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上海水上安全監督規則
第1章 総則
第1条 目的
 上海の水上安全監督管理を強化し、港、船舶、施設及び人命、財産の安全を保障し、船舶による水域汚染を防止し、国家権益を維持するため、『中華人民共和国海上交通安全法』等の関係法律及び行政法規に基づき、本規則を制定する。
第2条 適用水域
 別に規定がある場合を除いて、本規則は次の水域に適用される。(詳細は、本規則第17章第120条)
(1)黄浦江(略称、内港)
(2)長江口(略称、外港)
(3)杭州湾北岸水域(略称、新港)
第3条 適用対象
 本規則は、第2条に規定する水域における全ての船舶、施設及びその所有者、運航者、代理人、船員、水先人及び他の関係業者(法人及び個人)に適用される。
第4条 一般原則
(1)本規則に規定がないものについては、関連する中国現行法令、規則及び中国政府が批准した関係国際条約、協定に基づき処理する。
(2)衝突防止及び信号の部分について、関連する中国現行法令、規則に規定がない場合は、国際海上衝突予防条約及び国際信号規則に基づき処理する。
第5条 権限ある機関
 中華人民共和国上海港務監督(海事局)は本規則を実施する権限ある機関である。
 
第2章 船舶、施設及び人員
第6条 入港
(1)船舶が本規則第2条に規定する水域に入港する場合は、船舶入出港手続管理規定又は中華人民共和国対外国籍船舶管理規定に従って入港手続を行うとともに、権限ある機関が行う検査を受け入れなければならない。
(2)原子力船は上記のほか、権限ある機関に対し書面により申請を行い、権限ある機関による特別検査及び管理を受け入れなければならない。
第7条 出港
(1)出港船舶は出港前、船舶入出港手続管理規定又は中華人民共和国対外国籍船舶管理規定に従って出港手続を行うとともに、権限ある機関が行う検査を受け入れなければならない。
(2)原因が気象である場合を除いて、手続を完了し又は出港許可証取得済みの船舶が24時間以内に出港できない場合は、再度手続を実施するか出港の再申請を行わなければならず、これに付帯する交通等関係費用は船舶側が負担するものとする。
第8条 通過(トランジット)航行
(1)船舶が通過航行する場合は、本規則の航法、停泊及び船舶行動予報、船位報告等関係規定を遵守しなければならない。
(2)次の船舶が通過通航行する場合は、本条第1項の規定による他、事前に権限ある機関に報告しなければならない。
a 本規則第2条に規定する水域に入航する船舶又は船隊が、バラ積み液体化学品を積載している場合
b 内港水域に入航する船舶又は船隊が、爆発物、密閉発火点が23度より低い引火性液体、劇毒性危険貨物を積載している場合
c 新港水域を航過する大型船舶又は大型船隊
第9条 水先及び水先人
(1)本規則第2条に規定する水域を入出港及び当該水域内で航行、シフトする外国籍船舶は水先人に水先を申請しなければならない。
(2)上記水域への入出港を許可された外国籍船舶は規定の水先錨地(検疫錨地)等において待機し水先人を乗船させなければならない。
(3)本規則第2条に規定する水域内で水先業務に従事する水先人は、権限ある機関が発給する水先人証明を所有しなければならない。
第10条 船員又は人員配置
 船舶又は施設が本規則第2条に規定する水域にある期間中、十分な人数の有資格船員又は人員を配置しなければならない。当該期間中、前記要員は船舶又は施設の環境及び状況に対し安全を保証することができる者でなければならない。
第11条 旗りゅうの掲揚
(1)船舶が本規則第2条に規定する水域にある期間中は、『船舶国旗掲揚管理規則』の規定を遵守しなければならない。
(2)大型動力船舶は本規則第2条に規定する水域を航行中又は航行10分前に、船名符号を表す旗りゅうを表示しなければならない。
第12条 安全検査
 本規則第2条に規定する水域内で運輸作業に従事する動力船舶は、航行安全検査に関する規定を遵守し、何時も権限ある機関による安全検査を受け入れ、これに協力するとともに、違反があった場合は、権限ある機関が定めた期限及び基準に従って、これを是正しなければならない。
第13条 乗客、貨物
(1)本規則第2条に規定する水域内の客船、貨客船、旅客フェリー、交通船、遊覧船は、旅客定員規定を厳守し、定員超過をしてはならない。その他の船舶については、みだりに乗客を乗船させてはならない。
(2)本規則第2条に規定する水域内で貨物を積載する船舶は、安定性及び重量喫水に関する基準を遵守しなければならず、重量を超過し、高度制限に違反し、許可無く長大物件を舷外に伸出させてはならない。
第14条 火気作業
(1)本条第4、5項に規定する船舶を除いて、営利船舶が本規則第2条に規定する水域内で火気作業を行う場合は、事前に権限ある機関の許可を得なければならない。
(2)申請
a 埠頭、ブイに係留している船舶については、12時間前までに権限ある機関に申請する。
b タンカー及び危険物積載船は、24時間前までに申請するとともに、『可燃気体不積証明』を提出しなければならない。
(3)作業基準
a 火気作業現場を整頓し、有効な遮蔽措置を施し、必要な消防資器材を配備するとともに、消防要員を派遣しなければならない。当直航海士又は機関士は監督検査を行わなければならない。
b 火気操作を行う者は有効な溶接免許を所有しなければならない。
(4)外港錨地に停泊する船舶については、該船船長がこれを決定するものとする。但し、事前にVHFにより権限ある機関に報告しなければならない。
(5)火気作業禁止船舶
a 荷役中又はタンク薫蒸中のタンカー
b 引火性、爆発性貨物を積載し又は当該貨物を荷役中の船舶
第15条 廃船
 本規則第2条に規定する水域内に進入し船舶を廃棄する場合は、第6条第1項の規定を遵守するほか、解体前に船舶解体監督管理関連規定に従って処理しなければならない。
第16条 経費納入
 船舶又は施設は国の水上安全監督経費徴収に関する規則に基づき、船舶港務経費及び関係費用を所定の期日に納入しなければならない。期限を過ぎて、なお未納の場合は、一日につき0.5%の滞納費が必要となる。
第17条 入港、通過、出港又は航行の禁止
(1)権限ある機関は、船舶が本規則第2条に規定する水域内の安全を損なうと見なした場合、当該船舶の入港、通過を禁止し又は出港を命ずる権限を有する。
(2)次の状況の何れかに該当する船舶が、是正措置を講ずるまでの間、権限ある機関は出港又は航行を禁止することができる。
a 航行不適又は曳航不適状態にある場合
b 積載重量超過の場合
c 定員超過の場合
d 積載不適で航行安全に影響する場合
e 船員配置が不適で、有効な海技免状を所有していない場合
f 交通事故を起こし又は重大な違反を犯し、手続未了の場合
g 権限ある機関に対し負担すべき費用を納付せず、更に有効な担保の提出がない場合
h 港、他船及び水上交通安全に危険を及ぼす場合
i 権限ある機関が禁止の必要があると認めるその他の場合
 
第3章 航行方法
第18条 見張り
 本規則第2条に規定する水域内を航行する船舶は常に視覚及び聴覚並びに当時の環境に適した有効な手段を講じて適切な見張りを行い、航行の安全を保障しなければならない。
第19条 航路航行
 船舶は自船の喫水、進行方向に見合った航路を航行するとともに、航路通航に関する規定を遵守しなければならない。
第20条 右側航行
(1)船舶は右側航行規定を遵守しなければならない。安全な限りにおいて、船舶は自船航路右外縁を航行しなければならない。
(2)小型船舶は安全な限りにおいて、適当な小型船舶航路を航行しなければならない。
(3)大型、小型船が同一航路を航行する場合においては、小型船舶は大型船舶の安全な航行を妨害してはならない。
第21条 船舶行動予報及び報告
(1)国際航行に従事する船舶、一万トン級以上の船舶、大型施設が本規則第2条に規定する水域を入出港し又はシフトする場合は、当該船舶の船長、所有者、代理人又は水先機関は、船舶行動予定を前日の16時までに書面により権限ある機関に報告しなければならない。臨時の変更がある場合は、直ちに権限ある機関に報告するものとする。
(2)船舶及び大型船隊は権限ある機関が発布した船位通報制度を遵守しなければならない。
第22条 船長当直
 船舶が次の事態に遭遇した場合は、船長白ら船橋において指揮又は当直を行わなければならない。
(1)大型船舶が水路を航行している場合
(2)大型船舶が新港を航行している場合
(3)各種船舶が内港を航行している場合
(4)航行中、船舶が視界不良となった場合
第23条 VHFの聴守
(1)大型船舶、施設はVHFを使用し、規定のチャンネルを聴取しなければならない。
(2)外国籍船舶はVHF使用に関する規定を遵守しなければならない。
第24条 速力
(1)船舶は、自船及び他船又は施設の安全に危害を与えず、他船の正常な航行に影響しない速力で航行しなければならない。
(2)船舶が複雑水域、警戒水域及び微速信号の表示がある水域を航行する場合は、自船の安全を確保できる最も遅い速力で航行しなければならない。
(3)衝突を回避し又は判断を要する局面においては、船舶は減速し又は機関を停止し或いは船舶を停止させなければならない。
第25条 追越し
(1)追越し禁止水域を除く外、航路においては前方船舶の追越しをできる限り回避しなければならない。やむを得ず追い越す場合は、追越し船はVHFにより連絡を取るほか、規定の追越し信号を吹鳴し、前方船舶の同意を得なければならない。
(2)前方船舶は、追越しに同意せず又は追越し船の行動に対し疑義を生じた場合、短5声の信号を急速に吹鳴しなければならない。
(3)前方船舶は追越しに同意した後、音響信号を吹鳴するほか、所要の措置を講じて追越し船が安全に通過できるよう協力しなければならない。
(4)本条の規定は追越し船の避航責任を免除するものではない。
第26条 並列航行の禁止
 追越し局面を除き、航路においては他船と並列で航行してはならない。
第27条 航路上の錨泊禁止
 特別な状況を除いて、船舶が航路上で錨泊することを禁止する。
 船舶が特殊な状況において、航路上で錨泊する場合は、権限ある機関に報告するほか、直ちにVHFを用いて規定のチャンネルで往来船舶に通報し、規定の信号を表示するとともに、早急に曳船を手配して航路上から離脱しなければならない。
第28条 交通管制
 船舶、施設及び関係者は、権限ある機関が公布した交通管制に関する規定を遵守しなければならない。
第29条 視界不良時の航行方法
 船舶、施設が航行中、濃霧又は大雪、暴風雨等により視界不良に陥った場合は、霧中航行及び停泊管理に関する規定を遵守しなければならない。
第30条 熱帯性竜巻、強風期間
 熱帯性竜巻、強風期間中は、船舶、施設は熱帯性竜巻、強風期間に関する規定を遵守しなければならない。
第31条 上下船及び荷役
 船舶が航行中、別に規定がある場合を除いて、人員の上下船及び貨物の荷役又は他船への積み替えを禁止する。
第32条 試験運転
 試験運転を行う船舶は本規則関係規定のほか、以下の規定を遵守しなければならない。
(1)主機の効率が21キロワットより大きい船舶が試験運転を行う場合は、有効な『試験運転証書』を所有しなければならない。
(2)試験運転を行う船舶の航海士は適当な海技免状を所有しなければならない。機関要員は造船所が派遣する有資格技術者とし、権限ある機関の許可を得なければならない。
(3)内港において大型船舶は試験運転を行ってはならず、所定の試験運転信号も表示してはならない。
(4)試験運転を行う船舶は、内港、外港を航行中、自船又は他船の航行の安全を保証することができる措置をとらなければならない。
(5)本規則第2条に規定する水域内で試験運転を行う大型船舶は、見張りを厳重にし、慎重に操船するとともに、VHFの所定のチャンネルで往来船舶に動向を通報し避航措置について情報を交換しなければならない。
(6)本規則第2条に規定する水域以外の海域で試験運転を行う船舶は、試験運転入手港手続を行わなければならない。


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