トータルペインの視点で看護アセスメント1
〜タイムリーな看護判断〜
<身体面>
1. 苦痛な症状の原因と成因を明確にする。(今後予測されることも含めた判断、ボディチャートを利用)
2. 苦痛な症状が患者の日常生活にどのような影響を及ぼしているか明確にする
3. 症状を軽減させる因子または悪化させる因子は何か、利用者が体験していることに焦点を当てて判断する
4. 残されている機能で対応できることは何か
5. 可能な目標設定について利用者と共に話し合い、実行するための支援をする(ゴールは利用者と共に設定)
看護アセスメントII
<心理・精神面>
1. 病状の進行に伴う心理状態:できないことを受け入れる現実とコントロール感を失うことの怒りや不安、当惑など、ボディイメージの変化、現実化してきている死への不安
2. 非現実的な情報などから適応障害やうつ症状、せん妄などの状況を招いていないか
3. 家族関係や社会的な問題などが原因で起こっている心理状態
4. 本人のコーピングスタイルに関連した問題:これまでの問題解決のあり方
5. 対応可能なことを明確にする
看護アセスメントIII
<スピリチュアル>
1. 病をもったことにより、これまで生きてきた人生についての意味を追求しつつ、生きている意味は何なのだろうか?自分は何を成し遂げたのだろうか? 自分は家族や友人の役に立ってきたのだろうか?
2. 利用者自身が自分の生き方についてどのように考えているか?・・・が鍵となる
3. 生を終えようとしている・・・自分にとっての人生の意味は?
4. 感情とスピリチュアル面との間に違いがあるとしたらそれは何か
5. 利用者の信念や価値観はどうか
6. スピリチュアル面で必要なことはどのように確かめ対処するのか
7. 死の前に誰かと、神との関係を修復したいなどの思いはどうか
8. 利用者の人生で拠り所となっているものは・・・
看護アセスメントIV
<社会面>
1. 家族の中での役割の変化と認識
2. 外界との交流や接点がもてているか、孤立していないかどうか、趣味や叶えたい目標は何か、拒絶されることへの不安など
3. 解決可能な問題に対するキーパーソンは誰か
4. 家族の将来や子供の養育など
5. 経済的な安心や利益など
6. 仕事や職場の問題の解決はどうか
7. 未解決、未整理な問題に対する解決を図るには何が必要か
がん患者の症状の特徴
(痛み・息苦しさなど)
1. どの病期でも生じるが、進行と共に発生頻度は高くなる
2. 強く持続性であることが多い
3. 症状のすべてががんに因るものとは限らない
4. 利用者の心理に影響し、悪循環を作り出す
ペインマネジメントにおける看護師の役割
1. 痛みの性質や特徴のアセスメント
・部位、強さ(ペインスケールを用いる)、性質、1日の変化とパターン、悪化因子と緩和因子、日常生活への影響など
2. 薬物療法におけるアセスメントと介入
・これまでの鎮痛薬の効果、レスキューの適切な選択と使用、鎮痛効果と副作用、鎮痛薬の変化の検討
3. 非薬物療法におけるアセスメントと介入
・病や痛みの受け止め方、身体的・精神的・社会的スピリチュアルな面へのケア
4. 利用者と家族への疼痛緩和に関する教育
[がんの痛みは70〜90%は取り除くことができる]
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