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(4)運転者
 普通第二種免許を有することを基本とする。これによりがたい場合には、当該地域における交通の状況等を考慮して、十分な能力及び経験を有していると認められることを要するものとする。
 この場合において、「当該地域における交通の状況等を考慮して、十分な能力及び経験を有している」かどうかの判断に当たっては、運営協議の場における意見等を踏まえ、合理的な理由を示して判断が行われることが必要である。
 その際、検討に当たり具体的に検討すべき点を例示するとおおむね次のとおりである。
・申請日前一定期間運転免許停止処分を受けていないこと
・都道府県公安委員会等が実施する実車の運転を伴う特定任意講習等の講習を受講した者であること
・福祉有償運送にあっては、上記のほか、
−社団法人全国乗用自動車連合会等が実施するケア輸送サービス従事者研修を修了した者
−移送サービス運営マニュアル編集委員会が発行するテキスト等に基づき運送主体が自主的に行う福祉輸送に関する研修を修了した者
−その他移動制約者の輸送の安全の確保に関し必要な知識又は経験を有する者であること 等
 また、運送主体においては、運転者の氏名、住所、年齢、自動車免許の種別、交通事故その他道路交通法(昭和35年法律第105号)違反に係る履歴、安全運転等に係る講習等の受講歴及びその他必要な事項を記入した運転者名簿を作成し、適切に管理するものとする。
 
(5)損害賠償措置
 運送に使用する車両全てについて、対人8,000万円以上及び対物200万円以上の任意保険若しくは共済(搭乗者傷害を対象に含むものに限る。)に加入していること又はその計画があること。
 
(6)運送の対価
 運送の対価については、当該地域における一般乗用旅客自動車運送事業の上限運賃額、公共交通機関の状況等地域の特性等を勘案しつつ、営利に至らない範囲において設定されるものであることを要するものとする。
 この場合において、「営利に至らない範囲」については、当該地域における一般乗用旅客自動車運送事業の上限運賃額(輸送の実態を踏まえ時間制によるものを含む。)のおおむね2分の1を目安に、地域の特性等を勘案しつつ定めるものとする。
 
(7)管理運営体制
 運行管理、指揮命令、運転者に対する監督及び指導、事故発生時の対応並びに苦情処理に係る体制その他の安全の確保及び旅客の利便の確保に関する体制が明確に整備されていることを要するものとする。
 この場合において、上記に適合しているかどうかの判断に当たっては、運営協議の場における意見等を踏まえ、合理的な理由を示して判断が行われることが必要である。
 その際、検討に当たり具体的に検討すべき点を例示するとおおむね次のとおりである。
・運送主体において、運行管理に係る責任者が選任されており組織体制が整っていること、点呼、報告、指示、記録等に係る指揮命令系統が明確にされていること。
・特に、運転者が自家用自動車を提供し運転者の自宅から利用者の自宅等へ直接出向く場合にあっては、電話等により運行管理に関する事項について指示、伝達、報告が確実に実施できる体制が整っていること
・運送主体において、使用する自動車の整備管理が適切に行われていること。
・運送主体において、事故防止、安全確保について必要な研修等を行う計画があること。
・地方公共団体、運送主体の双方において、事故発生時において緊急の連絡体制が整備されており、対応に係る責任者が明確であること。
・地方公共団体、運送主体の双方において、利用者からの苦情に対し適切に記録、対応する体制となっており、対応に係る責任者が明確であること。
・地方公共団体、運送主体の双方において、その他有償運送の条件が常時確保されているかどうかについての管理体制が整っており、責任者が明確であること。
 
(8)法令遵守
 許可を受けようとする者が、道路運送法第7条の欠格事由に該当するものでないこと。
 
附則
1. 本通知による取扱いは、平成16年3月31日以降に申請を受け付けたものから適用するものとする。
 
2. 平成16年3月31日に現に「構造改革特別区域法に係るNPOによるボランティア輸送としての有償運送可能化事業における道路運送法第80条第1項による申請に対する取扱いについて」(平成15年3月18日付け国自旅第231号)又は「構造改革特別区域法に係る交通機関空白の過疎地における有償運送可能化事業における道路運送法第80条第1項による申請に対する取扱いについて」(平成15年3月18日付け国自旅第232号)による道路運送法第80条第1項の許可を受けている者は、同日において本通知による道路運送法第80条第1項の許可を受けたものとみなすこととする。
 
3. 「構造改革特区の第4次提案に対する政府の対応方針」表1No.1216の「NPO等によるボランティア輸送としての有償運送における使用車両の拡大」について、地方公共団体が構造改革特別区域法第4条の規定による構造改革特別区域計画の認定(第6条の規定による変更の認定を含む。)を受けた場合においては、4.(3)(1)にかかわらず、セダン型等の一般の車両を使用することができるものとする。
 
4. 「構造改革特別区域法に係るNPOによるボランティア輸送としての有償運送可能化事業における道路運送法第80条第1項による申請に対する取扱いについて」(平成15年3月18日付け国自旅第231号)及び「構造改革特別区域法に係る交通機関空白の過疎地における有償運送可能化事業における道路運送法第80条第1項による申請に対する取扱いについて」(平成15年3月18日付け国自旅第232号)は、廃止する。
 
 
 外部から見やすいように使用車両の車体の側面にボランティア輸送に係る有償運送に用いる車両である旨の表示事項及び方法は次のとおりとする。
 
1. 氏名、名称又は記号
 
2. 「有償運送車両」又は「80条許可車両」の文字
 
3. 文字はステッカー、マグネットシート又はペンキ等による横書きとし、自動車の両側面に行うこと。また、文字の大きさは縦横50ミリメートル以上とする。
 
 
国自旅第241号
平成16年3月16日
 
各地方運輸局自動車交通部長 殿
沖縄総合事務局運輸部長 殿
 
自動車交通局旅客課長
 
患者等の輸送サービスを行うことを条件とした一般乗用旅客自動車運送事業の許可等の取扱いについて
 
 標記については、「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」(平成13年国自旅第72号)によるもののほか、「一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動車運送事業の許可等について」(昭和63年地自第275号)により取扱いを定めてきたところであるが、今般、介護サービス事業者が公的介護サービスと連続的・一体的に行う要介護者等に係るSTSの取扱い方針が定められたことを踏まえ、もっぱら患者等の輸送サービス(以下「ケア輸送サービス」という。)を行うことを条件とした一般乗用旅客自動車運送事業(以下「患者等輸送事業」という。)の許可等について、下記のとおり取り扱うこととするので、各地方運輸局及び沖縄総合事務局(以下「各局等」という。)においては、その趣旨を十分理解の上、必要に応じ、各局等において定めている審査基準について所要の改正を行うとともに、遺漏のないよう取り扱われたい。
 なお、本件については、社団法人全国乗用自動車連合会会長及び財団法人全国福祉輸送サービス協会会長あて別添のとおり通知しているので、了知されたい。
 
 
I 患者等輸送事業
1. 患者等輸送事業の許可の対象となるケア輸送サービスの範囲
(1)ケア輸送サービスの対象となる旅客
 ケア輸送サービスの対象となる旅客は、以下に掲げる者及びその付添人とする。
(1)介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第3項にいう「要介護者」及び第4項にいう「要支援者」
(2)身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条にいう「身体障害者」
(3)(1)及び(2)のほか、肢体不自由、内部障害(人工血液透析を受けている場合を含む。)、精神障害、知的障害等により単独での移動が困難な者であって、単独では公共交通機関を利用することが困難な者。
 
(2)ケア輸送サービスに使用する車両
 ケア輸送サービスに使用する車両は、以下に掲げる自動車とする。
(1)車いす若しくはストレッチャーのためのリフト、スロープ、寝台等の特殊な設備を設けた自動車、又は回転シート、リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けた自動車
(2)(1)によらず、セダン型等の一般車両を使用する場合にあっては、介護福祉士若しくは訪問介護員若しくは居宅介護従業者の資格を有する者又は社団法人全国乗用自動車連合会等が実施するケア輸送サービス従事者研修を修了した者が乗務する自動車
 
2. 患者等輸送事業の許可の申請に対する処理方針
 患者等輸送事業を行おうとする者から、患者等輸送事業の許可の申請があった場合には、「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」によるもののほか、以下の処理方針によるものとする。
 
(1)営業区域
 「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」にかかわらず、都道府県単位とする。
 
(2)最低車両数
 「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」にかかわらず、1両とする。
 
(3)標準処理期間
 「一般乗用旅客自動車運送事業の許可、事業計画の変更認可等に関する標準処理期間の設定方針について」(平成13年国自旅第128号)にかかわらず、2ヵ月とする。
 
(4)その他弾力的な運用
 (1)〜(3)に定めるもののほか、各局等においては、「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」にかかわらず、その他の基準についても、患者等輸送事業の特性を踏まえた審査方式の設定等弾力的な取扱いを行うことができるものとする。
 
(5)許可に付する条件
 許可に当たっては、以下の条件を付するものとする。
(1)1. (1)による輸送の対象となる旅客の限定
(2)1. (2)による輸送に使用する車両の限定
(3)運送の引受けを営業所のみにおいて行う旨の限定
(4)輸送に使用する車両に表示すべき項目と表示方法(別記1参照







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