日本財団 図書館


(4)船舶に対するテロのシナリオ(検討ワークシート)化
 現下のテロ情勢の分析及び船舶に対するテロの類型に基づいて、現在我が国で起こり得るテロの具体的なシナリオを次のとおり想定することとした(資料19)。
 シナリオの作成に当たっては、議論の拡散を防ぐ観点から、あくまで我が国の港湾や領海内で発生したものとし、犯行に用いられる銃器や爆発物も国内で調達、製造可能なものと想定した。
 
【運航支配型】
 平成16年10月×日、○○運船が所有・運航する大型クルーズ船「セキュリティ号」(総トン数26,000トン、旋客100名、乗員200名乗船)が九州一周の短期クルーズのため、横浜港を出港し、同船が下田沖に差し掛かった際、テロリスト4名の武装グループに占拠された。
 武装グループは予め乗船チケットを購入し、旅客として乗鉛したものであり、全員がけん銃を所持し、このうち数名が爆発物らしきものを所持している。けん銃及び爆発物らしきものは携行した手荷物の中に入れて乗船したものである(犯人の人数及び武装状況については旅客の一人が携帯電話を通じ緊急特番118に通報し判明)。
 武装グループは「セキュリティ号」を下田沖に停船させた後、エントランスホールに旅客総員及び一部の乗員を集め、2名がこれを監視下に置き、残りの犯人2名は船橋にて船長以下主要の乗員を支配化に置いている。
 
【船舶攻撃型(自爆攻撃)】
 平成16年11月×日、大阪港において着岸し、原油荷役中のタンカー(約20,000トン、全長約200m)が、爆装した小型ゴムボート1隻による自爆攻撃を受けた。船体に直径3mの破壊口が発生、石油に列火し船体は炎上、大量の流出油が発生し、桟橋施設及び桟橋からつながる陸上原油施設に延焼した。
 犯行はテロリスト2名によるゴムボートを使用した自爆テロであるものと思われる。
 使用された爆発物は国内の協力者の支援を元に、ホームセンター等で購入した硝酸アンモニウムと軽油を混合し製造された「ANFO」であると孝えられる。これをアルミのフレームで円錐状に成形し、指向牲のある爆発物に仕立て、目標物に激突したものである。
 
【船舶攻撃型(不審物による攻撃)】
 平成16年12月×日、横浜港○×桟橋着岸中の「セキュリティクルーズ」(約3,000トン、全長約90m)に時限爆弾が設置され、ディナークルーズのため横浜を出港した直後に同船のエントランスホールにて爆発、付近が炎上した。
 仕掛けられた爆発物は、タイマーと爆発物(黒色火薬)を1.5リットルペットボトル(ガソリンとエンジンオイルを混合)×4本を繋げた私製爆発物であり、それがバックに入ったまま放置されていた。
 ディナークルーズ前に実施していたティークルーズの乗客が下船時に仕掛けたものと考えられる。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION