更生保護法人 岐阜県共助会(光風荘)
グループ名 |
薬物再使用防止プログラム研究会 |
グループの課題・目的 |
被保護者全員を対象とし,講話を通じて薬物の再使用防止を図り,新たな生活スタイルを身につけることを目的とする。 |
プログラム実施回数 |
毎月1回(日曜日)9:00〜10:30 |
実施場所 |
更生保護施設 光風荘 集会室 |
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プログラムへの出席者
岐阜保護観察所職員,県薬務課職員,警察官,医師,被保護者(参加を希望した者),施設職員,保護司
実施方法(具体的な進め方)
プログラム実施に当たっては,それぞれの講師が単に講義で終わることなく,スライドやビデオ,写真等を利用したり,具体的な事例や経験等に基づいた講話を実施している。
また,講話終了後,参加者のひとりひとりが,身近に感じている薬害について,質問する時間をとっている。
さらに,参加者同士の意見交換,アンケート調査,保護司の激励などを実施している。
プログラムを実施する際に配慮していること
講師には,被保護者が希望している講話内容について事前に情報提供し,被保護者の問題意識に対応した講話になるように配意している。
可能な限り視聴覚教材を活用して,分かりやすい講話になるようにも配慮している。
そのほか,必ず職員も参加して個々の発言の要旨について記録をとるほか,講話の終了後には,発言できなかった被保護者から意見を聞くなどして,今後の指導の参考にしている。
これまでの経過
*プログラムを始めようとした動機
(1)被保護者らには,講師による専門知識と視聴覚教材などにより薬害の恐ろしさの認識を一層深めさせ,薬物再使用(乱用)の防止を図ることが大切だと思われたため。
(2)増え続ける覚せい剤被保護者(環境調整)に対応するため職員の資質向上が必要と思われたため。
(3)数年前から被保護者が,退会後における薬物とのかかわりに不安を持っている者が多くいたことから,アフターケアーといわゆる「つなぎ」の必要。
処遇プログラムの場面
(1)プログラムの開始前の準備など
薬害教育(講話)の実施日は,月1回であるため,あらかじめ食堂の黒板に「何日に講話がある」旨を記載し,参加者へ告知をする。
薬害教育(講話)は,月1回(日曜日)おおむね午前9時から午前10時30分まで90分間実施している。同教育を受ける被保護者は,覚せい剤事犯者のほかに,入所時の初回面接で受講を希望した者が参加する。被保護者以外には,保護観察所職員,保護司,更生保護施設職員が参加をする。
講師は,薬物にかかわりのある各分野(岐阜県の薬務課の職員や医師,ダルク,警察官のうち薬物捜査の経験者)等に依頼している。
(2)プログラムの実施状況
*講話には毎回,被保護者十数名と岐阜保護観察所の職員,当施設の職員と保護司が2名以上参加している。
(1)集会室に全員が集まり,四角に机を並べお互いの顔が見えるように着席する。
(2)講話に先立ち,講師の経歴や現在の職業等にあわせて,テーマの紹介をする。
(3)講師の自己紹介や資料の確認等を行う。
(4)講話の実施。
(5)質疑応答。
●主な質問の紹介
・指定されたときに,尿検査が出来ない時はどうすれば良いのか?
・指定された前後に出頭して,尿検査は受けられないか?
・覚せい剤は,何回くらい使用すると依存症になるか?
・依存症が強くなると薬物を断つことが出来ないように聞いていますが本当ですか?
視聴覚教材を活用
・覚せい剤は,どこの国から密輸されますか?
・覚せい剤の仕入れ先や価格,また,覚せい剤の1回の使用量はどれくらいですか?
・覚せい剤の使用者(常習者)の身体的特徴は?
・薬物に関し,気軽に相談を受けられるところはありますか?
・警察で受けられた相談はどのようなものがありますか?
・去る10月1日岐阜にもダルクの事務所が出来たと聞きましたが,宿泊は出来ますか?また費用はどれくらいかかりますか?
・共同生活の時,就労はできますか?
等の質問があり,新しく入った被保護者は同じような質問をすることもあることから,これらに対応出来るように資料を整備するようにしている。
講話の様子(1)
講話の様子(2)
実施施設からのメッセージ
プログラムを始めた頃は,参加者たちが嫌がるのではないかと思いましたが,薬害教育を実施してみると自ら希望して参加する者が多いのには驚きました。私たち施設職員も一緒に講話を受け,その後の座談会では,被保護者の本音が出たりして,「頑張っているなー」とか「支えてやりたいなー」と思うようになりました。(補導員主任)
処遇効果はどの程度上がっているかはっきりとはわかりませんが,保護観察所で毎月実施する「任意の尿検査」には積極的に協力し,これまで全て陰性反応であることを考えると被保護者への信頼が増したように思われます。また,補導に当たる者は,講師の方々からは新しい知識が得られ,被保護者の症状を知ることが容易となって,別の角度からも指導できるようになり,よりよい指導が出来るようになったようです。相手を理解した上での指導は,信頼関係を深めると同時に指導に対する自信にもつながっているようです。
さらに,専門家の先生と話ができる機会を得ることは,とてもプラスになっている様子がうかがえます。(若原施設長)
参加者の感想文
○○歳 男性
私は,覚せい剤におぼれ,2度の刑務所生活を経験しましたが,更生保護施設で薬害ビデオを見て,覚せい剤は,体と肉体と脳に害を及ぼすことがとてもよくわかりました。
私は,覚せい剤の恐ろしさがとてもよくわかりました。覚せい剤に二度と手を出さないと心から思いました。
薬害ビデオをもっと保護施設で入所者に見せていただきたいと思います。
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