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セクションC: 縮尺試験実行評価
 
8 総論
 
8.1 このセクションは、抑制された試験条件の下でプロトタイプのバラスト水処理技術のために、定量的性能データを収集する為の方法論を提供する。
 
8.2 プロトタイプのバラスト水処理技術ないしシステムは、幾つかのバラスト水処理機器の組み合わせから構成される可能性がある。このガイドラインは、個別の装置同様、複合の機器に対する実施の資料を確立する為に適用される。試験結果が適用される、試験された機器あるいは機器の組み合わせの境界線は、明確に試験機関により規定されねばならない。
 
9 縮尺
 
9.1 関連するIMO規則に準拠、ないしは非準拠を証明する為の要求された性能データを含め(ただしこれに限定されない)、処理機器の作動条件の範囲に対する性能データを提供するために、方法は設計されている。
 
9.2 このガイドラインに記載されている性能評価は、いかなる容量のバラスト水処理機器に適用される可能性がある。
 
9.3 試験結果を異なる縮尺の機器に類推する際、注意が払われねばならない。いかなるそのような縮尺も、科学的に認められた縮尺の法則に従わねばならない。また、付録A−バラスト水処理機器に対する縮尺試験性能評価の試験データの縮尺に関する推奨(未製作)に規定されている指示に基づき実行されねばならない。
 
9.4 (類推の後)実寸のバラスト水処理システムの推定の根拠を形成する為に、縮尺の差は、容積能力で1:10を越えてはならない。また、試験準備は、最低10m3/hの水流で行わなければならない。
 
9.5 異なる縮尺に類推されるとき、方法論ないしは技術論が他と同程度に不確実性な物を紹介することはありえない。製造者は、これが問題の試験機器に適用されることを可能とした場合、容積能力による1:10の縮尺差は越えている可能性がある。しかしながら、試験設備はいかなる場合でも、最低水流10m3/hを維持しなければならない。
 
9.6 本船に設置されるプロトタイプのバラスト水処理技術の企画された容積能力と比較し、容積能力で1:10の縮尺差を越える縮尺試験性能設備は、いかなる場合でも容積能力で1:100の縮尺差を越えてはならない。
 
9.7 縮尺試験性能評価に関する全ての詳細及び縮尺試験の容積能力からの類推の事柄、及び本船に設置された容積能力の類推は、プログラム申請の提出書類内に提示されなければならない。
 
9.8 このガイドラインに基づく縮尺試験の性能評価以前に、バラスト水処理の原理の基礎研究がベンチ・スケールで行われることが推奨される。そのような研究の推奨は、付録B−バラスト水処理技術の縮尺での評価の推奨に記されている。
 
10. 試験設備及び試験の方法論の一般的記述
 
10.1 この基準に基づくバラスト水処理機器の試験は、三つの一般的段階を含む:
 
10.1.1 前もって規定された特性及び海洋生物の含有を持つ模擬のバラスト水の準備
10.1.2 仕様及び作動原理に基づき作動された、バラスト水処理機器による模擬バラスト水の処理
10.1.3 試験の変数と時間の相関としての処理実行の決定の為のサンプリング、モニター及び処理されたバラスト水の分析
 
10.2 試験設定のアレンジは、それが試験条件及び関連する試験のパラミーターの制御及びモニターが可能であれば、適用可能である。表1は原則として二通りの一般的な試験のアレンジメントを示している。
 
表1: 一般化された試験配列
選択肢2: 積み込みシステム
選択肢2: 再循環システム
(ワンパスシステム)(複数パス)
 
11. 試験設備の要求
 
11.1 この基準に基づき試験を行うために、試験機関は以下の設備及びアレンジに模擬する:
 
11.1.1 試験の全期間中望ましい物理的/化学的成分を持つ、必要とされる量の清水及び海水が自由に採取できる;
 
11.1.2 必要なポンプの能力及び試験されるバラスト水処理機器に適合した配管/ホースの配列を供給する;
 
11.1.3 海洋生物の組成及び濃度の望ましい均一性を持った模擬バラスト水の準備に手段を提供する;
 
11.1.4 試験水(汲み入れ前)及び汲み入れ後のモニターの為の水を、長期間の保管の為の十分な収容能力を持つ適切なタンク及び容器を提供する;
 
11.1.5 海洋生物の保管に相反しない物理的環境(温度、日差し、空気成分)を提供する;
 
11.1.6 海洋生物の存在を確認する為の試験水の保管、及び分析に適する試験施設への接近が可能;
 
11.1.7 その規格に基づくバラスト水処理機器の正しい操作の為の必要な全ての手段を提供する;
 
11.1.8 試験中全ての操作上のパラミーターの制御及びモニターの為の必要な全ての器具を提供する(例えば、流体流量,圧力,動揺レベル等);
 
12. 試験の変数
 
 このガイドラインに基き実行される試験は、次のパラミーターの関数として試験される機器に対し、定量的性能データを作り出す;
 
・各種の海洋生物の内容及び濃度
・塩水/清水
・有機物質の内容
・暴露及び/あるいは保管の時間
・バラスト水処理機器の主たる作動パラミーター(例えば活性物質の濃度、活性物理過程の強度;定義参照)
 
12.1 海洋生物の組成/濃度
 
 試験は、表1で規定された生物グループを含む水の処理に対する、性能データを証明しなければならない。試験は生物濃度の変動(表に規定されている範囲内)を含まねばならない。
 
表1 試験生物と濃度
生物G 種類/G ライフステージ 濃度 塩水/清水 列挙
Bacteria Bacillus subtilis Spores 105/100 ml S/F Membrane filtration - agar growth
Escherichia coli Vegetative cells 105/100 ml S/F Membrane filtration - agar growth
Vibrio fisheri Vegetative cells 105/100 ml S/F Membrane filtration - agar growth
Vibro cholerae (non-toxic) Vegetative cells 105/100 ml S/F Membrane filtration - agar growth
Viruses Bacteriophage MS-2 S/F
Phyto-plankton DinoflagellatesAlexandriumDinbryon 102 -105 cells per litre S Plaque forming units (PFU) on agar plates
Tetraselmis Vegetative cells 102 -105 cells per litre S
Dunaliella salinas Vegetative cells 102 -105 cells per litre S Serial dilution method
Oscillatoria sp Vegetative cells 102 -105 cells per litre S/F
Hematococchus ** Cysts 1 - 10 / litre F
Zoo-plankton ** Artemia salinas Nauplii 1 - 100 / litre S Counting live nauplii in microscope
Daphnia sp. Crustacean 0,1 - 1 / litre F
Copepodes Adult 10 S/F
Macro-algae** Heterosiphonia japonica Fragments 0,1 - 10 / litre S
Molluscs* Mussels Larvae S/F
Gastropoda Larvae S
* 幼生ステージの軟体動物は、たとえ可能としても抑制された条件の下で必要な量を育てることは難しい。軟体動物の幼虫の使用は、自然界の個体群に適用されることができる。しかしながら幼虫は季節的に入手できる。もし入手できない場合、除外するか実用的な試験場での操作が可能となるまで軟体動物の試験は自発的なものとすることが推奨される。
** これらの生物/種族のグループの濃度の範囲は、試験場での育成が複雑な為、低くなっている。意味のある数字を達成する為には、サンプルの水の量を増やし生物の濃度を高めねばならない。
 
12.2 水の塩分
 
 試験は塩水及び清水の両方及び関連する生物を含まねばならない。更に機器の稼動に与える塩分の影響を証明せねばならない。塩分は表3に規定されている規格内でなければならない。
 
12.3 有機物質の成分
 
 試験は、試験水の有機物質の含有量が増加することで、バラスト水処理性能がどの程度影響受けるか査定せねばならない。追加される活性物質は、表3で規定されている物質のいずれかでなければならない。試験は、最低有機物の増量で二回行わねばならない。
 
表2 有機物質のリスト
物質 濃度
(g C/m3)
プロテイン 1-10
市販されているフミン物質 1-10
炭化水素 x
Lipids x
 
12.4 暴露時間/保管時間
 
 試験は、性能が下記により如何に影響されるか証明せねばならない:
 
1)生物が物理的な処理工程に露呈される時間
2)生物が処理されたバラスト水(活性物質処理工程のため)に露呈される時間及び
3)処理後の保管時間(タンクに滞留する時間)サンプル採集の間隔は項目14を参照
 
12.5 処理機器の作動パラミーター
 
 試験機関は、試験開始前に処理機器の主たる操作原則、及びこれらの工程を制御する操作者により調整可能なパラミーターを証明しなければならない。試験は、操作が処理機器の操作パラミーターの変動により如何に影響されるかを証明しなければならない。そのようなパラミーターは下記を含む:
 
1)活性物質の投与/濃度
2)物理的な活性工程の強度
 
 いかなる活性工程も、設計されているシステムの流量の範囲に関連し、査定されねばならない。試験は、範囲の上限を示す最高値の容積能力で実行されねばならない。範囲にわたる性能は、範囲の最低範囲の上位及び下位の四分の一で査定されねばならない。 範囲にわたる性能を証明する試験は、試験の変動に関連して単純化できる。
 
13. 模擬バラスト水の準備
 
 試験に使用される模擬バラスト水は、以下に概要が記されている規格に基づかねばならない:
 
13.1 物理的/化学的水の特性
 
 処理を行う前の試験水は、自然界で通常に発生する条件を反映する表3に規定されている物理的/化学的特性を備えていなければならない。水質パラミーターの影響は、各々の方法に対し、査定されなければならない。試験に使用された条件は、システムの性能の効率性を試さねばならない。
 
表3 模擬バラスト水の特性
特性 塩水 清水
塩分 > 32 PSU < 0.5 PSU
温度 5-25 C 5-25C
02 飽和度 80-120% 80-120%
pH 7-9 6-8
濁り 1 - 10 FNU 1 - 10 FNU
総有機炭素(TOC) 1 - 10 mgC/l 1 - 10 mgC/l
溶存有機炭素(DOC) 1 - 5 mgC/L 1 - 5 mgC/L
鉱物物質 1 - 20 mg/L 1 - 20 mg/L
 
13.2 試験の為に、表1の生物は濃度の要求された範囲内で、水に添加されねばならない。
 
13.3 海洋生物の添加方法
 
 海洋生物は、三つの選択可能な場所で添加可能である:
 
1)水がバラスト水処理機器に汲み入れられる模擬バラスト水のホールドタンク内(攪拌による);
2)ポンプの汲み取りラインの下流での進入室内(ポンプの圧力に勝る加圧注入)。
3)水が処理機器を通過した後のサンプリング用のタンク内。
 
 第一点が、条件が事前にこれを排除しない限り優先される注入地点でなければならない。
 
 第二点は、ポンプの機械的動き、ないしはバラスト水処理機器の上流の必須ではない部品が試験生物の死亡を増加する恐れがある場合、使用可能である;及びこれらの部品は本船に設置されるバラスト水処理システムの必須の部分ではない。
 
 第三点は、もしバラスト水処理方法が活性物質の発生ないしは添加により稼動し、バラスト水処理機器での早急な影響が無視できる重要性の場合は使用可能である。
 
 模擬バラスト水の品質の均一性は、サンプルの分析により証明されなければならない。







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