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II ケア輸送サービスに係る運賃
1. ケア輸送サービスに係る運賃の認可の申請に対する処理方針等
(1)審査基準の弾力的取扱い
 一般乗用旅客自動車運送事業者(患者等輸送事業の許可を受けた者を含む。)から上記Iの1. に掲げる形態により行うケア輸送サービスに係る運賃の認可の申請があった場合は、特に、介護保険サービス等と連続して行う要介護者等の輸送サービス(以下「介護輸送サービス」という。)について、事業者の判断により多様な運賃の設定方式がありうること等を踏まえ、審査基準の弾力的な取扱いを図るものとする。
 具体的には、介護輸送サービスに係る運賃の認可の申請については、自動認可運賃に該当せず、かつ、運賃改定を伴わない場合において、原価計算書等(「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃料金の認可の処理方針について」(平成13年国自旅第101号)別紙4第3の1にいう添付書類をいう。)の提出を求めず、自動認可運賃に準じた処理手続によるものとする。
 なお、この場合においても、提供される介護輸送サービスの内容と比較して、運賃の額が著しく低額でもっぱら名目的なものにすぎないと認められるときは、この限りでないものとする。
 
(2)距離制によらない運賃の適用等
 介護輸送サービスに係る運賃及び料金に当たらないケア輸送サービスの運賃及び料金の申請についても、ケア輸送サービスの実態を踏まえ、時間制運賃、定額運賃等距離制によらない運賃のみを設定することを妨げないものとする。また、距離制による運賃を設定する場合を含め、審査基準及び処理期間等について弾力的な取扱いを図るものとする。
 この場合において、認可の対象として想定される運賃を具体的に例示すると、以下のとおりである。
(1)距離制又は時間制をベースに割引運賃を設定するもの。
(2)時間制運賃を基本として、15分又は30分単位など細分化した時間に対応して設定するもの。
(3)一定の幅で運賃を設定し認可を受け、その範囲内で送迎サービスの内容等に応じて運賃を収受するもの。
(4)一定の輸送範囲において定額運賃を設定するもの。
 
2. 標準処理期間等
 「一般乗用旅客自動車運送事業の許可、事業計画の変更認可等に関する標準処理期間の設定方針について」(平成13年国自旅第128号)にかかわらず、上記1. (1)の場合については自動認可運賃に準じて取り扱うものとする。また、既に他の事業者が認可を受けているものと同様の運賃設定は、速やかに認可するものとする。
 
III. 訪問介護事業所の訪問介議員等に係る有償運送の許可
1. 許可基準
 訪問介護事業所又は居宅介護事業所(以下「訪問介護事業所等」という。)の指定を受けた旅客自動車運送事業者との契約に基づき訪問介護サービスを提供する訪問介護員若しくは居宅介護従業者又は介護福祉士(以下「訪問介護員等」という。)から、その使用権原を有する自家用自動車による有償運送について、道路運送法(昭和26年法律第183号)第80条第1項による許可の申請があったときは、以下の基準に適合するかどうかを審査するとともに、適合する場合にあっては、公共の福祉を確保するためやむを得ないものと認めて許可するものとする。
(1)介護支援専門員(ケアマネージャー)が作成する介護サービス計画(ケアプラン)または市町村が行う支援費支給決定に基づき、資格を有する訪問介議員等が訪問介護サービス等と連続して、又は一体として行う輸送であること。
(2)訪問介護員等は、下記の基準により、十分な能力及び経験を有していると認められること。
イ)申請日前一定期間、無事故・運転免許停止処分を受けていないこと。
ロ)安全運転及び乗降介助等のケア輸送サービスに係る講習を受講し、又は受講する具体的な計画があること。
(3)訪問介護事業所等の指定を受けた旅客自動車運送事業者の責任において、有償運送に係る運行管理、運転者の指導及び監督、苦情処理、事故時の対応その他安全の確保及び旅客の利便の確保に係る措置が行われるものであること。
(4)訪問介護員等が使用する車両について、対人8,000万円以上及び対物200万円以上の任意保険若しくは共済(搭乗者傷害を対象に含むものに限る。)に加入していること又はその計画があること。
(5)使用車両の車体に「有償運送車両」又は「80条許可車両」の表示がされるものであること。(別記2参照)
(6)原則として、営業所のみにおいて運送の引受けを行うものであること。
(7)運送の引受けにあたっては、要介護者等にあらかじめ自家用自動車による有償運送である旨告知するものであること。
(8)訪問介護員等が道路運送法第7条(欠格事由)各号のいずれにも該当しないものであること。
 
2. 申請の方式
 上記1. の許可の申請は、訪問介護事業所等の指定を受けた旅客自動車運送事業者が一括して行うことができるものとする。
 
3. 許可の期限
 許可に当たっては原則として2年間の期限を付すものとする。
 
附則
1. 既に一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動車運送事業の許可を受けているものは、本通達に基づく許可を受けたものと見なし、許可条件についても本通達の条件を適用するものとする。
2. 本通達による取扱いについては、介護保険制度の見直しを踏まえ必要に応じ見直しを行うこととする。
 
(別記1)
 
 外部から見やすいように使用車両の車体の側面に患者等輸送事業に用いる車両である旨の表示事項及び方法は次のとおりとする。
 
1. 事業者の氏名、名称又は記号
 
2. 「患者等輸送車両」の文字
 
3. 文字はステッカー、マグネットシート又はペンキ等による横書きとし、自動車の両側面に行うこと。また、文字の大きさは縦横50ミリメートル以上とする。
 
(別記2)
 
 外部から見やすいように使用車両の車体の側面にボランティア輸送に係る有償運送に用いる車両である旨の表示事項及び方法は次のとおりとする。
 
1. 氏名、名称又は記号
 
2. 「有償運送車両」又は「80条許可車両」の文字
 
3. 文字はステッカー、マグネットシート又はペンキ等による横書きとし、自動車の両側面に行うこと。また、文字の大きさは縦横50ミリメートル以上とする。
 
 
国自旅第230号
平成16年3月16日
 
各地方運輸局自動車交通部長
沖縄総合事務局運輸部長   あて
 
自動車交通局旅客課長
 
特定旅客自動車運送事業の許可要件の明確化について
 
 特定旅客自動車運送事業の許可手続きについては、「特定旅客自動車運送事業の申請に対する処分及び標準処理期間の処理方針について」(平成14年1月31日付け国自旅第165号の2)により取扱いを行ってきたところであるが、今般、「構造改革特区の第3次提案に対する政府の対応方針」(平成15年9月12日構造改革特別区域推進本部決定)において当該許可の要件の明確化を図ることとされたことを踏まえ、下記のとおり上記通知の解釈について通知することとしたので、留意されたい。
 なお、本件については、社団法人日本バス協会会長及び社団法人全国乗用自動車連合会会長あて、別添のとおり通知したので申し添える。
 
 
 「特定旅客自動車運送事業の申請に対する処分及び標準処理期間の処理方針について」(平成14年1月31日付け国自旅第165号の2)1−(1)運送需要者に定める「実質的に単数と認められる場合」とは、個々の事案について実態を十分勘案した上で判断されるべきであるが、例えば、以下のような事例は「実質的に単数と認められる場合」と解釈しても差し支えない。
 なお、以下に示す事例以外の場合であって、個々の申請に関して判断し難い事案が発生したときは、その取扱いについて本省に照会することとされたい。
 
(1)工業団地内に存する複数企業の工場等をバスが巡回し、最寄り駅等との間で従業員の送迎輸送を行う場合であって、以下の要件を満たすとき。
(1)申請者と運送需要者たる複数企業との間で単一の運送契約が締結されていること。
(2)運送需要者たる複数企業が同一の運送目的を有していること。
(3)(1)の運送契約において運送の利用形態等が明確に示されていること。
(4)(1)の運送契約の内容を証する書面が作成されていること。
 
(2)介護報酬の支払い対象となることを前提として、医療施設等と自宅等との間で複数の要介護者の送迎輸送を介護サービス事業者が行う場合であって、以下の要件を満たすとき。
(1)申請者たる介護サービス事業者と運送需要者たる複数の要介護者との間で介護サービスの利用に関する契約(運送契約であることが明示されていない場合を含む。)が締結されていること。
(2)運送需要者たる複数の要介護者が同一の運送目的を有していること。
(3)(1)の契約の内容を証する書面が作成されていること。
(4)運送需要者たる複数の要介護者は、要介護認定を受け、特定の市町村から介護報酬の支払いを受け得る資格を有すること。
(5)会員制により運送需要者たる複数の要介護者が特定されている場合であって、申請者たる介護サービス事業者の作成する会員リスト等により、申請者が個々の運送需要者を明確に把握していると認められること。
 
 
[別添]
国自旅第231号
平成16年3月16日
 
社団法人日本バス協会 会長
社団法人全国乗用自動車連合会 会長 あて
 
自動車交通局旅客課長
 
特定旅客自動車運送事業の許可要件の明確化について
 
 特定旅客自動車運送事業の許可手続きについては、「特定旅客自動車運送事業の申請に対する処分及び標準処理期間の処理方針について」(平成14年1月31日付け国自旅第165号の2)により取扱いを行ってきたところであるが、今般、上記通知の解釈について、別添のとおり各地方運輸局自動車交通部長及び沖縄総合事務局運輸部長あて通知したので、貴協会においてもその旨了知されるとともに、傘下会員に対し周知徹底を図られたい。







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