検討及び勧告作成
.4 硫黄分監視プロジェクト継続の観点からの、プレナリー・メンバーのコメントに基づいたプロジェクト継続のための資金提供についての詳細な検討
.5 2004年4月1日木曜日の、当委員会への報告書提出
4.20 中国、インド及びサウジアラビアの代表団は、大気汚染作業部会の設置容易ならぬ保留の立場を表明し、上述付託事項に同意しなかった。
作業部会報告書
4.21 当委員会は、作業部会報告書(MEPC 51/WP.6)を受け取ったが、合意には至ることができなかった。
4.22 中国、インド及びサウジアラビアの代表団が、以下の声明を行った。
.1 中国、インド及びサウジアラビアは作業部会における協議が、妥協点に至っていないことを遺憾に思う。大多数の意思は少数の意思に優先する。このことは、合意を通じたIMOにおける決定の伝統に合致したものではない。
.2 作業部会報告書については、共通ではあるが国連気象変動枠組み条約の規定、すなわち第4.8及び4.9項に基づく異なった責任という原則に従っておらず、また、UNFCCCの下での、先進国による発展途上国への、途上国が義務を満足するための資金及び技術支援の提供についても言及されていない。
.3 さらに、発展途上のIMO加盟国が作業部会において公平に代表されていないことも注目に値する。それゆえ、中国、インド及びサウジアラビアは、当該報告書が発展途上国の懸念を反映しておらず、また、このことを報告書から完全に切り離しているという見解である。
4.23 結果として、妥協策のため、議長が、2004年3月30日の火曜日の決定を再確認するために、非公式文書(MEPC 51/J/10)を作成した。広範囲な討議の後、議長は、3カ国の代表団により表明されたとの見解を考慮して、以下のとおり締め括くった。
4.24 文書MEPC 51/WP.6に関しては、当委員会は、作業部会報告書の承認で合意できなかった。それゆえ、当委員会は、2004年3月30日火曜日のプレナリーにおいて、次の決定事項のみを残すことを決定した。
.1 船舶からの温室効果ガス排出に関する通信部会報告書(MEPC 51/4、 MEPC 51/4/2及びMEPC 51/4/3)の審議については、MEPC 52まで延期することで合意したこと。
.2 2004年4月21日開催のIMO及びUNFCCC両事務局間の会合について是認したこと。
.3 硫黄分監視プロジェクトへのオランダ及び英国におそらくは他の国も加えた負担金提供について歓迎したこと。
.4 加盟国等に、硫黄分監視プロジェクト継続のための追加資金の提供を求めること。
4.25 バングラデシュ、中国、インド、パキスタン及びサウジアラビアの代表 団が、MEPC 51/J/10の第4.2項の修正を提案したこと。
原案:“事務局に対し、他の輸送モデルへの共通だが異なった責任原則の適用を調査する観点から、UNFCCC事務局へのアプローチを要求する。”
修正案:“事務局に対し、国際海運業への共通だが異なった責任原則の適用について、UNFCCC事務局へのアプローチを要求する。”しかしながら、若干数の国の代表団の主張によって、議長はMEPC 51/J/10の第4.2項が削除されることになると決定した。
4.26 5カ国の代表団が、UNFCCC規定の根底にある、共通ながらも異なった責任並びに先進国から発展途上国への技術移転及び財政的支援について、また、これらの原則が総会決議A.963(23)においても反映されているのかについて再確認した。
4.27 これらの原則はさらなる検討のベースとして回章されたMEPC 51/J/10でにおいて明白に認められたものではなく、バングラデシュ、中国、インド、パキスタン及びサウジアラビアの代表団は、上述第4.24項に対する当該諸国の保留の立場を登録している。
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