日本財団 図書館


(4)相談ボランティアの研修
 アンケート回答者112名の内98名が研修に参加した。この方々は大変熱心で、ほぼ全員が20時間の研修を修了。より高度の研修を受けたいという方が多数いたので、東京では22名に対して更に44時間の研修を行うことになった。3月末までかかって計64時間の研修を終えた方には、修了証と「ピア・メント」の認定証を授与した。
 沖縄では今年は募集も研修もする予定は無かったが、昨年のボランティアが大変熱心で、自主的に講師の上石先生に依頼してスキルアップ研修を行った。札幌では受講生はそれほど多くなかったが、何と北見市から泊りがけで参加した人もいて、非常に盛り上がった。宇都宮は既存の他のグループからの参加者もいて、その後の連携に役立った。名古屋ではボランティアにひきこもり経験者がいた関係で、懇親会にはひきこもりの自助グループの方々も参加し、その後の連携に結びついた。松山では今年の応募者は少なかったが、昨年研修に参加できなかった人にも呼びかけ、大変熱心な人たちが集まった研修となった。福岡は研修予定にはなかったが、昨年開催されなかったため、松山と同様の研修を行った。
 
研修日程と会場は以下の通り。
1 札幌
研修日程:平成16年11月21日〜23日
会場:北海道相談情報センター
2 宇都宮
研修日程:平成16年9月14日、9月21日、9月28日、10月5日
会場:北関東相談情報センター
3 東京
研修日程:
日曜クラス:平成16年9月12日、9月19日、9月26日、10月3日
木曜クラス:平成16年9月16日、9月30日、10月7日、10月14日
会場:日本財団ビル、神楽坂エミール、日本出版クラブ会館
4 名古屋
研修日程:平成16年10月1日〜3日
会場:中部相談情報センター
5 松山
研修日程:平成16年9月10日〜12日
会場:道後保養所 えひめ
6 福岡
研修日程:平成16年9月18日〜20日
会場:九州相談情報センター
7 沖縄(相談ボランティアの有志による自主的なスキルアップ研修)
研修日程:平成16年6月24日〜26日
会場:宜野湾セミナーハウス
 
相談ボランティア研修(沖縄)
期日:平成16年6月24日〜6月26日(2泊3日)
会場:宜野湾セミナーハウス
内容:対人援助技術の技法を学ぶ
講師:前九州保健福祉大学講師 上石 隆雄 先生
研修時間:計17時間
 
沖縄研修
沖縄研修
札幌研修
札幌研修
宇都宮研修
宇都宮研修
 
対人援助技術の技法を学ぶ
九州保健福祉大学社会福祉学部 上石隆雄(カミイシ・タカオ)
児童養護施設「知覧児童学園」上薗昭二郎(カミゾノ・ショウジロウ)
 
●セルフ・ヘルプ・グループ(self-help group)
 
 同じような問題をかかえる個人(あるいはその家族)が自分自身の問題を自分自身で解決するために結成したボランタリーで、専門職から独立した持続的な小集団。その機能には、メンバーの認識的なあるいは行動的な自己変容を促す自己変容的機能と、ソーシャル・アクションによって、あるいはボランタリーなサービスによって社会を変えていこうとする社会変革的機能がある。例として、障害者の会、患者会、単身の会などがある。(川島書店「社会福祉実践基本用語辞典」)
 
ボランタリー=自由意思で・・・、自発的に
専門職=相談を専門の職業として働いている人々
機能=はたらき
ソーシャル・アクション=皆で力を合わせて地域社会や社会制度を変えようする運動
自己変容=自分自身がより良い方向に変わる
社会変革=地域や世の中がより良い方向に変わる
 
「生徒指導の在り方」(小集団研究の視点から)
九州保健福祉大学 上石隆雄
1. はじめに
 
2. 小集団とは、「それ程多くない人々の集まり」をいう。
<社会心理学的定義>
(1)メンバー同士が対面的である。
(2)メンバーの中で意味ある相互作用が起きている。
(3)グループが解散しても、メンバー一人ひとりがどんな人か印象に残っている。
 
3. 集団の規模とコミュニケーション回路
<メンバー相互の意志確認>
N(N−1)=コミュニケーション回路 N=メンバーの数
N=10の場合 コミュニケーション回路=90
N=20の場合 コミュニケーション回路=380
N=30の場合 コミュニケーション回路=870
N=40の場合 コミュニケーション回路=1560
結論:メンバーの数が倍になれば、コミュニケーション回路は倍以上に増加する。
 
4. 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション
コミュニケーション=個人内コミュニケーション(思考)
対人コミュニケーション(相互通行の情報伝達)
マスコミュニケーション(一方通行の情報伝達)
言語的コミュニケーション=言葉そのものの情報伝達(書く、話す、読む、きく)
非言語的コミュニケーション=言葉以外の身振り、手振り、表情、服装、持ち物などを通して行われる。五感(みる、きく、かぐ、あじわう、ふれる)が媒介となる。
コミュニケーションを行う上での注意(1):言葉の背後にある思いに注意をはらう。
 
5. 集団内のコミュニケーション
<図形伝達ゲーム>
仮説=人から聞いたことを、他の人に伝えるということには、話の表現の中に、すでに間違いがある上に、聞き手がそれを自己流に受けとるので、最初の事実と全く関係の無いようなことがいかにも事実らしく伝えられることが多い。
コミュニケーションを行う上での注意(2):相互に情報を確認し、メモ等を活用する。
 
6. 教室内の情報伝達
<児童の私語の過半数以上は、授業に関連する事柄>
知識のアドレス=授業中に教師が教えている箇所が分からず、迷子になる児童が多い。
 
 
7.指導と援助
指導=教師の世界に児童が入ってくる
援助=児童の世界に教師が入ってくる
個別性=見掛けが同じでも成り立ちが異なるなら、指導援助は異なる。
個別指導(教室の後ろから入って)→授業(全体指導)→個別指導(後ろから出る)
<授業の終りは、教師の話の終りか、全ての後片付けの終りか>
<休み時間は、前の時間の後片付けか、次の時間の準備か>
 
8. 授業中の児童の姿と質問の仕方
<授業中に教師の方にしっかり視線を送っていても、聞いていない児童が多い>
<教師(人間)は右利きが多いので、右側前列が当たりやすい>
<勉強の嫌いな児童は、叱られるよりも授業が進み、当たるほうがいや>
<日にちと児童番号から、当てる教師は疫病神>
<なるべく「分かりません」という答えをしない工夫>
質問の種類:
(1)これから進む授業のためにアンケート的に質問する。
→ 思ったことを好きに答えて下さい。
(2)以前に教えた内容を確認するために質問する。
→ 大まかどんなことを学んだか伝える。
(3)直前に教えた内容を確認するために質問する。
→ 直前の内容を繰り返す。
(4)直前に教えた内容の発展・応用した内容を質問する。
→ 直前の内容を繰り返す。
注)質問の中に分からない言葉があれば、児童の方から指摘してもらい、説明する。
→ ***の言葉が分かりません。
<手のあげかたで、当てる教師は鈍感>
→ 教師の話に反応する姿から、誰に当てるか判断する。「分かる人?」は儀式。
 
9. 小集団の指導(時間があれば実技指導をします)
 
10. 私の好きな言葉
 「真に教師という名に値する人間は、その人に出会うことによって、ある人間が生涯の影響を受けるような師のことである。それは進路が決定されたという意味ではない。むしろ、自分の生涯のうちで、苦しいこと、悲しいこと、思いあまるようなことに出会った時に、その先生のことを思い起こすことで慰められ、励まされ、あるいは警告が得られる。そんな役割を人の生涯にわたって持ち続けられる先生が、本当の師である。」(マルチン・ブーバー)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION