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II 「地域伝統芸術等保存事業」について
2 (2)(1)事業の活用理由
・都道府県民が都道府県に誇りと愛着を持って、活力ある豊かな地域づくりに取り組む機運を高めること、地域間交流を促進しと都道府県県内の伝統芸能の保存・伝承活動の一層の発展を図ることを目的として、各地の伝統芸能を一堂に会した舞台を開催するため。
・市区町村からの要望
・地域伝統芸能を活用した地域活性化という当該事業趣旨が、県事業を推進する上での考え方と合致していたため。
・事業規模(助成規模)が他制度に比べ大きく、しっかりとした映像記録を残そうとした場合に適した制度である。
・保存伝承のために映像記録保存事業が有効であると考えられたため。
・望ましい事業であるとともに、県財政難のため。
・過疎や少子化により、祭りを担う若者や子どもたちが減り、近い将来にはどんなに努力しても伝統芸能を守り伝えていけない状況にある。映像記録化することによって、地域住民が一層ふるさとに誇りと親しみを持てる環境をつくり、先人たちが培ってきた文化をいつまでも「先人たちの心」として守り伝えたい。
・記録の少ない地域の伝統芸能を映像で残すことで、保存・継承活動を行う際の貴重な資料として活用できる。各地の伝統芸能が参集したイベントを開催することで、出演者・観客にとって伝統芸能に対する理解を深める機会となるため。
・民俗芸能祭開催時に活用したが、前回開催時も活用しており、他にそういう助成制度が少ないため。
・毎年開催している「県の民俗芸能大会」の広報を含めた事業内容を充実させるため利用した。
・この事業を通して地域の伝統芸能の魅力を再確認することにより、伝統文化の継承を図るだけでなく、地域に対する自信と誇りを高め、地域活性化につなげたいと考えたため。
・近年の少子化や若年層の空洞化等を背景に、古来から地域に請けつがれて来た伝承芸能や伝統技術を保存していくことが困難になりつつある。このような中で、地域文化・芸術を映像として保存。
・後継者育成を図り、これからの伝承活動を行っていく必要があったため。
・市町村に存在する小規模の伝統芸能の保存会が合併により活動が難しくなるため。
・保存会の舞手が高齢化しているため。
・合併後においても、各地域に固有の伝統文化を保存・継承していくための活用。
・民族芸能を紹介する事業を実施したかった。
・助成を受けることにより、より充実した公演を実施することができるため。
・財政状況が厳しく、文化振興予算が削減されるなか、貴重な助成制度である。
・人口の減少と地域の高齢化・少子化により踊り手等への継承が難しくなっているため、記録保存することになった。
・過疎化地域に伝わる伝統芸能を後まで伝えるため。
・町の財政状況では、伝統芸能記録保存の予算確保が困難であったため。
・本事業の助成を受け、農村に古くから伝わる伝統芸能や農村の美しい自然など、農村の持つ多面的機能を情報発信するイベントを実施するため。
・地域伝統が残っているうちに映像に残したかった。
・少子化・高齢化が進み、無形民俗文化財が近い将来消滅することが危惧され、現在のうちに映像で記録したかった。
 
(2)事業を活用したことによってよかった点(複数回答可)
 
<その他意見>
・地元における後継者の育成や、祭りの手順等伝統に添った本来の形での継承に活用。
・地元における児童・生徒や住民の皆様に「ふるさとの祭」に対する理解を深める教材として活用。
・事業を活用して記録ビデオを作成できたことは、伝承活動の活性化に効果があり、また、地元住民の芸能に対する理解も深まったものと思われる。
・事業の成果品を見ることで、子どもたちと両親・祖父母たちとの会話が弾み、子どもの頃の話をしたり、実際に体験したりする機会が生まれた。
・小中学校の郷土学習で活用することにより、これからの将来を担う子どもたちの「ふるさとに親しみと誇りをもつ」心を養うことができると考えている。
 
3 「地域伝統芸術等保存事業」への改善点、要望
・今年度、当事業に対して、市町村からは助成要望がありませんでした。イベントに対する助成は、現在、都道府県だけが対象となっていますが、市町村のイベントも助成対象となれば、もっと要望があがってくる可能性もあると思います。
・地域に定着させるため、5年程度継続して助成をお願いしたい。
・映像記録保存事業について、事業実施市町村の映像記録作成の目的等を勘案し、事業規模にある程度幅を持たせて欲しい。また、市町村教委又は県教委が加わることを条件に、保存会等を中心とした実行委員会等が事業実施者となっても良いのではないか。
・指定の文化財に拘わらず申請ができるので、本当に地域に伝わる文化を記録できる非常に有意義な事業だと思う。
・今は、実績報告後の支出しか認められていないが、できれば、ある程度の前金払いを許可してほしい。
・映像記録保存事業に関して、市町村だけでなく県主体事業としての実施を認めてほしい。また、補助率を現在の10分の8から10分の10にしてほしい。
・文化庁サイドで行っている同種の事業「ふるさと文化再興事業」と連携を図ってはどうかと思われます。
・予算の都合もあり、事業採択内定時期をできるだけ早めにしていただきたい。
・利用しやすい事業で、当県内市町村においても、地域に根ざした伝統芸術の保存・伝承に有意義に活用させていただいています。
・少子高齢社会のなか、地域のみでの伝承が難しく、保存会の先輩が後継者を育成するために、舞手等が直接指導できるような施策や助成が必要である。
・地域伝統芸能まつりは、地方での認知度がそれほど高くないと思われるので、県の推薦だけではなく、公募制にするなどして、多くの芸能が出演できるようにしてもらいたい。
・市町村が実施できる事業は、「映像記録保存事業」だけであるが、イベント事業も実施できるようにしてほしい。また、市町村だけでなく、保存団体などが直接実施できる事業も追加してほしい。
・東海三県は地芝居の活動が盛んなところであるが、歌舞伎を上演するためには役者の存在は勿論のこと、太夫、三味線、下座音楽、ツケ打ち、床山、顔師、着付、大道具、小道具等々、様々なスタッフが必要である。一部の地域では、太夫教室・三味線教室等、自前でそうした人材の養成を行っている地域もあるが、全体としては稽古の段階からプロの義太夫や三味線、下座音楽の専門家に依存しているのが現状である。そうしたことから、各地における上記のようなスタッフ育成が急務となっている。イベント事業実施への助成金のみならず、スタッフ育成のための事業にも視点をあてる必要があると思う。
・都道府県事業(イベント)と市町村事業(記録作成)を分けずにどちらも活用できるようにしていただきたい。
・市町村だけではなく、保存団体や自治区でも申請できるようにしてほしい。
・財政状況が厳しく、文化振興予算が年々減額されているため、都道府県イベント事業の基準額の増額をお願いしたい。
・映像記録保存事業のなかで、地域伝統芸能をとおして町に親しみと誇りを持てるような構成とするため、四季折々の町の風景を撮影したが、不十分であった。この事業が2カ年に亘ることが可能であれば、より効果的な映像ができるのではないかと思う。
・現在、地域伝統芸術の保存について最も苦慮しているのは、それら地域伝統の保存会に対する条件整備面である。今回助成を受けた神楽においても、近年子ども神楽も始まり、地域を越えて広がりつつあるが、練習場所が確保されておらず、活動に支障をきたしている。このため、練習場の確保など、保存会における伝承活動に対する助成も行っていただきたい。
・1市町村でも、何回も活用できるようであれば、さらに保存していこうという励みになり、地域住民も残そうという意識が高まるのではないかと思う。
・地域の伝統芸能や行事は、2つの問題−資金不足・後継者不足により、継承が危ぶまれている。このうち、後継者不足については、少子高齢化の進行もあり、すぐには解決が難しい。現在、都市部だけでなく農村でもライフスタイルが多様化し、サラリーマンが増えるなどしている。このため、子供たちから後継者が生まれないだけでなく、大人たちも、時間に制限があり、行事や公演が出来ないところがある。
 一方で、資金不足により伝統芸能の公演等ができない、という問題であるが、これについては、資金面での協力が得られれば、事業が継続できる可能性がある。
 そのため、映像記録の事業については単年度の助成で良いが、事業を保存・継承していくためには、単年度ではなく継続的な資金援助により、筋道をつける必要があるのではないだろうか。それにより、事業を地域に定着させ、子供たちの関心を高め、後継者を育成することにも繋がるのではないかと期待する。
 地域を誇りに思う子供の育成、心豊かな自慢できる町づくりを推進するために、今後ともこのような助成事業の継続を切望する。


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