5. 質疑応答
(1)港湾オペレーションセンター(POCC2)にて
Q: What kind of business system do you have?
(業務体系はどのようになっていますか?)
A: POCC is manned round the clock by 14 VTS operators. Each VTS operator works a 2-hour shift on a workstation and is transferred to another assignment in the POCC.
(POCCでは14名のVTS管制官が輪番で働いています。各々の管制官は2時間交代で勤務し、POCCの別の部署でも働いています。)
Q: What role are POCC1 and POCC2 charged with each other?
(POCC1とPOCC2はお互いにどのような役割を担っていますか?)
A: POCC1 is responsible for traffic in Eastern part of the port waters. While, POCC2is responsible for traffic in Western part of the port waters and Singapore Strait. POCC1 and POCC2 serve as full back up to each other.
(POCC1は東側水域を担当し、POCC2は西側水域及びシンガポール海峡を担当しています。POCC1とPOCC2は、互いに互いのバックアップを行っています。)
Q: How much does the AIS system become popular in Singapore?
(シンガポールでは、AISはどれくらい普及していますか?)
A: About 80% of vessels navigating in Malacca and Singapore straits are equipped with the AIS system.
(マラッカ・シンガポール海峡を航行する船舶の約80%がAISを搭載しています。)
(2)統合シミュレーションセンター(ISC)にて
Q: Who does attend this Simulation Course?
(どのような人達が利用していますか?)
A: For example, pilot, tug muster, MPA's port limit tanker master and so on.
(例えば、水先人、タグの船長、港内タンカーの船長等です。)
Q: How long period does simulation course continue?
(シミュレーションコースの受講期間はどれくらいですか?)
A: It continues 1 hour at least, 1 weeks at most. So, average period is 1 day.
(シミュレーションコースの受講期間はどれくらいですか?)
Q: Is there a course about BRM training?
(BRM訓練のためのコースは有りますか?)
A: Yes, there is. The training program is divided into two parts. Part one of the course involves interactive discussions. Another part will involve practical ship simulation exercises. Through a simulator, candidates will prepare, plan, execute and monitor passage planning and apply bridge resource management skills in decision-making processes to manage, control and overcome difficulties at different levels of stress environment.
(あります。講習は2つに分けられます。1つは相互討論を行うもので、もう1つはシミュレータによる操船訓練です。シミュレータ訓練では、受講者は航海の準備・計画をし、それを実行します。その後、一連の流れを見直し、あらゆる環境における問題への対処及び解決、並びに操船を行う上での意思決定の過程での適切なBRMを身につけるのです。)
シンガポールの海上交通管理及び安全運航管理に関わる施設を調査した結果、シンガポールには特徴的な考え方があると感じた。それは、シンガポールは世界有数のハブ港となるため、情報処理、管理が極めて優れた国家となった現在においても、日々作業の効率化、自動化を官民連携してなおも図ろうとしているということである。このような情報処理能力、ノウハウや取り組みの結晶がISCといえよう。
今回の研究で調査した、日本では見られない有用なシステムをそのまま海上保安庁の施設、業務体系に適用することは難しいかもしれないが、以下に挙げる設備あるいはシステムを当庁にも将来的に導入してはどうかと考えた。
・船舶火災海難対応シミュレーション
・捜索シミュレーション
・新設航路標識などの海上構造物による交通流の変化予測シミュレーション
・機関室シミュレータの追加
・VTSシミュレータの追加
最後に、「海上交通の安全性評価」「AISによる海上交通観測」というテーマで研究をしている我々にとって、このような有意義な海外渡航研修の機会を与えて下さいました日本財団、海上保安協会に深く感謝申し上げます。また、現地施設見学の調整に快くご協力してくださいました日本海難防止協会シンガポール事務所所長代理 川越功一氏、施設見学に際し同行し色々な助言を下さいました同事務所Capt. Mathew Mathai氏及び同事務所の職員の方々並びに見学、調査にご協力いただいたMPA及びPSA職員の皆様にあらためて感謝の意を表しまして本報告の結びとしたいと思います。
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