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(3)水生生物
a. 50μm以上の水生生物
 表II.5.1-9(1)〜(4)及び図II.5.1-2(1)〜(4)には50μm以上の生物数変化及び殺滅率を示した。
 未処理原水貯蔵サンプル中における50μm以上の生物数は、貯蔵1日後では植物及び動物プランクトンともに30%強の減少であった。貯蔵3日後になると植物プランクトンは99%近く減少し、7日後には99.9%、処理後には100.0%が減少した。一方、動物プランクトンは7日後までの減少が50%以下にとどまった。ただし、その7日後のサンプルをスリット幅0.3mm、スリット部流速40m/secで処理すると97.8%の減少となり、顕著な殺滅効果を得ることができた。
 植物プランクトンは、暗条件下における貯蔵のため光合成阻害により、3日後には大幅に減少した。これに対し、動物プランクトンは、時間経過と共に減少するものの、光に対する依存性が植物プランクトンほど大きくないため急激な減少はみられない。よって、特に動物プランクトンに対して、スペシャルパイプで処理することが有効である。
 
表II.5.1-9(1) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験における未処理原水サンプルの50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
サイズ区分 50μm以上 殺滅率(%)
対象生物 植物プランクトン
(細胞数/m3
動物プランクトン
(個体数/m3
合計
(生物数/m3
植物
プランクトン
動物
プランクトン
合計
未処理原水 2,918,667 134,467 3,053,133 - - -
1日後 1,979,233 88,400 2,067,633 32.2 34.3 32.3
3日後 34,333 78,533 112,867 98.8 41.6 96.3
7日後 3,333 68,133 71,467 99.9 49.3 97.7
7日後の処理 367 2,933 3,300 100.0 97.8 99.9
数値は3データの平均値
 
図II.5.1-2(1) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験における未処理原水サンプルの50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
(拡大画面:29KB)
数値は3データの平均値
 
 スリット幅0.1mm、スリット部流速40m/sでの処理による50μm以上の水生生物に対する殺滅率は、処理直後で80%以上となり、処理3日後には98%を越えた。
 
表II.5.1-9(2) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるスリット幅0.1mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
サイズ区分 50μm以上 殺滅率(%)
対象生物 植物プランクトン
(細胞数/m3
動物プランクトン
(個体数/m3
合計
(生物数/m3
植物
プランクトン
動物
プランクトン
合計
未処理原水 127,033 180,733 307,767 - - -
処理直後 32,000 28,567 60,567 74.8 84.2 80.3
処理1日後 4,000 3,033 7,033 96.9 98.3 97.7
処理3日後 3,333 467 3,800 97.4 99.7 98.8
処理7日後 6,000 <100(67) 6,067 95.3 100.0 98.0
処理7日後の
再処理
3,333 0 3,333 97.4 100.0 98.9
試験水20の1/2(10)を検鏡しているため、1m3あたりに換算すると最小単位が100生物数/m3となるが、数値は3データの平均値のため100生物数/m3以下の数値が算出される。
 
図II.5.1-2(2) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるスリット幅0.1mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
(拡大画面:26KB)
数値は3データの平均値
 
 スリット幅0.3mm、流速40m/sによる50μm以上の水生生物の殺滅率は、処理直後に90%を越え、処理7日後に98%を越えた。
 
表II.5.1-9(3) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるスリット幅0.3mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
サイズ区分 50μm以上 殺滅率(%)
対象生物 植物プランクトン
(細胞数/m3
動物プランクトン
(個体数/m3
合計
(生物数/m3
植物
プランクトン
動物
プランクトン
合計
未処理原水 792,767 85,800 878,567 - - -
処理直後 46,433 13,300 59,733 94.1 84.5 93.2
処理1日後 52,333 4,400 56,733 93.4 94.9 93.5
処理3日後 87,667 1,500 89,167 88.9 98.3 89.9
処理7日後 14,000 833 14,833 98.2 99.0 98.3
処理7日後の
再処理
8,333 1,100 9,433 98.9 98.7 98.9
数値は3データの平均値
 
図II.5.1-2(3) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるスリット幅0.3mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
(拡大画面:28KB)
数値は3データの平均値
 
 スリット幅0.5mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物の殺滅率は、動物プランクトンに対する効果が低く、処理7日後まで80%であった。しかし、処理7日後に2度目の処理を行ったことで99.5%の殺滅率となり、最終的には全体としてほぼ100.0%の殺滅率となった。
 
表II.5.1-9(4) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるスリット幅0.5mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
サイズ区分 50μm以上 殺滅率(%)
対象生物 植物プランクトン
(細胞数/m3
動物プランクトン
(個体数/m3
合計
(生物数/m3
植物
プランクトン
動物
プランクトン
合計
未処理原水 3,375,000 151,367 3,526,367 - - -
処理直後 346,333 53,300 399,633 89.7 64.8 88.7
処理1日後 37,333 50,767 88,100 98.9 66.5 97.5
処理3日後 1,667 37,267 38,933 100.0 75.4 98.9
処理7日後 333 30,367 30,700 100.0 79.9 99.1
処理7日後の
処理
0 733 733 100.0 99.5 100.0
数値は3データの平均値
 
図II.5.1-2(4) スペシャルパイプ基本性能向上システム試験におけるスリット幅0.5mm、流速40m/s処理による50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率
(拡大画面:28KB)


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