c. バクテリア
表II.5.2-15及び図II.5.2-3(1)〜(2)には大腸菌群数の変化を示し、表II.5.2-16及び図II.5.2-4(1)〜(2)には従属栄養細菌数の変化を示した。
大腸菌群数は、スペシャルパイプ処理の有無に係わらず、オゾンを2.5mg/ 及び5.0mg/ 注入するだけでIMO排出基準(大腸菌として250CFU/100 )を達成した。しかし、注入濃度1.0mg/ では、オゾンの注入だけではあまり殺滅することはできず、オゾン注入後にスペシャルパイプで処理した場合でも、処理直後では検出限界以下となり基準を達成したが、処理1日後には再び検出された。
従属栄養細菌は、IMO排出基準の対象ではない。しかし、基準で規定されているバクテリアを含め、広く一般環境中に存在する従属栄養細菌の全てを指す。よって、バクテリアに対する処理効果判定の指標になる。従属栄養細菌は、注入オゾン濃度1.0mg/ 及び2.5mg/ では、処理直後には減少するものの殺滅しきれず、その後再増殖している。注入オゾン濃度5.0mg/ のスリット部流速30m/sでは、オゾンを注入しスペシャルパイプで処理すると一時的に検出限界となるが、処理3日後に再検出され、完全に殺滅させることは出来なかった。それが、注入オゾン濃度5.0mg/ でスリット部流速が40m/sとすると、オゾンを注入してスペシャルパイプで処理した場合で、処理直後から完全に検出限界以下となり、完全にバクテリアを殺滅したものと考えられる。
以上のバクテリアに対する試験結果を総合すると、バクテリアを完全に殺滅するには、注入オゾン濃度5.0mg/ でスリット部流速が40m/sが処理条件となる。
表II.5.2-15 |
IMO排出基準対応システム試験における大腸菌群数の変化 |
注入オゾン濃度
サンプル |
大腸菌群(CFU/100) |
1.0mg/ |
2.5mg/ |
5.0mg/ |
5.0mg/ |
40m/s |
30m/s |
未処理原水 |
1,750 |
4,375 |
1,000 |
5,125 |
コントロール水 |
875 |
ND |
ND |
ND |
処理直後 |
ND |
ND |
ND |
ND |
処理1日後 |
250 |
ND |
ND |
ND |
処理3日後 |
125 |
ND |
ND |
ND |
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ここでいう“未処理原水”とは港湾自然海水をいい、“コントロール水”とはオゾンを注入しスペシャルパイプを通さない海水をいう。“処理”を冠してあるのは、オゾンを注入し、スペシャルパイプを通過させた処理水を表す。なお、数値は2回の試験の平均値。NDは検出限界以下。
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図II.5.2-3(1) |
IMO排出基準対応システム試験における大腸菌群数の変化 |
オゾン注入後:コントロール水(オゾンを注入しスペシャルパイプを通さない海水)、“処理”を冠してあるのは、オゾンを注入し、スペシャルパイプを通過させた処理水。なお、数値は2回の試験の平均値。NDは検出限界以下。
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図II.5.2-3(2) |
IMO排出基準対応システム試験における大腸菌群数の変化 |
オゾン注入後:コントロール水(オゾンを注入しスペシャルパイプを通さない海水)、“処理”を冠してあるのは、オゾンを注入し、スペシャルパイプを通過させた処理水。なお、数値は2回の試験の平均値。NDは検出限界以下。
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表II.5.2-16 |
IMO排出基準対応システム試験における従属栄養細菌数の変化 |
注入オゾン濃度サンプリング |
従属栄養細菌(CFU/100) |
1.0mg/ |
2.5mg/ |
5.0mg/ |
5.0mg/ |
40m/s |
30m/s |
未処理原水 |
557,500 |
451,250 |
220,000 |
928,333 |
コントロール水 |
173,750 |
6,250 |
625 |
667 |
処理直後 |
7,333 |
2,625 |
ND |
ND |
処理1日後 |
3,213,333 |
1,000 |
ND |
ND |
処理3日後 |
60,250,000 |
23,225,000 |
ND |
19,000 |
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ここでいう“未処理原水”とは港湾自然海水をいい、“コントロール水”とはオゾンを注入しスペシャルパイプを通さない海水をいう。“処理”を冠してあるのは、オゾンを注入し、スペシャルパイプを通過させた処理水を表す。なお、数値は2回の試験の平均値。NDは検出限界以下。
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図II.5.2-4(1) |
IMO排出基準対応システム試験における従属栄養細菌数の変化 |
(拡大画面:56KB) |
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オゾン注入後:コントロール水(オゾンを注入しスペシャルパイプを通さない海水)、“処理”を冠してあるのは、オゾンを注入し、スペシャルパイプを通過させた処理水。なお、数値は2回の試験の平均値。NDは検出限界以下。
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図II.5.2-4(2) |
IMO排出基準対応システム試験における従属栄養細菌数の変化 |
(拡大画面:47KB) |
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オゾン注入後:コントロール水(オゾンを注入しスペシャルパイプを通さない海水)、“処理”を冠してあるのは、オゾンを注入し、スペシャルパイプを通過させた処理水。なお、数値は2回の試験の平均値。NDは検出限界以下。
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