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2 バラスト水中の有害水生生物
2.1 当委員会は、船舶バラスト水管理のための国際会議(2004年2月9日〜13日)において、“2004年船舶バラスト水及び沈殿物の管制及び管理のための国際条約”が採択されたことに加えて、MEPCが先行して果たすべき作業について概説した3つの決議並びにバラスト水管理事項のための技術協力及び支援を構築することに関する1つの決議を銘記した。
 
2.2 さらに、当委員会は、バラスト水管理条約は2004年6月1日から2005年5月31日まで、署名のために開放されることも銘記し、条約の早期の発効促進のため、当条約の完成に寄与したすべての国の代表団に対し、できるだけ早期に条約に署名するよう強調した。
 
2.3 オーストラリア代表団は、生物多様性に関する条約(CBD)のDecision VI/23が2002年4月の第6回締約国会議で採択されたことを述べ、バラスト水条約の序論については、豪が当該2002年4月会議においてその採用に公式に異議を唱えていたものが、妥当な方法で考慮されないまま採用されてしまったことに言及した。豪は、当該Decisionに含まれる指針が、貿易保護論者の意図のために乱用され得る文言を含むことを根拠に反対した。豪の立場は、締約国会議における公式決定の提案に対する一つの公式反対でも、合意による採択から当該決定提案を防止するのに十分であるというものである。豪は、当委員会に対し、同国がバラスト水管理条約に批准又は加盟する場合、現在のものと同様の解釈の声明を提出することになることを報告した。
 
2.4 米国は、豪声明と連携して、当委員会に対し、このことの決定の採用に起因する手続きに関するいくつかのCBD代表例の保留事項を反映するため、CBD事務局がDecision VI/23へのすべての関連事項に脚注を付すことを促した。
 
2.5 当委員会は、オーストラリアの解釈的声明及び米国によって提供されたDecision VI/23の脚注に関する情報を銘記した。
 
条約実施に向けた行動計画の作成
 
2.6 当委員会は、“船舶バラスト水管理についての国際会議の結果及びフォローアップアクション”に関する文書MEPC 51/2に基づいたバラスト水条約実施に向けた行動計画の作成及び承認について、今会期で集中的に審議することで合意した。
 
2.7 ブラジル代表団が、決議1に含まれるガイドラインのリストに緊急事態に関することが何も含まれていないことを表明し、このようなガイドラインの作成を提案した。
 
2.8 当委員会は、作業部会に対し、規則C-1の下の“追加方策”ガイドラインに併せ、当該ガイドラインの作成を検討するよう指示することで合意した。
 
2.9 当委員会は、外交会議の結果及び提案されているフォローアップアクションに関する以下の見解を銘記した。
 
.1 国際会議で採択された決議1に記載のすべてのガイドラインは最優先事項とみなすこと。
 
.2 決議1の効力発生に関する第7項は、2つの異なった事項に言及しているので、2つの個別ガイドラインに分割すること。
 
.3 すべてのガイドラインについては統合した出版物とすることが望ましいので、個々のいかなるガイドラインの採択も遅れないようにすること。
 
2.10 当委員会は、以下の委託事項をもって、Mr. Mike Hunter(英国)議長の下にバラスト水作業部会を再召集することに合意した。
 
.1 条約と様々なガイドラインの相互関係を部会内で吟味し、その達成可能な時機について委員会に助言すること。
 
.2 条約の実施に向けた、次の事項からなる行動計画の作成
 
.1 バラスト水管理条約をサポートする、決議1に列記されていないが必要となる追加指針を含む、国際会議決議1に列記されたガイドライン及び手続きのタイムリーな作成のためのプログラム。優先順位、達成可能期限並びに他のIMO委員会及び小委員会から要求されるinputの同定に留意すること。
 
.2 MEPC 53において完成されるはずの規則D-5に規定の見直しプログラム、また、国際会議決議2及び4を考慮に入れた、通信部会を通じた、中間期必要作業を含む見直し実施のための勧告
 
.3 国際会議文書BWM/CONF/10、BWM/CONF/16及びBWM/CONF/INF.6に含まれている情報を考慮し、かつ、基本的な文書としてBWM/CONF/INF.4及びBWM/CONF/INF.5の内容を利用することによって、上述第2.1項に記載のガイドラインのさらなる作成
 
.4 2004年4月1日木曜日の委員会への報告書提出
 
バラスト水作業部会報告書
 
2.11 当委員会は、作業部会報告書(MEPC 51/WP.4)を審議し、以下の措置を講じた。
 
.1 バラスト水条約の統一的実施のためのガイドライン作成のためのプログラムを承認し、関連小委員会に対し、附属1に記載コメントを要請した。
 
.2 附属2に記載の見直しプロセスをMEPC 52において承認するという作業部会勧告を是認した。
 
.3 MEPC 53で実施のD-5規則の下で要求される見直しを促進するため、ガイドライン(G8)及び(G9)を緊急に最終化する必要があるという作業部会の見解を銘記した。
 
.4 さらなる作業を中間期に実施すべきであるという作業部会勧告を銘記し、加盟国政府及びオブザーバーに対し、次の取り決めに従ってco-ordinatorに貢献するよう強調した。
 
.1 オランダはガイドライン(G8)及び(G9)
(連絡先Mr. Frans Tjallingii:f.j.tjallingii@dnz.rws.minvenw.nl)
.2 英国はガイドライン(G4)、(G6)、(G11)、(G1)、(G12)及び(G5)
(連絡先Capt. Graham Greensmith:graham.greensmith@lr.org)
 
.3 ノルウェーはガイドライン(G7)、(G10)及び(G13)
(連絡先Mr. Sveinung Oftedal:sveinung.oftedal@sjofartsdir.dep.no)
 
.4 独はガイドライン(G2)
(連絡先Mr. Stephan Gollasch:sgollasch@aol.com)
 
.5 ISAFにガイドライン(G3)
(連絡先Mr. Michael Devonshire:isaf@mike-devonshire.co.uk)
 
.5 特に、加盟国政府及びオブザーバーに対し、ガイドライン(G8)の作成及び採択を促進する中間期作業及びMEPC 52に、設計及び設備の専門家が参加するよう要請した。
 
.6 旗国小委員会(FSI)に対し、条約の規則E-1に従った検査ガイドラインを作成し、2回のFSI会期で完成されるべき高優先度項目をFSI作業計画の中に含めることを指示した。
 
.7 技術協力委員会(TC)に対し、発展途上国、特に小島発展途上国の開発上のニーズに関連した社会経済的影響を具体的に審議し、MEPCに適切に助言するよう要請することで合意した。
 
.8 バラスト水作業部会中間期会合を、IMOの費用負担のない、MEPC 52事前の週に開催することを承認した。
 
.9 ガイドライン(G8)及び(G9)を最終化し、本報告書附属2に記載の見直し手順を確認し、かつ、許容時間内に可能な限り他のガイドラインについて進展するために、MEPC 52会期中にバラスト水作業部会を再召集することで合意した。
 
2.12 サウジアラビア代表団は、当委員会に対し、同国の船社の一つによる組み込み式(built-in)バラスト水交換方策の開発状況について、また、船舶設計設備小委員会(DE)に、この件に関する詳細な報告書を提出するという同国の意向について銘記するよう要請した。
 
3 船舶リサイクリング
3.1 当委員会は、シップリサイクリングに関するIMOガイドラインがMEPC 49で最終化された後に、第23回総会で決議A.962(23)によって採択されたことを想起した。
 
3.2 さらに、当委員会は、MEPC 49が、シップリサイクリングに係る将来の作業項目のリスト(MEPC 49/22/Add.1、附録4)を審議かつ承認し、シップリサイクリングに係る作業を継続する作業部会を今会期に設置することで原則的に合意したことを想起した。
 
3.3 また、当委員会は、MEPC 50が、Prestigeの結果としてのMARPOL附属書Iの改正で、特定期間内にリサイクル船舶数が増加することになり、結果としてシップリサイクル施設及び能力のニーズの増大となることを認識して、世界的レベルで適切なシップリサイクリング施設を維持し、かつ、シップリサイクリング作業における環境及び安全レベルを向上させる研究及び開発計画の推進に指導力を発揮すべきことを勧告する決議MEPC.113(50)を採択したことを想起した。
 
第23回総会の結果
 
3.4 当委員会は、文書MEPC 51/11/4の第6〜9項において報告されている、シップリサイクルIMOガイドラインに関する第23回総会の結果を銘記し、本件に係る審議にこの結果を考慮に入れることで合意した。
 
シップリサイクリングに関する将来の作業
 
3.5 当委員会は、MEPC 49によって承認された、シップリサイクリングに関する将来の作業項目について事務局が列記した文書MEPC 51/3/1を銘記し、本件に関するカナダ(MEPC 51/3/2)、日本(MEPC 51/3/4)、フランス(MEPC 51/3/5)及びグリンピース・インターナショナル(MEPC 51/3/6及びMEPC 51/INF.11)提出文書を審議した。
 
3.6 当委員会は、さらなる技術的な詳細並びにIMOガイドライン第8.3.2.6節に従ったシップリサイクリング計画の作成を援助するための助言を提供している、カナダ提出文書MEPC 51/3/2を審議し、当該カナダ文書に含まれているガイドライン規定に完全に応諾するように、作業部会に対し、さらなる検討及び調整のため当該文書を付託することで合意した。
 
3.7 日本が、同国文書MEPC 51/3/4において、シップリサイクリングIMOガイドライン実施促進のためのメカニズム又は方策の審議に適用されるべき方法に関するコメント及び提案を提供した。日本の見解においては、ガイドラインの実施については、可能性のある選択肢の費用便益はもちろん、個々の提案メカニズム実施の可能性を考慮して、ガイドラインで規定される個々の対策の特色に依存する異なったメカニズムにより促進可能となる。重要決定項目のうち幾つかの実施を促進することの可能な手段の例が文書MEPC 51/3/4の附属1に述べている。キーとなるいくつかの対策の実施促進のための可能性のある対策事例については、文書MEPC 51/3/4附属1に記載されている。また、日本は、強制スキームが必要な場合には、その適用については、当該日本文書の附属2に列記されている多くの事項及びパラメータについての慎重な検討が必須となることを強調した。
 
3.8 過半数の代表団が、日本提案への支持を発言し、特に、ガイドライン実施を促進する可能性のあるメカニズムの検討材料については、MEPCがシップリサイクリング問題を効率的に進捗するための有益な方法を提供するバランスのとれた提案と考えていた。
 
3.9 相当数の代表団が、日本提案の基本的な原則には反対しない一方で、シップリサイクリングIMOガイドラインを非強制的なものとして採択している第23回IMO総会による最近の決定に言及し、現段階でのガイドライン強制化審議については、時期尚早であるという意見であった。彼らは、ガイドラインの実施により十分な経験が得られるまで、ガイドラインを強制制度とする可能性についてのMEPC審議を差し控えるべきと提案した。
 
3.10 当委員会は、重要な議論の後に、作業部会に対し、ガイドラインのキーとなる個々の対策項目実施の促進となる適切なメカニズムの特定を目標としたさらなる検討のためのベースとして、文書MEPC 51/3/4提供の方法論及び情報を用いることを指示することで合意した。当委員会は、作業部会に対し、現段階では、ガイドライン又は若干の部分の強制化についての提案の検討を差し控えるよう指示した。しかしながら、強制スキームが、ガイドラインにおける特定の対策項目実施のための唯一の適切な選択肢とみなされる場合、当委員会での審議のために、当委員会に問わなければならない。
 
3.11 フランス(MEPC 51/3/5)が、リサイクリングに向けた船舶についての、有害廃棄物の除去を含む強制的な準備、また、リサイクリング施設の至近でスクラップを待っているすべての船舶のための“リサイクリング準備証書”を発行する旗国の強制要件の導入を提案した。すべての船舶に“グリーンパスポート”を強制化し、ポートステートコントロールの際に同パスポートを検査できるようにすることも提案している。フランスは、“リサイクリング準備証書”要求の前提条件として、船舶を環境に優しい方法でリサイクルする能力を持っているリサイクル施設のみでの工程を認可する、リサイクル国による免許制度の導入を提案している。また、フランスは、リサイクリング施設における基盤整備及び業務慣例を改善するための国際協力及び援助の必要性を考慮して、船舶準備要件に違反した場合に課される罰金を資金とした国際協力基金設立について検討すべきと提案している。
 
3.12 グリンピース・インターナショナルからのオブザーバーが、文書MEPC 51/3/6の紹介において、船舶リサイクリングIMOガイドラインも、船舶リサイクリング業界作業標準も、応諾を監視又は確保するためにどちらの文章も有効なメカニズムを含まなかったので、リサイクリング施設での労働者又は環境を保護するのに適切ではないという見解を表明した。加えて、両文書については、船主が船の“輸出”及び有害物質の存在について報告する義務のような実際の関与国及び基本的要素を欠いているとの見解も表明した。グリンピース提出文書MEPC 51/INF.11は、IMOガイドラインが、バーゼル条約並びに同条約要件に準拠して作成された原則及びガイドラインの要件に矛盾しているという見解を支持する分析結果を提供している。グリンピースは、2001年以来海運界ですでに合意された自主措置に従っていない2カ国の船舶解体国の調査結果を基に、当委員会に対し、ガイドラインの強制化に向けた準備作業及び評価を実施するよう要請し、リサイクリングを必要とする関与国に向かう船舶の効果的報告システム及び特定文書の提出を提案した。
 
3.13 当委員会は、MEPC 51/3/5及びMEPC 51/3/6に含まれる提案を銘記し、両文書を部会での討議で検討されるよう付託することで合意した。ガイドライン実施を促進するメカニズムの特定、“リサイクリング準備完了”を宣言する船舶のための詳細な標準の作成、また、これらの提案の要素のガイドライン強制適用への関連性、及び当面は法的問題から除外し、議論についてはガイドラインの実践上に関連した技術的事項の適用に関連した事項に絞るべきという理解について、作業部会が検討すべきことで合意した。


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