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6. 作業部会の作業内容
6.1運用作業部会(OPSWG)
 AIS委員会には、運用作業部会と技術作業部会の二つがありますが前者に参加しました。
(1)運用作業部会での検討事項
(1)IALA-AIS運用ガイドラインの改訂について
(入力文書AIS15/7/5、AIS15/7/6、AIS15/7/7)
(2)IALA ナブガイド(第4章AIS関連)の改訂について
(入力文書AIS15/10/1)
(3)短文安全関連メッセージの利用要件の検討について
(入力文書AIS15/12/4)
(4)理事会からの要請によるAIS・ロングレンジの検討について
(5)航路標識AISのためのMMSIの検討について(入力文書AIS15/12/3)
(6)AISに関するGNSS問題の検討について(入力文書AIS15/12/3)
(7)VTS運用要員のためのAIS研修について
(2)検討結果
 上記文書等を基に次のとおり検討が行われた。
イ IALA-AIS運用ガイドラインの改訂(AIS15/7/5、AIS15/7/6、AIS15/7/7)
 現ガイドライン(2002年12月1.2版)の制定後、AISに関するIEC規格の改訂、SOLAS条約第V章の改訂、NAV49におけるAISバイナリーメッセージ使用制限の採択等の状況変化があったことから、同ガイドラインの各項目を精査し、改訂すべきすべての項目の改訂作業が行われた。
(AIS15/OPS WG/出力文書1)
 今後の予定は、第35回IALA理事会において本改訂版の承認を得るため、事務局が承認伺いの文書を提出することとなっている。
ロ IALA ナブガイド(第4章AIS関連)の改訂(AIS15/10/1)
 本改訂作業を担当していたカナダコースとガードのキロウェイ氏が作業を終え、本作業部会に改訂案が提示されたことから、本案の検討を行い運用作業部会としての改訂作業を完了した。
(AIS15/OPS WG/出力文書2)
 今後の予定は、ナブガイド全体のまとめ役であるANM委員会に、本改訂案を提出することとなっている。
ハ 短文安全関連メッセージの利用要件の検討(AIS15/12/4)
 RNAV委員会からのコメント(AIS15/12/4)を考慮に入れながら、前回で検討した安全メッセージの使用方法の草稿の見直しを行った。どのような手順、注意、及び前提条件が必要か、また、世界航行警報との関係がどのように調整されることになっていたか等について検討を行い、2005年7月に開催されるIMO(NAV51)に、IALAとIHOとで共同提案する入力文書を完成させた。
(AIS15/OPS WG/出力文書3)
 今後の予定は、第35回IALA理事会において本入力文書の提出承認を得るため、事務局が承認伺いの文書を提出することとなっている。
ニ 理事会からの要請によるAIS・ロングレンジの検討
 IALA理事会の戦略グループは、海上のセキュリティーと安全とは切離して考える必要があることを断言しているが、AIS基地局の制御等のいくつかの局面で問題が複雑化してきていることに留意して、AIS委員会に対してAIS・ロングレンジでの追跡能力のレポートを再検討するよう依頼があり、技術作業部会で作成した文書について運用部会としての検討を行い返送した。
(AIS15/TWG/出力文書)
 今後の予定は、事務局が第35回IALA理事会に文書を提出することとなっている。
ホ 航路標識AISのためのMMSIの検討(AIS15/12/2、3)
 AIS15/12/2及び3の入力文書を検討し、テレノア社によって提唱された案が許容できると結論づけた。さらに、技術作業部会で作成した文書について運用部会としての検討を行い返送した。(AIS15/OPS WG/出力文書5)
 今後の予定は、事務局が第35回IALA理事会に文書を提出することとなっている。
ヘ AISにおけるGNSS問題(AIS14/output/01)
 IEC規格の改定(2000年)以前に搭載されたGNSS(GPS、ロランC等)は、その後制定されたAISの入力規格との整合性が取られていない(インターフェースが合わない)ことから、そのままAISの位置センサーとして利用した場合、データの表示不能や誤りが発生することから、AIS利用者に周知するための注意喚起資料(対応策等)をIMO(NAV50)に提出したが検討されなかった。
 当委員会としては、本件が重要な問題であることに注目して、AISのためのインストールガイドラインを修正するように、IMOに対し早急に依頼することで意見が一致した。
 今後の予定は、事務局が、本件を再度理事会に入力するとともに、AIS委員会に経過を報告することが求められた。
ト VTS運用要員のためのAIS研修
 VTS運用要員のためのAIS研修に関するワークショップ(2003年2月ロッテルダムで開催)のレポートに注目するとともに、その結論と勧告に同意した。
 運用作業部会のメンバーは次のとおりであった。
名前 所属/国
アンダース・ベルイストローム ツルー・ヒーディング社/スウェーデン
アントニオ・アミーゴ Directemar/チリ
ダニエル・ヘンドリクス SHN/アルゼンチン
ダンカン・グラス トリニテイハウス/英国
エド・ラルー 米国沿岸警備隊
ギール・イェグスタッド ノルコントロールIT社/ノルウェー
ヒューゴ・エスピノーサ INOCAR/エクアドル
イルデフォンソ・ロリテ Puertos del Estado/スペイン
沖 伊佐美 海上保安庁/日本
ジェイコブ・バン RDANH/デンマーク
ジーン・フランソア・ベイディン ロッキード・マーチン/米国
ジェンピーター・ハーツマン RDANH/デンマーク
マヘシュ・アリムチャンダニ(作業部会議長) AMSA/オーストラリア
レネイ・リチャード IMPA/フランス
佐藤辰雄 日本航路標識協会
ウルフ・バーガンダール EU委員会/EMSA
 
6.2 技術作業部会(TWG)
(1)技術作業部会における検討項目
(1)AISに関するIEC規格制定のためのTC80 WG14の今後のスケジュール
 AIS陸上局や航路標識AIS局のIEC規格を策定するWG14会議は、第1回を2004年5月に開催し、以後3ヶ月おきに開催することとなった。
 予定としては、AIS陸上局のIEC規格(案)は、2005年2月の第4回までに、また、航路標識AIS局のIEC規格(案)は、2006年2月までに作成することとなった。
(2)FATDMAの運用方法の検討
 AISの通信方式の一つであるFATDMA方式による運用において、AIS陸上局の局配置のシナリオとして、単独局、2局、連続的な局配置で有効範囲がオーバーラップしている場合等を想定し、AISCh1、AISCh2への割付の考え方等の技術基準の策定に向けて検討がなされた。
 具体的な検討項目は次のとおり。
* FATDMAによる運用技術基準の策定
* AIS陸上局の局配置の基本モデルの作成
* カバー範囲のオーバーラップを想定したAISCh1、AISCh2への割付の考え方の検討
(3)IALA AISガイドライン及びITU-R M 1371-1基準の改訂
 本改訂作業は、現在IEC TC-80 WG8Aによって検討が進められているクラスB・AISのIEC規格が制定された後に、クラスBに採用されるCSTDMA方式の技術要件等を盛り込む作業が進められることとなっている。
 具体的な改訂検討項目は次のとおり。
* AIS陸上局、航路標識AISの技術要件に関するAISガイドライン、及びITU-R M 1371-1基準の改訂の検討
* CSTDMA方式によるクラスBAISの技術要件に関するAISガイドライン、及びITU-R M 1371-基準の改訂の検討
(4)ITU-R M 1371-1基準改訂版のIALA技術解説の作成
 ITU-R M 1371-1基準の改訂に並行して、同改訂版のIALAとしての技術解説書の作成作業が進められている。
 
7. 成果の検討及び最終全体会議
(1)最終全体会議の前日午後には、各作業部会の成果の確認検討が行われ、最終日には、事務局により作成された第15回AIS委員会報告書案の確認が行われた。
 最終版については今後、IALAのウェブサイトで公開されることとなった。
(2)次回の第16回AIS委員会は、2005年2月28日から3月4日にかけてIALA本部で開催される予定である。
(3)IALA長距離追尾セミナー
 カナダのビクトリアコロンビアにおいて、2004年11月3日〜5日にIALA主催で開催される「船舶のロングレンジトラッキング(長距離追尾)に関するセミナー」の案内があった。
(4)IALA危機管理セミナー
 カナダのモントリオールにおいて、2004年11月8日〜10日にIALA主催で「衝突リスクに関するセミナー」が開催される予定である。
8. 特記事項
(1)海上保安庁が本年秋に計画している「AISに関する専門家会議(S/O補助金)」について、IALA事務局長及び招聘予定のマヘッシュ氏(オーストラリア)、セッターバーグ氏(スウェーデン)、ヘイジン氏(オランダ)、エド氏(アメリカ、アロヨの代理)へ会議日程等を説明し、現在海上保安庁が考えている会議の進め方並びに資料送付のお願いと質問表について説明し、会議開催前に回答をいただくようお願いをした。
(1)本AIS専門会議シップ・アンド・オーシャン財団主催により、「航行援助分野におけるAISの活用に関する専門家会議」と題するAISシンポジュームとして開催することとしており、専門家としては、当AIS委員会の中からIALA事務局長の推薦で選ばせていただいたこと。
(2)本会議は、二部構成で、第一部として招聘予定の専門家によるプレゼンテーションを、第二部として「AIS情報の船舶側の表示に関する問題とMKD(Minimum Key Board)に替わる表示装置の考察」と題してパネルディスカッションを行うこと。
(3)第一部のAIS専門家によりますプレゼンテーションでは、次のとおりプレゼンテーターは、次の7名の方々にお願いしていること。
・国際航路標識協会(IALA)事務局長のトールステン・クルーズ氏
・アメリカコーストガード船舶交通管理室事業調整官のジョージ・アロヨ氏
・オランダ物理電子研究所海上航行レーダーグループのビム・バンデ・ヒィジデン氏
(当AIS委員会技術作業部会議長)
・オーストラリア海上安全庁海事顧問のマヘシ・アリムチャンダニィ氏
(当AIS委員会運用作業部会議長)
・スウェーデン海事管理局技術顧問のラルフ・ゼッターバーグ氏
・海上保安庁交通部整備課長の篠崎正夫氏
・独立法人航海訓練所助教授で海王丸一等航海士を務める馬谷正樹氏
(4)発表時間は、一人当たり20分から25分程度で発表していただくこと。
(2)IALAは、VTSを含む航路標識の全てにわたり、性能基準、電気的特性及び試験方法、運用等のあり方を確立する世界的な機関であるが、AISの分野においても円滑な導入に向けた国際機関(IMO、ITU、IEC)の諸活動を支援してきている。
 AISについては、2002年7月から一部の船舶に強制的に搭載されるようになり、搭載船舶も徐々に増加しつつあるが、各国ともそれぞれの立場から陸上局を整備し、かなりの国で正式運用を行っており、さらには関係国との間でAIS国際ネットワークの構築を進めている地域もある。
 IALAにおいては、今後、航路標識へのAISの設置、BM(バイナリメッセージ)による情報提供等に関する技術・運用要件、CSTDMA方式による小型船向けのAIS(クラスB)の性能基準等が逐次検討され、AISそのものの機能向上を図ろうとしており、特に陸上局の運用からBMの活用方法に至るまでの、国際的に統一された要件に関する検討が行われている時期であるため、今後も、IALA及びIMOにおける検討に積極的に参加し、情報収集を行うとともに我が国の意見を発表するなどして、我が国航路標識事業の発展に貢献することが重要であると考える。
 
添付資料1:IALA第15回AIS委員会報告書(出席者名簿を含む)
添付資料2:プレゼンテーション資料


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