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4.4.3 実験結果
 
4.4.3.1 自由表面上に破口がある場合
 小型模型の計測結果を図4.4-5,大型模型の計測結果を図4.4-6に示す。破口に模型内水面が到達するまで流入速度は一定であり,水面が到達した後は,水面の高さによって流入速度が変化していることがわかる。
 
図4.4-5 Time history of flood water depth in small model under condition (a).
 
図4.4-6 Time history of flood water depth in large model under condition (b-1).
 
4.4.3.2 水面下に破口がある場合
 模型内で空気圧縮が起こらない場合の小型模型の計測結果を図4.4-7,大型模型の計測結果を図4.4-8に示す。破口に模型内水面が到達していない場合,破口部分に模型内水面がある場合,破口より上部に模型内水面がある場合で,流入速度の変化に違いが見られる。
 
図4.4-7 Time history of flood water depth in small model under condition (b-1).
 
図4.4-8 Time history of flood water depth in large model under condition (b-1).
 
4.4.3.3 流入速度の尺度影響
 流入速度の尺度影響を調べるために,スケールを合わせたグラフを図4.4-9,10に示す。図4.4-9は破口の中心が喫水線上にある場合であり,図10は破口が完全に水面下にあり,空気圧縮がない場合である。図4.4-9,10ともに,フルード相似則に従って時間軸(横軸)を小さい模型のスケールにあわせている。これらのグラフより,浸水速度は大型模型と小型模型で異なる。このことから,浸水速度には尺度影響が存在することがわかる。
 
図4.4-9 Comparison between small and large models as time history of flood water depth under condition (a).
 
図4.4-10 Comparison between small and large models as time history of flood water depth under condition (b).
 
4.4.3.4 空気圧縮が流入速度に与える影響
 空気が圧縮されることによって,模型内の圧力が高くなり,流入量が小さくなる可能性がある。実験結果を図4.4-11に示す。空気孔の面積を小さくし,流入過程で空気圧縮が起こる場合は,空気圧縮が起こらない場合と比べて,流入速度がゆっくりであった。また,空気がトラップする場合は,さらに浸水速度がゆっくりで,破口の上端付近で浸水が止まった。これらの結果は,浸水過程において,どの程度各デッキ間で空気の交換が行なわれるのかを把握することが必要であることを示している。
 
図4.4-11 Comparison among three air conditions in the small model under condition (b).







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