第10章 信号及び通信
第75条 信号一般規定
船舶は『中華人民共和国交通部沿海港信号規定』を遵守するほか、本規則の信号関係規定を遵守しなければならない。
第76条 高架装置装備船舶
デリック船、クレーン船及びその他の高架装置を装備した船舶が曳航航行中、夜間にあってはメインデッキより2m以上高い所に舷灯を表示し、船尾に白色全周灯1個を表示しなければならない。停泊中、夜間にあっては操舵室より1m高いところ又は高架装置の頂上部に白色全周灯1個を表示しなければならない。
第77条 非動力船
非動力船が埠頭、係留ブイ又は動力船の外側に横付けしている場合、最も外側の船舶は、夜間にあっては船首、船尾にそれぞれ白色全周灯1個を表示しなければならない。長さが50m以下の船舶については、白色全周灯1個を表示し、これに替えることができる。
第78条 筏
筏が曳航されている場合、夜間にあっては船首及び船尾に白色全周灯1個を表示しなければならない。
筏が陸岸に停泊中は、夜間にあっては外側両端に白色全周灯1個を表示しなければならない。両灯火の間隔が150mを超える場合は、これとは別に150m毎に白色全周灯1個を表示しなければならない。筏が埠頭、係留ブイに停泊中は、両端にそれぞれ白色全周灯1個を表示しなければならない。
上記灯火は何れも筏面から1.5m以上高いところに設置しなければならない。
第79条 旅客フェリー
旅客フェリーが航行中、昼間にあってはマストヤードに船首尾向きで黄色双矢尻型の形象物1個を表示しなければならない。視界不良の場合は、2分毎に短2声、長1声の特定音響信号を吹鳴する。
第80条 巡視船
権限ある機関の巡視船が業務実施中、昼間にあっては青地で中央に権限ある機関の標示を施した旗りゅう1面を掲げ、夜間にあっては紅色全周灯1個又は警備灯1個を標示する。
第81条 係留ブイ
係留ブイに船舶が係留していない場合、夜間にあっては各区間の前後部にそれぞれ紅色全周灯1個、中間に白色全周灯1個を表示しなければならない。
第82条 特殊信号
長江口の灯船(又は大型灯浮標)を経由して北槽航路に向かう入出港船舶が当該灯船(又は大型灯浮標)から3海里離れた場合又は内港から宝山水道へ向かう大型船舶が河塘ライトビーコン(灯標)前方から進出する場合は、最も見えやすい場所に特殊信号を表示しなければならない。
昼間にあっては、黒色円柱形形象物2個を並列に表示する。
夜間にあっては、紫青色の全周灯2個を上下に表示する。
船舶が水路を離れ又は宝山航路を(上流へ)通過した後は、直ちに上記信号の表示を停止しなければならない。
第83条 通信一般規定
船舶はVHFの使用及びチャンネルに関する規定を遵守するほか、本規則の関係規定を遵守しなければならない。
第84条 VHFの装備及び聴守
船舶が、大型動力船、大型船隊及び大型船舶の航行に影響を及ぼす航路工事に従事するに当たっては、使用可能なVHFを装備しなければならない。航行、作業又は錨泊中は、所定のチャンネルを聴守しなければならない。
第85条 禁止事項
船舶が安全又は遭難通信周波数を使用して、航行安全及び遭難と関係の無い通話をすることを禁止する。
第86条 救助報告
船舶、施設が海難事故を起こした場合は、所定の信号を表示して自力救助に努めるほか、直ちに船名、国籍、事故発生場所、時間、損害状況、原因、人体損傷、トン数、喫水及び必要な援助要請を権限ある機関に報告するとともに、通信連絡を保持しなければならない。
第87条 救助調整及び指揮
権限ある機関は救助報告を受けた後、海難事故の特性及び要請に応じて救助の調整にあたる。関係者又は現場付近の船舶、施設は権限ある機関の指揮を受け入れなければならない。
第88条 救助責任及び救命
(1)船舶が海難事故を起こし、人身、生命の危機が発生した場合は、自力救助に努めるほか、直ちに権限ある機関に報告しなければならない。
(2)事故現場付近の船舶、施設は、人員が生命の危機に瀕しているのを発見した場合又は要救助信号を受けた場合、自身の安全に危険が及ばない限りにおいて、遭難者の救助を実施するとともに、権限ある機関に対し直ちに現場の状況及び船舶、施設の名称、呼出符号、場所を報告しなければならない。
(3)本港水域内又は付近水域において船舶又は施設の船員、旅客が急病となり又は負傷を負い、陸上での治療が必要となった場合は、権限ある機関に報告し救命救急への連絡を依頼することができる。
第89条 サルベージ許可
(1)如何なる業者も、権限ある機関の許可無く、みだりにサルベージ又は沈船、沈物の解体を行ってはならない。
(2)動力船を解体しサルベージを行い又は除去する場合は、権限ある機関の許可を得なければならない。沈船及び航行安全の妨げとなる沈物をサルベージする場合は、サルベージ終了後、掃海測定を実施し、測定結果を権限ある機関に報告し承認を得なければならない。
第90条 サルベージ及び除去期限
船舶、貨物、船具、危険物を沈没又は落水させた場合は、当該所有者は権限ある機関に報告するとともにサルベージを実施しなければならない。権限ある機関は必要に応じて、所有者に除去期限を通知することができる。航路に重大な危害を及ぼす場合又は沈船、沈物の所有者が権限ある機関が定めた期間内に除去しない場合は、権限ある機関は直ちにサルベージを実施し又は解体除去を行う権限を有し、これに要した費用は沈船、沈物の所有者が全額負担するものとする。
危険物が河川に落水したため生じた危害、危険物のサルベージ作業に伴う全ての直接、間接的費用については、危険物を落水した当事者が責を負うものとする。
第91条 サルベージ物資処理
本港又は付近水域でサルベージにより取得した沈物又は漂流物は、全て権限ある機関に送付するものとし、みだりに処分してはならない。
サルベージにより取得した物資については、物資価格及び作業者負担費用並びに情状を考慮のうえ、権限ある機関が報酬を支払うものとする。
第92条 報告
船舶、施設が海上交通事故を起こした場合は、有効な手段により権限ある機関に対し直ちに報告を行うとともに、事故発生から24時間以内に権限ある機関に海上交通事故報告書を提出しなければならない。
第93条 調査
(1)船舶、施設が海上交通事故を起こした場合、権限ある機関が調査を行うまでは、みだりに出港してはならない。
(2)初動調査終了後、権限ある機関は必要に応じて、当該船舶、施設を留め置くことができる。
(3)権限ある機関は必要に応じて、当事者である船舶に対し検査申請を命ずることができる。
第94条 処理
(1)権限ある機関は海上交通事故の発生原因に応じて、関係船舶、施設の所有者、運航者、水先機関に対し安全措置を講ずるよう命ずることがきる。期限内に安全基準を満たさない場合は、権限ある機関は強制措置を講ずる権限を有する。
(2)海上交通事故発生の責任者、海上交通事故管理規定の違反者に対して、権限ある機関は規定に従って処罰することができる。
第95条 調停
(1)海上交通事故による民事紛糾により、当事者の一方が調停を申し出た場合は、権限ある機関は調停を提起する。
(2)権限ある機関は調停中、調査結果に基づいて、合法、適正、自主及び当事者の訴訟権利保護の原則を堅持する。
(3)調停は本規則第93条、第94条の執行を妨げるものではない。
第96条 署名手続
権限ある機関は関係規定に基づき海事声明及び海事関係文書に署名する。
第97条 一般規定
船舶、施設が本規則第2条に規定する水域において危険貨物を荷役する場合は、国の危険物運輸及び安全管理に関する法令、規則及び中国政府が加入する関係国際条約、協定の規定を遵守しなければならない。危険貨物を積載して本規則第2条に規定する水域を出入りし又は当該水域で危険貨物を運送、積み卸しする船舶、施設は、前記のほか、権限ある機関が発布した危険貨物申告管理規則の規定に基づいて、権限ある機関に対し取り扱い申告を行い、許可を得た後でなければ、入出港して積み卸し、運送又は通過停留してはならない。
第98条 積載運送
(1)船舶所有者、運航者は請負危険貨物の性質に応じて、積載基準に適合する船舶を使用し、これを運送しなければならず、所定の有効な証書を船上に備え置かねばならない。船舶への積み込みに当たっては、関係規定、基準を厳守して適正な積荷及び隔離を実施しなければならない。
(2)客船、旅客フェリーが乗客を搭載する場合、危険貨物を運送してはならない。
(3)貨客船は原則として危険貨物を運送してはならない。交通面の事情により、やむを得ずこれを運送する場合は、船舶所有者、運航者は船舶の実情及び危険貨物の性質に応じて限度量及び安全措置を制定するとともに、権限ある機関に書面で報告しなければならない。
(4)セメント船は危険物を運送してはならない。
(5)積載重量が50トンに満たない木船は爆発物、密閉発火点が23度より低い引火性液体、放射性物質、有毒物質及び禁水性引火気体等の物質を運送してはならない。
(6)バラ積み石油、バラ積み化学品、バラ積み液化気体の荷役、運送を請け負った船舶は、権限ある機関が発布したバラ積み石油、化学品、液化気体の安全管理に関する規則の規定を遵守しなければならない。
(7)曳航船隊が危険貨物を運送する場合、曳船はバージが積載する危険貨物の性質に応じて、安全な曳航方式を選択しなければならない。曳航中、船隊は十分な自己制御能力及び避航能力を保持しなければならず、バージ船隊を編制している場合は、バージに積載した危険貨物の性質に応じて安全に隔離し、曳船とバージ間には適当なダンネージを施し、確実に固縛しなければならない。
(8)請負人が危険貨物を受理する場合、運送票が不備であり、貨物と運送票が合致せず、包装、標示、標記が規格に適合せず、貨物の性質が不明確である等の理由により、危険貨物水上運輸の基準を満たさない貨物については、これを受理してはならない。運送委託人は運送する危険貨物の安全適正運送状況を保証するとともに、事実を権限ある機関に申告しなければならない。
第99条 安全作業
(1)危険貨物の荷役を行う場合、設備及び機具等は安全作業に関する基準に適合するものであるとともに、適正な応急能力を具備するものでなければならない。
(2)船舶は権限ある機関が許可した場所又はバースにおいて、権限ある機関の限度量規定に基づいて、危険貨物の荷役を行わなければならない。荷主埠頭で危険貨物作業に従事する場合は、埠頭の所有者又は運航者は、権限ある機関が発布した荷主埠頭における危険貨物作業に関する安全管理規則に従って、『危険貨物作業許可証』を申請しなければならない。公共埠頭で危険貨物作業を行う場合は事前に権限ある機関の許可を得なければならない。
(3)危険貨物作業を行う前に、埠頭の所有者は権限ある機関が発行した『船舶危険貨物積載許可票』を確認しなければならない。港、船舶双方は危険貨物の性質に応じて、作業計画を作成し、それぞれ安全措置及び応急防護措置を講ずるものとする。作業期間中、船舶は当直要員を派遣して船倉を出入りする危険貨物を検査しなければならない。荷役人は操作基準を厳守し、包装、標示が基準に適合しない場合は、荷役を行ってはならない。
(4)船舶は以下の危険貨物については、係留ブイ又は錨地において積み替え作業を行ってはならない。
a バラ積み石油、液体化学品、液化気体
b 禁水性(引火性)気体
c 有毒物、放射性物質、海洋汚染物
d 爆発物及び密閉発火点が23度より低い引火性液体
第100条 緊急措置
危険貨物の運送及び荷役作業に従事する場合は、危険貨物の性質及び量に応じて、緊急措置計画、事故警報手続を制定しなければならない。事故が発生した場合は、迅速に安全措置を講ずるとともに、権限ある機関に報告しなければならない。
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