更生保護法人 福正会
グループ名 |
酒害・薬害啓発教室 |
グループの課題・目的 |
アルコールや薬物への依存を予防するため,酒害・薬物についての知識を付与しるとともに自己認識が深まることを目的とする。 |
プログラム実施回数 |
毎月1回(日曜日)合計4回(うち2回は更生保護施設での通常の集会で実施)。10:00〜11:00
「断酒茶話会」11:00〜12:00 |
実施場所 |
福正会 集会室 |
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プログラムへの出席者
医療法人倉光病院のアルコール専門カウンセラー,保護観察所の課長・主任官,施設職員,被保護者のうち教室参加を希望した者,更生保護女性会会員(同教室終了後茶話会の実施)。
実施方法(具体的な進め方)
全4回のうち3回は医療法人倉光病院のアルコール専門カウンセラーが病理的なこと・身体的症状・精神的領域等を3回に分けて約1時間講話。
1回は3名のMAC※会員の体験談を聞く。
酒害,薬害啓発教室終了後同じ場所で,更生保護女性会会員によるお茶の礼儀作法の解説と点てた抹茶を喫しながら断酒を誓う茶話会(約3,40分)
プログラムを実施する際に配慮していること
参加者の変動が多い。また,依存性に相当差のある人の集団であるので,あらかじめ倉光病院のアルコール専門カウンセラーに被保護者の状況を情報提供している。
(講話の内容が「生き方ということ」で他の在所者の参考になることが多いことから,特にアルコール問題がそれほど深くない者にも参加をうながすようにしている。参加者の概要は講師に情報提供している。)
必ず職員も参加し,処遇に生かせる特別な事項を把握することにしている。
特別の取組みであることから,休日開催であるが,主任官の参加と指導を特にお願いしている。
これまでの経過
本事業(酒害・薬害教育プログラム推進事業)実施を契機に開始した。特に医療法人倉光病院のアルコール専門カウンセラーの協力確保,更生保護女性会の協力による断酒茶話会の実施については,保護観察所の絶大な協力を得て順調に実施できた。「酒害・薬害啓発教室」のほかに,更生保護施設における通常の集会を活用し,主任官が主催する酒害・薬害を内容とした集会を2回実施。
※MAC(Maryknol. Alcohol. Center)
処遇プログラムの場面
(1)プログラムの開始前の準備など
●酒害・薬害啓発教室
酒害・薬害啓発教室の実施日は,同教室の実施日以前に主任官が駐在に来た際に集会を開いて案内をしている。
同教室に参加する被保護者は,酒が原因で事件を起こした者だけではない。在会者全員に参加を案内している。
毎週日曜日の朝,7時30分から8時まで全員で施設の全体清掃を実施しており,被保護者はしばらく時間を置いて同教室に参加する。
被保護者以外には,更生保護施設職員・保護観察官・茶話会の更生保護女性会員の一部が参加する。
同教室の講義を医療法人倉光病院のアルコール専門カウンセラーに依頼しているが,開始前に余裕をもって来会されるので,当日の同教室に参加する被保護者の情報(主に飲酒に問題のある者の情報・人員等)を提供する時間を設けている。
(2)プログラムの実施状況
被保護者11名が参加。施設職員1名・保護観察所の課長・保護観察官・手の空いた更生保護女性会員が同席。
(1)通常は,食堂と集会室にカーテンドアで区分しているが,当日は取り払って大広間にしておき,次の催しへの動きがスムーズになるようにしている。
(2)集会室側に教室型で,被保護者同士が向かい合わせになるような配置にして着席する。
(3)ウォーミングアップは特に行わないが,講師の自己紹介の内容が参加者の緊張をほぐすことを意図した内容になっている。
酒害・薬害啓発教室の様子
(4)講師のアルコール依存に関しての講話。ほとんど講師の話になる。
(5)講話が終わった後1,2の質疑があったことがある。普通は少ない。
(3)ミーティング終了後
倉光病院の長島ケースワーカーから個別カウンセリングの協力申し入れがあり,当日の時間の都合を勘案しながら参加被保護者の個別カウンセリングを実施したことがある。
●断酒茶話会
更生保護女性会の協力を得る機会であり,また行事内容も好ましいものであることから協力を要請し,実施に至った。
断酒茶話会は,年間4回開催しているが,開催月の午前11時から概ね12時まで実施している。
更生保護女性会の会員から,お茶について簡単に礼儀作法等について説明してもらい,点ててもらった抹茶を喫しながら懇談しているが,良い契機になることを願い呼称している。
福岡市内には複数の更生保護女性会が存在する。酒害・薬害啓発教室を4回開催したが,それぞれを,早良区・西区・城南区・中央区の更生保護女性会に担当願い数名が参加されている。
断酒茶話会は,酒害・薬害啓発教室が終了したその机席で実施している。
断酒茶話会の様子
実施施設からのメッセージ
入会者に,飲酒の失敗者の多いことは実感しているが,依存性のレベルの段階の把握は難しい。しかし,酒に関わる失敗を防止することに結びつく機会を作ってやりたい思いがあった。講師には在会者を考慮した内容の講話をしていただき,在会者全員に参加を案内して実施している。加えて,更生保護女性会の協力が得られたことで断酒茶話会を実施しているが,「抹茶を点じてもらって飲んだことのある経験者」が基本的な礼儀作法や日本の伝統文化に触れる良い機会になったことは確かであり,今回の酒に関する勉強会と結びついて効果あるものになることを願っている。
(施設長)
*参考
MAC(Maryknol Alcohol Center)
メリノール宣教会の神父が始めたアルコール依存症者のための自助グループから発展したアルコール依存症者のリハビリ施設であり,入居型と通所型がある。
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