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資料17: バラスト水交換のためのガイドライン(G6、仮和訳)
 
バラスト水交換のためのガイドライン
 
1 序文
 
1.1 これらのガイドラインの目的は船主及び運航者にバラスト水の交換を実行するための船舶に特有の手続きの発達に対する一般的指導要領を提供することにある。船主及び運航者は天候、貨物及び安定性の種々の条件に適合するバラスト水交換の作業で分科会ないし認定された海事検査機関の協力を可能な限り要請せねばならない。バラスト水管理に関する工程及び手続きの適用は有害水生生物及び病原菌の侵入を阻止し、最小化し最終的に排除する為の根本的解決につながる。バラスト水交換は、正しいバラスト水交換作業と並行して使用される場合、この解決策を達成する手段を提供する。
 
1.2 バラスト水交換は船舶及び乗組員両方に影響する安全面上の課題をもたらす。これらのガイドラインは洋上でのバラスト水交換の安全面及び運行上の課題に対する指導要領を提供することを目的としている。
 
1.3 洋上でバラスト水の交換が要求される異なる型の船舶の場合、各々の船舶の型に特有の指導要領を提供することは非現実的である。船主は保有する船舶に適用される数多くの変更点を考慮せねばならないことを警告されている。これらの変更点には船舶の型及びサイズ、バラストタンクの形状及び関連するポンプシステム、航海ルート及び関連する気候状況、港湾当局の要求及び要員配置を含む。
 
2 適用
 
2.1 ガイドラインは船主及び運行者、乗組員、設計者、分科会及び造船所を含むバラスト水交換に携わる全ての人に適用される。これらのガイドラインに提起された問題点に関する操作上の手続き及び指導要領はバラスト水管理計画書に反映されねばならない。
 
3 規定
 
3.1 これらのガイドラインの目的の為に、船舶のバラスト水及び沈殿物の制御及び管理の為の国際条約(条約)の定義が適用される。
 
3.2 バラスト水タンク−これらのガイドラインの目的のために‘バラスト水タンク'はバラスト水の運搬に使用されるいかなるタンク、ホールド、ないし空間を指す。
 
4 責任
 
4.1 船主及び運行者は、バラスト水交換を行う前に、船上のバラスト水交換の方法に関する安全面の事柄が考慮されかつ適正な訓練を受けた人間が常飲していることを保証せねばならない。安全上の事柄、使用されている交換方法の適切さ及び乗員訓練の事柄の審査は定期的間隔で実施されねばならない。
 
4.2 バラスト水管理計画書は洋上でのバラスト水交換の実施責任者の特定を含む重要管理乗組員の指名を含まねばならない。そのような人物はバラスト水交換の安全面の事柄及び特に船上で使用される交換方法及び使用される方法に関連する特異な安全面の事柄に十分精通していなければならない。
 
4.3 条約の規約B-4.4に基づき船長が悪天候、船舶の設計圧力、設備の欠陥、ないしはいかなるほかの異常事態のために、バラスト水交換を実施することが船舶、乗員ないしは乗客の安全ないしは安定性を損ねると判断するに十分な理由がある場合、バラスト水交換は実施される必要はない(規則B-4(4))。
 
.1 船舶が上記の項目に書かれている理由でバラスト水交換を行わないときは、理由はバラスト水記録帳に記載されねばならない。
 
.2 港湾ないしは関与する湾岸国はバラスト水の排出は彼らにより決定された手続きに基づかねばならないことを要求できる。
 
5 バラスト水交換要求
 
5.1 深海ないしは公海上でのバラスト水交換は沿岸の水生種が船舶のバラスト水に移動する可能性を制限する手段を提供する。
 
5.2 条約の規則D-1は次を要求する:
 
.1 この規則に基づきバラスト水交換を実施する船舶はバラスト水の最低95%の容積交換の効果を保証せねばならない、また
 
.2 ポンプによる方法でバラスト水交換を行う船舶に対しては、1節に記載されている基準を満足する為に各々のバラスト水タンクの容量の3倍をポンプにより循環せねばならない。最低95%の容積交換が満足されたことを船舶が証明可能な場合、容積の3倍以下の循環でも許可される。
 
5.3 機関により評価され認められている3つの方法のバラスト水交換がある。3方法とはシーケンシャル法、フォロースルー法及びダイリュウション法である。フォロースルー法及びダイリュウション法はポンピングスルー法と見なされる。
 
5.4 3つの認められた方法は以下のように記述できる:
 
 シーケンシャル法−バラスト水の運搬を目的とするバラストタンクは最低95%の容積交換を達成する為に最初に空にしその後代替バラスト水で満たす工程である。
 
 フォルースルー法−水を溢れ出させるないしは他の方法により、代替バラスト水をバラスト水の運搬を目的とするバラストタンクにポンプにより汲み入れる工程である。最低タンクの総容量の3倍をタンクにポンプで貫流させねばならない。
 
 ダイリュウション法−代替バラスト水をバラスト水の運搬を目的とするバラストタンクの上部より満たし同時に同じ流速で底辺より排出し更にバラスト交換作業中タンクのレベルを一定に保つ工程である。総タンク容量の最低3倍をタンクにポンプにより汲み入れなければならない。
 
6 バラスト水交換に伴う安全上の注意事項
 
6.1 洋上でのバラスト水交換を実施する3つの方法は機関により認可されるものとして認定されている。各々はそれに関連する特有な安全面上の事柄を有し特定の船舶に使用される方法(複数を含む)を選択する際に考慮されねばならない。
 
6.2 特定の船舶にバラスト水交換方法(複数を含む)を特定する際に、次を含む評価がなされねばならない:
 
.1 船舶の個々の型に関連する承認された平衡性及び安定性のパンフレットまた積込みマニュアルに規定されているように、許容される航海上の条件に合致する安定性と強靭さに対する安全率。積込み状態及び使用が予想されるバラスト水交換方法(複数を含む)がまた考慮されねばならない;
 
.2 バラストポンプの数、能力、サイズ及びバラスト水タンクの配列を考慮したバラストポンプ及び配管システム;
 
.3 タンクの排水口の利便性及び能力及び放水の施設、フォロースルー方法のためのタンクの放水地点の利便性及び能力;及び
 
6.3 次の点に特別な配慮が必要である:
 
.1 安定性が常時また機構により推奨されているないしは主管庁により要求されている数値以上で維持される;
 
.2 長手方向の圧力及び適用可能な場合捩れ圧力の数値が支配する海洋条件に関し船舶の分科会により許容されたものを超えない;
 
.3 重大な構造上の負荷が部分的に満たされたタンク内で発生する場合タンク内でのバラストの交換は構造上の損傷のリスクを最小限にするために好条件の海洋及びうねりの状態の下で実施される;
 
.4 波に誘発される船舶の外殻の振動;
 
.5 海洋及び気象条件に関連しバラスト水交換の使用可能な方法の制約;
 
.6 特に船橋の視野に関連する船首及び船尾の喫水及び均衡、プロペラーの浸水の固定及び最小限の船首の喫水;及び
 
.7 船長及び乗組員に掛かる追加的作業負荷。
 
6.4 バルクキャリアーに対してはMSC/circ 1108(回覧の更新をチェックする)にある‘積込み、荷降ろし及びバラスト水交換の際のバルクキャリアーの長手方向の力の査定のガイドライン'が考慮されねばならない。
 
6.5 特定の船舶に対し使用される交換方法(複数を含む)の評価が終了した場合、バラスト水管理計画書に特定されている交換方法及び船舶の型式に適切な手続き、助言、及び情報が記載されなければならない。
 
.1 バラスト水管理計画書の手続き、助言、及び情報は次を含む、ただしそれに限定されない;
 
.1 バラストタンクの加圧の過多及び過少の回避;
 
.2 安定性及び一回で荷崩れを起こすタンク内での攪拌する積荷に対し表面的な影響を少なくすること;
 
.3 承認された平衡及び安定性のパンフレットに基づく適性かつ完璧な安定性を維持すること;
 
.4 承認された積込みマニュアルに基づき裁断力及び曲がりモーメントの許容される航海時の力の限界;
 
.5 捩れ強さ;
 
.6 特に船橋視野に関連する船首及び船尾の喫水、プロペラーの沈水及び最小限の船首の喫水;
 
.7 波に誘発される船外殻の振動;
 
.8 バラスト交換中開口する必要のある開閉口(例マンホール)の水及び天候に対する機密性が再確認されねばならない;
 
.9 タンクが設計された以上の圧力に曝されない事を保証する為の最大ポンプの流速;
 
.10 バラストの内部の移動;
 
.11 許容される天候状況;
 
.12 季節的にサイクロン、台風、ハリケーンないしは極寒の天候に影響される地域の天候の動向;
 
.13 バラストの取入れ、排出、及び内部移動の文書記録
 
.14 破滅的な天候状況、ポンプの欠陥及び停電を含む、洋上でのバラスト水交換に影響する事態の為の緊急事態の手続き;
 
.15 バラスト水交換の終了時間ないしは適切な連続性;
 
.16 バラスト水操作は連続してモニターされねばならない;モニターされる項目はポンプ、タンク内のレベル、ライン及びポンプの圧力、安定性及び圧力を含まねばならない;
 
.17 バラスト水交換を実施してはならない環境のリスト。これらの環境は例外的な自然現象ないしは天候の悪化による予測不能な危機的事態、設備の不具合ないしは欠陥、ないしは人命ないしは船舶の安全が脅かされる他のいかなる環境から起因する;
 
.18 洋上でのバラスト水交換は極度に寒い天候条件の下では避けなければならない。しかしながら、絶対に必要と判断された場合、船外排出設備、エアーパイプ、制御手段を含むバラストシステムのバルブ、及び甲板上の氷結の拡大に関連する危険性に十分な注意が払われねばならない;及び
 
.19 人員が夜間の甲板上、悪天候下、バラスト水が甲板にあふれ出るとき、及び氷結の条件の下で作業が必要なときの注意事項を含め人員の安全。これらの危惧は水が甲板にあふれ出た際甲板の滑りやすい湿った表面により人員の転落及び傷害の危険に関連する。また職業的な健康の観点より、避けなければならない有害な水生生物を含むバラスト水との直接の接触にも関連する。







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