更生保護法人 山口更生保護会
グループ名 |
酒害ミーティング |
グループの課題・目的 |
被保護者のうち飲酒で問題行動を起こす者を対象とし,メンバー間の話し合いを通じ「酒害」を自覚し,新たな生活スタイルを身につけさせることを目的とする。 |
プログラム実施回数 |
毎月1回から2回 |
実施場所 |
当会会議室 |
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プログラムへの出席者
山口県やわらぎ断酒会会長,施設職員,被保護者のうちミーティング参加を希望した者,同断酒会会員(不定期)
実施方法(具体的な進め方)
山口県やわらぎ断酒会会長をグループリーダーとし,ミーティングを実施している。
進め方
(1)参加者のひとりひとりが自分の飲酒に対する考え方,飲酒の問題点,飲みたくなる場合の対処方法等1から2分程度で発表する。
(2)参加者同士で意見交換,提案,反論,激励などのやりとりをする。
(3)グループリーダーの講評を受ける。
プログラムを実施する際に配慮していること
(1)あらかじめグループリーダーには,被保護者の様子について情報提供し,ミーティング時間が無駄にならないよう配慮している。
(2)ミーティングには,必ず職員も参加し,個々の発言の要旨について記録をとり,指導の参考としている。
(3)ミーティング終了後には,個別的にサポートが必要な被保護者についての対応について,施設職員がグループリーダーから助言を受けている。
これまでの経過
昨年10月から酒害ミーティングを開始した。以前から被保護者がアルコール依存症で入院したり,飲酒が原因で事件を起こしたりすることから,山口県やわらぎ断酒会会長に指導を依頼したものである。飲酒が原因で事件を起こした者以外に,自ら希望する被保護者もミーティングに参加できるようにしている。
処遇プログラムの場面
(1)プログラム開始前の準備など
更生保護施設入所時に飲酒に問題がある者,また自ら飲酒に問題があると認識している者に対して,ビデオ「アルコール依存症」を視聴させた上で,酒害ミーティング出席を促し,本人が了承した者に参加させている。なお,ビデオは2回に分けて視聴させている。
施設長が参加対象者に直接酒害ミーティングの参加を伝え,対象者の了解を得ている。またミーティング時には次のミーティングの実施予定日を伝え,被保護者の意識付けを強めるよう配慮している。
酒害ミーティングは,平日の夕方1時間を当て,できるだけ,被保護者の生活に負担にならないように配慮し,茶菓子を出す等話しやすい雰囲気を心がけている。
施設長の指導のもと,ビデオ「アルコール依存症」を視聴
(2)プログラムの実施状況
入所者13名のうち,5名が参加。職員が2名参加し,全7名でミーティングを開始した。
(1)会議室に全員が集まり,お互いの顔が見えるように着席する。
(2)ミーティング開始前に自己紹介を行う。
(3)本日のミーティングのテーマは「アルコール依存症から立ち直って」。グループリーダーから山口県やわらぎ断酒会会員2人が紹介され,それぞれ約25分間の体験談を発表。
実際の断酒会ミーティングの場面
(正面は講師と外部の断酒会会員)
●主な意見の紹介
参加者a 「アルコール依存者の飲酒欲求は病的なものであって,正しい治療を受けない限り,自分一人の力ではコントロールすることは難しいことが分かった。」
参加者b 「心の中には,多くの欲求が起こってくる。その中には,実現したほうが良いという欲求と,実行すると生活に支障をきたすような欲求とがある。この二つを上手に見分けて,正しく処理することが大切だと思った。」
参加者c 「一旦アルコール依存症になった人は,二度と「ふつうの酒飲み」には戻れない。健康な生活をしたいと思えば,一滴でもアルコールを口に入れてはいけないことがよく分かった。」
(3)プログラム終了後
終了後,出席者の中から順番に「断酒会日誌」を記載させている。
グループリーダーとの話し合いの時間を持ち,問題のある被保護者に対しての処遇について,個別に助言を受けている。
(4)参加者の感想
断酒会日誌2通
実施施設からのメッセージ
酒害ミーティングは,一部の飲酒に問題のある被保護者に対する処遇であり,酒害ミーティングヘの参加の動機付けにかなり気を使いましたが,途中で参加をしなくなる者はほとんどいませんでした。
ただし,酒害ミーティングに参加する一方で,飲酒に至る者も若干おりましたので,どの程度の効果があったのか不安は残ります。しかし,酒害ミーティングの様子を見ていると,参加者は少なくともアルコール依存の問題点は十分に認識していたように思います。
今後も自ら強く断酒しようと思っている人が,その気持ちを長く維持し,断酒が継続できるよう働きかけていきたいと思います。(施設長)
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