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(3)国家海洋局東シナ海分局(東海分局)
 
 
 浦東にある国家海洋局東シナ海分局を訪問した。約2時間にわたり、同局の組織、業務について説明を受けるとともに、海上保安大学校の概要についてプレゼンテーション資料により紹介した。分局側は、副局長のほか、海監支隊長、執法処長、環境保護処副処長、予報台長等が同席した。幹部職員は主に海洋気象領域の学識者で構成されているようであった。特に、海監支隊長は京大留学経験を有し、流暢な日本語により通訳をしてくれたので、安心して説明を聞くことができた。
イ 組織
 東シナ海分局は、国家海洋局に属する機関であり、江蘇省連雲港から福建省東山に至る東シナ海及び黄海を管轄海域として、海域管理、海洋環境保護、海洋権益の維持等の業務を所掌している。所轄内の機関としては、東シナ海観測センター、上海海洋予報センター、海洋予報局(アモイ、寧波、温州)及び中国海監総隊(第四、五、六船隊)等がある。
 なお、海監とは、海洋局に属する組織である。北海総隊(青島)、東シナ海総隊(上海、寧波、アモイ)、南シナ海総隊(広州)があり、総計21隻の1000トン〜4000トンクラスの船舶、2機の航空機を擁し、法令執行要員は約2300名である。
 東シナ海海監総隊の職員数は約1700名(技術者約650名)であり、海洋調査船9隻、航空機2機が配属され、管轄海域における法の執行や海洋科学技術活動を行っている。また、装備面では海洋探査、調査、分析、観測、予報等の設備を整えており、海洋地質探査、海底地形測量、海洋環境観測、海洋水力観測、気象観測、生物鑑定、放射性化学物質分析、海洋環境予報、海洋災害予測等を実施している。
ロ 職務
(イ)海洋行政管理
 海域使用許可証の発行、有償使用制の実施。海底パイプライン、ケーブル経路の調査及び敷設の審査。渉外海洋施設建設及び海底工事の監督。海洋石油探査開発の管理。海洋投棄許可証の発行、廃棄物海洋投棄による環境汚染の防止。海洋石油探査開発及び海洋環境プロジェクトの環境影響報告書の審査及び評価。陸上汚染物の海上排出の管理、海洋生態系の保護。
(ロ)海上監視
 管轄海域の巡視警戒の実施。
 中国海洋権益の侵犯、海域違法使用、海洋環境及び資源に与える損害、海洋施設の破壊、海上秩序かく乱等の行為の調査及び処理。
ハ サービス業務
 海洋環境観測、海洋基礎総合調査、海洋基準計量検定等の実施。海洋災害予測警報、海洋環境予報及び品質評価。海洋災害公報、海洋災害年度予測及び海洋環境公報の発行。
 
 
 
(4)公安海警高等専科学校
 寧波にある公安海警高等専科学校を訪問した。英語通訳の同行、昼食等への招待等、大変手厚いもてなしを受けた。学校といえ、やはり公安関係であり、ここでも資料等の提供は望むべくも、専ら手持ち資料に基づく口頭説明が実施された。こちらからは、PP資料を用いて海上保安大学校の概要を紹介したところ、学校同士というせいか、他の機関に比べ、強い関心を示し、多くの質問があった。口頭説明の後、校内の施設見学を行った。
イ 組織及び教育体制
 同校は、公安幹部海警要員の養成を目的として、1983年、浙江省寧波北倉区において公安部所属(同校の他、人民公安大学、刑事警察学院、人民武装警察部隊学院、鉄道警官高等専科学校)の専科学校として設立された。養成期間は3年(大学は4年)であり、教育体系は理系が主体で、船艇指揮(河川、海上)、機関電気管理、計算機及び応用、通信技術、後勤(主計科に類似)等がある。
 2年前期までは基礎教育が施され、2年後期から専門へと移行する。
 訓練科目には、水泳、武術、射撃等が含まれており、乗船実習は1学年において2週間、3学年において4週間、何れも沿岸海域で実施されるほか、各専門系で乗船実習が実施されている。
 学生数は各学年約600名であり、女性は15%までと上限が定められている。現状では約10%を占めている。
 校内組織は校長及び2名の副校長の指導の下、教育訓練部(航、機、情報通信、基礎、後勤講座)、図書館、総務、会計、人事、軍事(学生指導、寮生活)等で構成されている。
ロ 施設及びキャンパスライフ
 校内の施設としては、教学棟、図書館、学生寮、職員宿舎、400m全天候トラック、人工芝のサッカーグラウンド、50メートル屋内プール、武道場等、実習船艇係留施設、病院等があり、敷地面積も広く、施設も整っていた。
 学生の外出は土、日曜日のみであり、外泊は禁止されている。長期休暇として約45日の夏休み、約30日の冬休みが与えられる。平日は学生の以下の日課に従って生活している。
日課
0600 起床 体操、掃除
0700 朝食
0800 授業(45分授業4コマ)
1200 昼食
1400 授業(45分授業3〜4コマ)
1600 体育活動
1730 夕食
1900 自習時間(〜2130)
2230 就寝
 サークル活動には、サッカー、バスケット、ボクシング、書道、英語、ブラスバンド等がある。
 食事について、学校側から学生に対し食卓金が支給される。学生は、食堂において複数メニューから好みのものをオーダーするというシステムが採られている。食卓金の他、学生には月2千円〜3千円程度の補助金が支給される。
 


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