日本財団 図書館


VI-3 河川用の吸着型オイルフェンスの試作・実験
 杉樹皮製油吸着材には、基本型であるマット型(45cm角)、万国旗型(マット型を連結したもの;45cm×10m)、オイルフェンス型(45cm×5m、10mなど)があり、海洋流出油回収を中心とする各種用途に使用されている。
 一方、河川における油流出事故は、例えば水路への農業機械の転落やガソリンスタンドからの油漏出など小規模ながらかなりの件数が発生しており、流れのある水面での使用に適するタイプ、いわゆる河川用の吸着型オイルフェンスについて開発を求める声が寄せられていた。
 
 平成11年度に行った杉樹皮製油吸着材の試験により、円筒形のブーム型およびこれにスカートを設置したタイプの評価が高かったことから、作業性と製造コストを考慮し、円筒部(φ7cm)+スカート部(幅45cm)の構造のサンプル(長さ5m)を試作し、波と流れのある実験水槽において評価を行った。実験は平成16年12月10日に、(独)海上災害防止センター横須賀訓練所にて行った。
 
写真−VI.3.1 水流及び波を発生させた様子
 
写真−VI.3.2 水流の状態
 
写真−VI.3.3 上流から着色した灯油を投入した様子
 
写真−VI.3.4 油を吸着したサンプル(河川用の杉樹皮製油吸着材)
 
 この実験において、サンプルは流れの中で、かつ波がある状態においても十分流れ及び波に追従していた。上流から流した着色灯油は、吸着材サンプルの底面を通過することがなく油は吸着された。なお、写真−VI.3.3では、銀色の薄い油膜が吸着材の下流に見られるが、これは吸着型オイルフェンスに一般的に見られる現象であり、通常は二重、三重に展張することにより下流への散逸を防ぐ。
 
 本実験結果から今回開発した河川用の吸着型オイルフェンス(杉樹皮製油吸着材)は、実際の河川において十分使用可能であると判断された。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION