組織間相互協力
3.14 当委員会は、MEPC 49において、船舶リサイクリング問題に関し、IMO事務局が、ILO及びバーゼル条約事務局との緊密な連携役割及び意見交換を継続すべきことで合意されていることを想起した。
3.15 さらに当委員会は、バーゼル条約事務局(SBC)に対する、IMOとILOと共に、船舶解体に関する組織間相互技術支援計画の進展を探ること、また、当該問題及び要求される解決策の性格についての共通の理解に達する手段として、IMO及びILOとの共同作業部会の設置を検討するという第6回バーゼル条約加盟国会議の要請に関し、MEPC 49が、原則としてこれらの提案を支持し、事務局に対し、相互技術支援計画の目的案、及び今会期(MEPC 51)における当該共同作業部会による検討への付託事項案を準備するため、ILO及びSBCと連携するよう要請したことも想起した。
3.16 事務局が、船舶リサイクリング問題に関する組織間相互協力を前進させるため、特に、船舶リサイクリング問題についてのILO/IMO/バーゼル条約共同作業部会の提案及び相互技術支援問題の審議のために、2004年1月13〜14日にジュネーブのILO本部において開催されたIMO、ILO及びバーゼル条約事務局間の共同会合の報告を記載している文書MEPC 51/3を紹介した。
3.17 バーゼル条約事務局の代表者が、ここ数年、IMO、ILO及びバーゼル条約の関連団体は、船舶リサイクリングのための防止及び保護方策の世界的にみて最も包括的なセットを提供する技術的ガイドラインの準備に高品質の入力を与えるように、熱心に作業しているという見解を表明した。IMO、ILO及びバーゼル条約間の協力については、船舶リサイクリング施設における人間健康の保護及び環境の改善並びにこれらの目標達成のための資源流通のために必要な、国際的レベルにおける一貫性の構築に有益かつ本質的なものとなっている。また、船舶リサイクリングについては国際的優先課題として残ることになり、そのゆえ、人々及び環境の利益に向けての課題に応ずるためにも、この有益な協力を続けるべきであるとも述べた。
3.18 当委員会は、IMO、ILO及びバーゼル条約事務局間の共同会合の報告書(文書MEPC 51/3)を審議し、船舶リサイクリング関連問題に関するIMO、ILO及びバーゼル条約締約国会議の作業計画及び活動について協議、調整及び協力するための基盤として活動すべきIMO/ILO/バーゼル条約共同作業部会の設置で合意した。共同作業部会は、3つの組織の間の作業、責任及び資格の重複の回避を目標とした、船舶リサイクリング関連事項への組織的アプローチを追求すべきである。
3.19 また、IMO/ILO/バーゼル条約共同作業部会については、MEPCから付託された船舶リサイクル問題についての作業を続行しなければならないMEPC船舶リサイクリング作業部会に、優先するか又は取って代わるものではないと解釈するべきことで合意した。
3.20 IMO/ILO/バーゼル条約共同作業部会への付託事項及び臨時的取り決め事項に関して、当委員会は、MEPC作業部会に対し、文書MEPC 51/3の附属第9〜12項に含まれている関連提案を検討し、かつ、いかなる必要な手直しも当委員会へ提唱するよう指示した。
OEWG II/4の決定
3.21 当委員会は、バーゼル条約の無制限(open-ended)作業部会(OEWG)第2回会合によって採択された、“船舶の全体的及び部分的解体の法的側面”に関する決定II/4を銘記した。
船舶解体における安全・衛生に関するILOガイドライン
3.22 当委員会は、文書MEPC 51/INF.4で提示されているように、バンコクで開催(2003年10月7日〜14日)されたアジア主要国及びトルコでの船舶解体における安全及び衛生に関するILO地域間の3者間専門家会合の結果、特に船舶解体の安全及び健康:アジア諸国及びトルコのためのガイドライン案の採択について銘記した。
作業部会への指示
3.23 上記の議論に続き、当委員会は、下記の付託事項をもって船舶リサイクリング作業部会を設置することで合意した。
.1 文書MEPC 51/3の附録第9〜12項において提案されている、IMO/ILO/バーゼル条約共同作業部会のための付託事項及び作業協定を検討し、必要に応じてそれらを洗練すること。
.2 船舶リサイクリングガイドライン実施促進のためのメカニズム検討のベースとして、文書MEPC 51/3/4に記載の方法論を用いること。作業部会は、ガイドライン又はガイドラインのある部分の強制化についての提案の検討は差し控えなければならない。しかしながら、強制的枠組みが、ガイドラインの特定の要処置事項実施のための唯一の適切な選択肢とみなされる場合については、当委員会での審議のため、当委員会に注意喚起しなければならない。
.3 船舶リサイクリングプラン作成を支援するさらなる技術的考慮の進展のため、カナダ提出文書MEPC 51/3/2を検討すること。また、ガイドライン規定応諾の必要性を考慮に入れて、当該技術的考慮に必要な修正について立案すること。
.4 プレナリーでの審議結果及びこの議題の下の提出物を考慮して、MEPC 49(MEPC 49/22/Add.1、附属4)で承認された将来の作業項目のリストに基づいて、船舶リサイクリングに関する作業を継続すること。
.5 2004年4月1日(木曜日)に、書面による報告書を当委員会に提出すること。
作業部会の結果
3.24 船舶リサイクリング作業部会は、Captain Moin Ahmed(バングラデシュ)の議長の下に、2004年3月30〜31日に開催された。当委員会は、作業部会報告書(MEPC 51/WP.5)を受け取って、以下の措置を講じた。
IMO/ILO/バーゼル条約共同作業部会
3.25 当委員会は、船舶リサイクリング作業部会が、文書MEPC 51/3の附属第9項に提案されている、IMO/ILO/バーゼル条約共同作業部会(以後、共同作業部会と表示)付託事項を検討し、いくつかの編集上の小修正を加えたことを銘記した。作業部会によって改正された文章は附属に記載されている。
3.26 また、当委員会は、作業部会において、数多くの代表団が、共同作業部会が、船舶リサイクリング関連事項については、IMO、ILO及びバーゼル条約への締約国会議の間における、作業、責任及び能力の重複回避を目標とした組織的アプローチを追求すべきことを考慮に入れた、船舶リサイクリング関連3組織における種々の責任及び能力についての見直し及び明確化が必要であるという見解を表明したことを銘記した。
3.27 文書MEPC 51/3の附属第10項及び11項に提案されている、共同作業部会の作業協定に関連して、当委員会は、作業部会が、共同作業部会への参加については、海運、造船及び船舶リサイクリング産業など利害関係者利益など船舶リサイクリングの問題に関する種々の立場及び利害関係を持つあらゆる国々の代表者はもちろん、本件に関心を持つ世界中のあらゆる物理的地域の代表者も確保されるべきことで合意した旨を銘記した。
3.28 また、当委員会は、作業部会が、効率的かつ経済的作業協定を確保する必要性を考慮に入れて、他の加盟国の代表及び政府間又は非政府組織の代表者がオブザーバーとして参加できるという理解の下に、各組織から5ヵ国ずつを共同作業部会に参加させるべきと提案することで合意した旨を銘記した。
3.29 また、当委員会は、共同作業部会の報告書については、すべての関係者に容易かつ適時にアクセス可能であるように、3つの組織の公的ウェブサイトに掲示されるべきという作業部会提案も銘記した。
船舶リサイクリングIMOガイドラインの実施を促進するメカニズム
3.30 当委員会は、作業部会が、日本提出文書MEPC 51/3/4で提案されている方法論をベースとして用いて、ガイドラインにとっての初期のキーとなる要処置事項のリストを出発点として準備し、ガイドライン実施促進のための、責任を有する利害関係者をも特定した実行可能なメカニズム一式を作成したことを銘記した。
3.31 また、当委員会は、文書MEPC 51/WP.5の附属2に記載の作業部会の結果についても銘記した。当該結果は、ガイドラインに提供されるすべての主要措置促進のためのあらゆる実行可能かつ適切なメカニズムの包括的解析、また、その後の特定されたメカニズム作成の準備のために必要な今後の作業の出発点として検討されるべきものである。
3.32 また、当委員会は、作業部会が、ガイドライン、特に第8.1.3項に記載の提言のできる限り早期の実施を促進するため、船舶リサイクリングに関する関係当局の連絡先についての情報提供をリサイクル国に要請することを当委員会に提言することで合意した。
船舶リサイクリングプラン
3.33 船舶リサイクリングプラン計画の作成を支援するためのさらなる技術的検討事項の作成について、当委員会は、作業部会が、カナダ提出文書MEPC 51/3/2の審議において、当該文書において提案されている技術的検討事項には多くの有益な情報及び助言が含まれているとはいえ、これらの検討事項を、船舶リサイクル作業に特有の特徴及びガイドラインの関連規定に適切に適合させるため、さらなる作業が必要となることで合意したことを銘記した。
3.34 当委員会は、船舶リサイクリング計画の準備支援のための技術的検討事項については、当計画を、船主と協議の上、リサイクリング施設により作成するべきことを反映しなければならず、また、具体的契約条件、船舶の準備が実施されることになる場所、リサイクリング船舶の最終航海、及び有害物質を取り扱うためのリサイクリング施設の能力など、船舶リサイクリング工程に適用できる様々なシナリオ及び状況に適応するための柔軟性要素を含まなければならないという作業部会の見解を銘記した。
3.35 また、当委員会は、作業部会が、まず船舶リサイクリング計画の基本的内容を検討し、必要となる技術的付随データ及び助言を特定することで合意して、出発点として、文書MEPC 51/WP.5の附録3に記載されている、基本的内容の要点をまとめた船舶リサイクリング計画の骨格案を作成したことを銘記した。さらに、当委員会は、当該骨格案の内容が実例となり、かつ、当該計画の最終化にはさらなる作業が必要であることを銘記した。
船舶リサイクリングガイドライン附録1〜3
3.36 船舶リサイクリングガイドライン附録1〜3について、当委員会は、作業部会が、これらの附録の見直し及びさらなる作成については、主として当該ガイドラインの実施により得られる経験を基にすべきであると認識した上で、船上の潜在的危険物質の特定及び関連目録作成に関し、当該ガイドライン規定の実際的実施のための情報を、船舶リサイクリング業及び海運業界並びに他の利害関係者に対しMEPCに提出するよう要請することを当委員会に提案することで合意した旨を銘記した。
3.37 また、当委員会は、作業部会が、これらの附録のさらなる作成に必要な見直し及び検討のため、提供された情報に基づいたさらなる作業が必要となることで合意した旨も銘記した。
船舶“リサイクル準備完了”宣言規準
3.38 船舶“リサイクル準備完了”宣言の規準に関して、当委員会は、作業部会がこの件に関して徹底的に討議して、これらの規準が主管庁により適用されるべきであり、かつ、ガイドライン第9.2.1項に規定のように、基本的規準については、ガイドライン第8節に従ったリサイクリングのための船舶の準備作業となることで一般的認識した旨を銘記した。
3.39 さらに、当委員会は、作業部会において、数多くの代表団が、現段階では、これらの基準一式を作成するにはやや時期尚早であると提案したこと、また、討議の結果、作業部会はさらなる作業については、当該規準のアプローチ及びそれに続く作成に関する考慮が必要であることで合意した旨も銘記した。
リサイクリングに向かう船舶の通報制度
3.40 当委員会は、作業部会が、インド提案のリサイクリングに向かう船舶の具体的船舶通報制度の序論について手短に検討したこと、また、時間的制約及びかなりの数の重大かつ複雑な問題を考慮して、インドに対し、徹底的な検討のため、文書MEPC 51/WP.5第8.1項で提案されている通信部会に、インド提案を提出するよう要請したことを銘記した。
技術協力
3.41 当委員会は、作業部会が、文書MEPC 51/3の附属第18及び19項に含まれている、船舶リサイクリング問題に関する各機関の間の技術支援の枠組み提案について検討したこと、また、その提案への支持を表明して、その承認を当委員会に要請したことを銘記した。
当委員会のとった措置
3.42 当委員会は作業部会報告書(MEPC 51/WP.5)について総体的に承認した。特記事項は以下のとおりである。
.1 附属3に記載のILO/IMO/バーセル条約共同作業部会への委託事項を承認した。
.2 文書MEPC 51/3の附属10及び11項に提案され、かつ、作業部会によりさらに明確化された、ILO/IMO/バーセル条約共同作業部会のための臨時取り決めに同意した。
.3 バングラデシュ、日本、オランダ、ノルウェー及び米国が、他の加盟国代表団及び政府間組織もしくは非政府機関が共同作業部会に参加し、オブザーバーとして参画できるという了解の下に、IMOの代表となるべきことで合意した。
.4 MEPC事務局に対し、当委員会のILO/IMO/バーセル条約共同作業部会関係事項の検討結果について、ILO及びバーセル条約の事務局に通知するよう指示した。
.5 文書MEPC 51/3の附属18及び19項に含まれている船舶リサイクリングの課題についての、各機関の間の技術支援の枠組みに同意した。
.6 緊急事項として、リサイクリング国に対し、船舶リサイクリング関連管轄当局の連絡先についての情報を、普及のためIMOに提出するよう要請した。
.7 船舶リサイクリング業及び海運業界並びに他の利害関係者に対し、船上の潜在的危険物質の特定及び関連目録作成に関し、当該ガイドライン規定の実際的実施のための情報をMEPCに提出するよう要請した。
.8 中間期におけるさらなる作業の進展ため、附属4に記載の通信部会 *の設置及び同部会への委託事項に同意した。
.9 次回MEPCにおける船舶リサイクリング作業部会の再設置で合意した。
3.43 当委員会は、文書MECP 51/WP.5の附属2に含まれる“船舶リサイクリングIMOガイドラインの実施促進に実行可能なメカニズム及び方策”の表中における“利害関係者”に、現段階において船級協会を含むことについてのIACS(国際船級協会)反対声明に答えて、IACSに対し、中間期通信部会に参加し、IACS見解を提出するよう要請した。
* 通信部会調整者
Capt. Moin Ahmed
Deputy Permanent Representative of Bangladesh to IMO
Bangladesh High Commision
28 Queen's Gate
London SW7 5JA
United Kingdom
Tel: +44(0)20 7584 0081
Fax: +44(0)20 8262 8434
E-mail: moin@bscuk.fsnet.co.uk
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