Case 3における実験結果を図4.3-5に示す。下部(DK1)からのみ浸水した場合には,2次元模型および3次元模型どちらもほとんど傾斜することなく浸水する結果が得られた。
図4.3-5 Measured roll and heave motions (Case 3).
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Case 5における実験結果を図4.3-6に示す。Case 2同様,最大横傾斜角発生時刻,最終状態到達時刻がかなり長くなっている。しかし,最大横傾斜角は3次元模型の方が大きくなる結果が得られた。このような結果が得られた原因としては,最大傾斜角発生時の船体内部各デッキでの滞留量の差異が考えられるが,この実験においてはこの差異を明らかにするにはいたらなかった。
図4.3-6 Measured roll and heave motions (Case 5).
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Case 6における実験結果を図4.3-7に示す。このケースにおいても,最大横傾斜角,最大横傾斜発生時刻および最終状態到達時刻において両模型での結果に差異が見られた。
図4.3-7 Measured roll and heave motions (Case 6).
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図4.3-8に示すCase 7では,2次元模型と3次元模型の横傾斜する方向が反対となった。これは,3次元模型の初期状態が僅かに,破口を沈める方向の初期横傾斜を持っていたためであることがわかっている。このケースについては,初期横傾斜角が浸水中間段階での船体の運動に影響を与える可能性があり,今後±0.5〜1deg.程度初期横傾斜を与えた実験を実施し,その影響について調査する必要があると考えている。
図4.3-8 Measured roll and heave motions (Case 7).
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4.3.3.2 損傷破口の高さ位置の影響(3次元模型)
ここでは,前述の実験結果のうち,特に損傷破口の高さ位置のみが異なる3ケースについてその浸水中間段階での運動を比較検討した。図4.3-9より,損傷破口が高い位置にあるほど,最大横傾斜角が大きくなる傾向が見られる。これは,損傷破口が高い位置にある方が,高いデッキに進入水が滞留しやすくなるためだと考えられる。
図4.3-9 損傷破口の高さ位置の影響(Case 3,4,5)
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4.3.4 結言
3次元模型を制作し,浸水実験を行った結果,以下の結論が得られた。
1. 2次元模型で大横傾斜が発生する状態においては,3次元模型においても同様に大横傾斜が発生することが確認された。
2. しかしながら,両実験結果の比較から,縮尺の異なる模型船では浸水中間段階での運動速度に差異が観られた。
3. この原因の一つとしては,浸水流入速度への模型船の縮尺影響などが考えられる。
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