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7. 成果の検討及び最終全体会議
 最終全体会議の前日午後には、各作業部会の成果の確認検討が行われ、最終日には、事務局が作成したAIS16報告書(案)について、全体会議にて確認された。また、技術作業部会と運用作業部会の個別検討に対する両作業部会の結果報告とそれに対するコメント、確認もあわせて行われた。
 今後のIALAとして注目をしていく項目として、
(1)IEC62287クラスB“CS”AISの開発結果に対する評価
(2)ITU-R M.1371-1の改訂に向けた作業
(3)AIS17以降のIALA委員会の組織構造とAIS委員会での担当作業との整合性
(4)AIS情報の公開に関する状況
(5)IPR問題の行方
 検討結果の最終版については今後、IALAのウェブサイトで公開されることとなった。
 最後に委員長からは、今回の会議作業にあたり参加者各位に謝意を述べるとともに、参加者全員に帰路の安全を期し委員会は解散した。
 
8. 特記事項
(1)本AIS16委員会では、4.2(6)プレゼンテーションで述べたように、日本から「電子航行支援システム(ENSS)」について、そのシステムの概要と活用例の発表を海上保安庁と日本航路標識協会が共同(海上保安庁小熊氏及び日本航路標識協会佐藤)で発表を行い、発表後の参加者からの質問などから参加者へ大きなインパクトを与えたものと思われる。(添付資料2参照
 本システムは、平成16年度、日本海事財団から事業補助金を得て実施した、「AISを活用した次世代型航行援助システム研究委員会(委員長:東京海洋大学今津教授)」の成果の一つで、電子海図(ECDIS)など高価なシステムを搭載困難と思われる小型船等においても、AISとパソコン等安価な利用者装置を利用した新しい航行支援システムで、今後クラスBを含むAISの普及に伴い実現化の期待が高いものと考えられているものである。
 参考までに、全体会議における発表状況を示すと次の写真のとおりである。
 
 
(2)我が国における航路標識技術を積極的に世界に広報する目的で、IALA機関紙に「日本における灯浮標の船舶衝突予防マーキングシステム」の紹介記事を掲載していただくことについて事務局担当者と打ち合わせを行い、原稿を編集者に送るようお願いした。本システムは、我が国における灯浮標への船舶衝突あるいは船舶接触による灯浮標の障害が発生した場合、当該船舶に特殊な塗料を吹き付け、当該船舶を確認もしくは現認させるため我が国で初めて開発されもので、結果的には船舶衝突等の予防を行いうることから、他の国でも興味を抱いていることであり本年後半には掲載されると思われる。(編集者はロンドン在中で直接はコンタクトできなかった)
(3)前述5.(7)で記述したように、本委員会では、ライブドットコム社のAISデータ公表について各国政府機関の委員に対して、議長から各国それぞれの現状と考え方等の意見が求められ、日本からは海上保安庁としての考え方を説明したが、全体的に未だ決まった方向性は見出されてはいない現状である。しかしながら、AIS情報の提供に保安上、安全上の問題があるとしても、その利用の仕方によっては船舶交通の安全に寄与することだけではなく、船舶交通の効率化、物流の効率化に大きく寄与することが考えられることから、世界的にその利用の仕方を模索していることであり、我が国においても世界の動向を踏まえ独自の考え方を出していく必要があると思われる。
 
添付資料1:IALA第16回AIS委員会報告書(出席者名簿を含む)
添付資料2:プレゼンテーション資料


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