図66 ラインBの後方散乱強度の修正前と修正後の合成
これらより、ANKOU収録ファイルから求める後方散乱強度に対しては、実海底面を考慮した入射補角の修正が必要であることがわかった。このため、研究対象エリアのデータに対して、実海底面を考慮した入射補角の修正を実施した。
次に、研究対象エリアにおいて、後方散乱強度分布モデルと比較する場所として、図67に示すラインAからラインEを設定した。ラインAは、図5、図6および表3に示したように泥火山の周辺のリファレンスとしてコアサンプルを取得している第5熊野海丘および第6熊野海丘の南側を含めるように設定した。ラインBは、コアサンプルを取得してある第3熊野海丘を含めるように設定した。同様に、ラインCは、コアサンプルを取得してある第5熊野海丘を含めるように設定した。図5に示したように、研究対象エリアには、5つの泥火山が存在しているが、第7熊野海丘以外は、探査幅の外側部分に位置する。このため、探査幅の中央部分に位置する第7熊野海丘を含むように、ラインDを設定した。テクスチャ解析の結果を示した、図55より、海底地形には大きな変化が見られず底質が異なる結果を示した場所としてラインEを設定した。
各ラインでは、1ピングあたりの後方散乱強度では、データがばらついているので、20ピングの平均値を用いることにした。さらに、1ラインのデータ数は、4096個と多いため、1度ごとの平均値を用いた。求めたラインAからラインEの結果を図73に示す。次節において、これらのデータを使用して、composite roughness + volume散乱モデルを使用した後方散乱強度分布モデルと比較することとする。
図67 後方散乱分布モデルと比較する位置
図73 ラインAからラインEまでの後方散乱強度の合成
(2)後方散乱分布強度モデルの作成
後方散乱分布強度モデルはMourad and Jackson(1989)やJackson et al.(1986)によるComposite Roughness + Volume Scatteringモデルが提唱されている。
図71はJackson et al.(1986)による後方散乱強度のモデルの例である。
図74 Jackson et al.(1986)による後方散乱強度のモデル
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