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6 文化を基調とした地域再生についての自由な意見
・現状としては、多くの団体が後継者不足を一番大きな問題としており、様々な取り組みを実施しているものの、継続に苦慮しているところも多いようです。都道府県においては、過疎化が進んでいる地域も多く、「文化を基調とした地域再生」には地域伝統芸能だけでなく、他の文化や地域独自の取組などを取り込み、多角的に取り組んでいく必要があると思います。
・活動支援にはまず支援の方策を練るために、現況を確認し、地域内での位置付けや、同種芸能の中での位置付けがなされるべきである。本来、ある芸能を支えてきた背景や、地域の特性、地域内でのその芸能の意味、活動基盤の変化など、それぞれの事情を一つずつ見極めるような確認調査が急務と思われる。
・近年は道具の整備など支援活動のみが行われる傾向にあるが、その前提としてこうした現状把握事業が同時並行的におこなわれていくべきと考える。
・文化は押しつけではいけない。地域住民が行事に愛着を持ち、自らの暮らしに誇りが持てるよう自然にわき上がる気持ちを大事にする必要がある。
・地域の伝統文化が自然に維持できるような地域社会の形成及び住民意識の育成が重要である。
・本県では総合計画である県民しあわせプランの基本理念である「“○○けん愛”を育む」ということを実現するための取り組みとして「文化力」を位置付けることについて、平成16年度に調査検討を進めてきました。そこでは、「文化」を「生活の質を高めるための人々のさまざまな活動及びその成果」と幅広く捉え、文化の持つ多様な力、すなわち人間のもつ力、地域のもつ力、創造する力などを総合した「文化力」を高めていくことが、21世紀における課題を解決し、新たな地域社会を創造する原動力になると捉えています。平成17年度は、県民の皆さん、県議会、市町村の方々と意見交換を重ねながら、政策全体の考え方の基本となる「○○の文化力指針(仮称)」を策定することとしています。従来、「経済力」を基軸に政策展開を図ってきましたが、これからは、文化を幅広く捉え、「文化力」を基軸に政策展開をすることが、真の地域再生にもつながるのではないかと考えます。
・地域の特性により育まれた「地域の文化力」は、地域に豊かさを生み、地域の発展に欠かせない。
・多くの保存団体が、高齢化や後継者不足に悩んでいる。
・伝統文化は当地の特定の時期に特定の人々によって継続されてきたのが本来である。地域再生の施策として有効に利用出来るのか。逆に伝統文化の変容に影響しないかどうかをよく検討する必要がある。
・一過性のイベント事業では一時的な盛り上がりで終わってしまうことが多い。事業に関連して保存会や地域に残せるものを作ることが必要である。用具や衣装の新調、舞の映像記録、歌い本や古文書などの資料、あるいは一般に理解されるための冊子などを残すなど。民俗芸能や祭礼といった地域文化の担い手は、長く継続することを一番に考えており、最終的に地域の伝統文化の保存・継承に結びつく事業が実施されることが期待される。
・文化を継承する上で、地域に住民が住めるようにならないと難しい。仕事との関係で保存会を辞めたり、保存会そのものが維持できなくなった例も多くある。そのためにも、活動できるような基盤が欲しい。昔の人のなかには、伝統文化を真剣になって伝承したいと考えている人も出てきており、その芽をつぶさないような施策が望まれる。
・郷土芸能の次代への確実な伝承と継承者の育成するため、各民俗芸能団体の活動を維持できるような助成をしてほしい。(伝承施設の建設を含む)
・郷土芸能について、広域的なイベントを開催し、伝承活動に構わっている団体に、活動発表の機会を提供してほしい。
・「伝統文化こども教室」事業などを拡充し、小中学生期における地域伝統芸能についての教育の充実を図ってほしい。
・文化資源(人や仕組みなども含む)活用した文化の振興は、地域の文化力の向上につながり、地域の力の向上(再生)にもつながると考える。
・市町村合併の進展により、各自治体が行ってきた各種支援内容が変更になるなど、伝統芸能を取り巻く環境が大きく変わる時期であるので、民俗文化財に影響がでないように注視していきたい。
・人口密度の高い都市部を抱える地域は流動性も強く、なかなか伝統文化に対する関心、理解が深まらない。歌舞伎や文楽も商業演劇と成り立っていた時代に比べて劇場も無くなり、衰退の一途である。農村部の過疎の一方にマンション開発による都市民の流動化と孤立が激しくなっている。都市のコミュニティ作りにはハードの施策と祭や盆踊りなど伝統文化を活用した積極的な地域作りが望まれる。
・行政が中心となる団体でなく、民間レベルが中心となる団体が進めている現状である。いろいろな補助事業の導入により、少しでも団体へのバックアップ並びに祭りの継続化が進んでいけば、よいのではないでしょうか。
・これまで地域再生の方策として、産業振興や、道路・公共施設などのハード面の充実に力点が置かれてきたが、地域に生きる人々に受け継がれてきた文化−伝統文化−に視点を向けた取り組みは評価できる。それが地域再生に直結するといったものではないが、地域の活性化のためには長期間の取り組みが必要で、そのための国からの支援・助成も重要である。
 
7 文化を基調とした地域再生のために国に実施してほしい施策
・「地域伝統芸術等保存事業」の助成対象に、基礎的な調査事業も含めて欲しい。
・伝統行事に関わる人々の気持ちを取り上げて紹介するなど、地域社会全体で伝統文化の保存伝承に対する気運の育成を実現できる施策が必要である。
・市町村合併による地域の広域化の中で、伝統文化(保存会)を側面から支援するサポーターの育成が必要である。
・民俗芸能が指定文化財である場合、芸能の文化財的な価値が損なわれないような施策を実施することが必要である。また、後継者不足等で文化財的価値の変容がやむを得ない状況にある場合、変容をどこまで認めるのかガイドラインの策定が必要である。
・「文化芸術による創造のまち支援事業」、「文化体験プログラム支援事業」、「地域伝統芸術等保存事業」、「地域伝統芸能まつり」といった事業があり、それらを通じて助成を受けることができたり、発表の機会を与えられたりしていますが、それらを統合して当事者である市町村や地域の方々の創意工夫を生かせるよう、より自由度の高い活用しやすいものにしていただけるとありがたい。
・県下の各地域文化の基礎的な実体調査の決定的な不足により、県下全体の実情が充分に把握されておらず、さらに基礎的な調査ができるよう国の財政的な援助が必要である。
・文化庁関係でも、平成17年2月2日に文化審議会文化政策部会が「地域文化で日本を元気にしよう!」と題する報告書を発表したところであり、省庁間の連携による事業も必要。
・民俗芸能団体への助成制度
・過疎化が進む山間部の村などでは、地域再生のために、都市部への若者の流出を減らす何らかの施策が必要と思われる。
・過疎・高齢化が進み、地域の活力低下が深刻になる中、各地域では祭りを活用して積極的に地域間交流を図り、地域の活性化を進めようとしている。しかし各地域とも財政的に非常に苦しい状況である。国には伝統芸能の保存・継承に関する事業について助成等の施策を積極的に行っていただけたらと思っている。
・指導者を外部から招聘しなければ継続が困難な保存会への助成。
・地域住民や伝統芸能の保存団体などが、主体的に地域活性化に取り組んでいけるように、自治体職員や伝統文化に関わる団体が参加できる、全国の事例発表会や研究会などの開催。
・国指定文化財以外の芸能団体も活用できるような補助制度の設置。
・文化や芸術が一部の人のための特別なことではなく、地域の人々の生活を支える必要不可欠なものであるという認識のもと、今後は産業などの様々な分野との連携によりその効果を生み出すような政策、施策を実施していきたいと考えているため、国においては、従来のような文化公演そのものへの支援だけでなく、地域づくりの政策的視点を持った事業への助成制度の創設・拡充を検討いただきたい。
・文化や芸術を活用した地域づくりへの取組について、各地域の情報を共有することにより、実際に地域づくりに取り組んでいる担い手が、事業へのヒントを得る等、取組の質的向上を図ることが可能となるため、全国的なデータベースの構築を検討いただきたい。
・民俗文化財(後継者育成、道具の修理・新調)に対し、地域の伝統に根ざした内容に則して実施する、継続的な補助事業の実施。
・文化政策は、産業、観光、福祉、教育など様々な分野の政策との連携が不可欠であることから、他分野との連携が円滑に進むよう、省庁間の連携を推進いただきたい。
・地域再生に資する事業を行うものに対する税制特例制度の設置。
・少子高齢化社会での伝統文化の伝承のため、過疎地の農山漁村、密集地の都市、それぞれの事情に応じたモデル事業やマニュアルの作成を行い、アクションプランを作成する。
 マニュアル、モデル事業、これは地域の実情に通じた行政関係者や学識経験者、保存会などが集まって早急に作成する。
 次に個々の事情に応じた伝統文化再生アクションプランを作成し、伝統文化を核とした地域再生プラン作りに寄与、さらに地域再生アクションプランを実施。モデル事業でも良い。
 ただし、必ず映像も含めた記録を詳細に残すことも不可欠である。
・地域再生計画に関して、文化芸術面の事業にあっては、省庁直轄の事業よりも、独立行政法人などの外郭団体等の支援事業の占める割合が高いため、地域再生計画の支援策については、国等でなく、これら外郭団体の事業も対象にしてほしい。
・各地に、全国また世界に誇れる貴重な伝統文化行事・芸能(祭り)がたくさんあり、まだまだ国民に知られていないのが実情ではないかと思われるので、現在実施されている、「地域伝統芸能まつり」の充実と継続をお願いします。
・また、全国また世界に向けてPR等できる伝統文化行事・芸能(祭り)の発表の場、機会を創設してもらいたい。
・事業に対しての助成や補助に対して更なる充実を求める事に加え、文化を基調とした地域再生で成功した事例や人材についての情報が閲覧できるような場(HP、冊子等)の提供と更に情報を活用できるような仕組みがほしい。
・補助事業だけではなく、マスコミやテレビ等での発表の場の必要性。


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