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3. 自動車運搬船の損傷時復原性規則改正に基づく試計算
3.1 はじめに
 SOLASのII-1章 PARTS A, B and B-1に規定されている
 損傷時復原性規則が改正予定となっている。
 改正の内容がSLF47,MSC79でほぼ決定されたため,自動車運搬船(PCC)について試計算を行い,規則改正による影響を調査した。
 
 試計算には,図3.1に示すプロフィールの実績船(6,400台型PCC)を対象とした。
 対象船の主要寸法は以下のとおり。
Loa×B×D×d=199.94m×32.26m×34.80m×10.30m
 
試計算は以下の条件で行った
(1)ホールド配置,タンク配置等「区画配置」は同一とした。(図3.1参照)
(2)パーマネントバラスト,浸水の進行等の条件は同一とした。
(3)損傷前重心位置は「GoM制限ライン」がほぼ同一となる様設定した。
(4)参考用として韓国から提案のあった「水密甲板を上下二箇所配置する」案について同様の試計算を行った。
 
 添付の表3.1の比較表に示す様に,要求区画指数(Required Index "R")がR=0.567から0.636へ増加した。
 一方,到達区画指数(Attained Index "A")は表3.2に示すように,同一の区画配置条件でA=0.576から0.490へ減少した。
 また,水密甲板を二箇所配置した場合でも到達区画係数はA=0.503と大幅な増加は見られなかった。(表3.3参照)
 
 現状の区画配置あるいは水密甲板の増設では改正規則の要求を満足しないため,下記2項目の様な大幅な設計変更を要すると考えられる。
(1)例えば横置隔壁の追加等,区画配置を変更する。
(2)GoM制限値の大幅な増加を前提として基本設計を行う。
 今回の試計算結果から見る限り,積付台数,車両走行性能等PCCとしての基本的な機能についてかなりの影響が出る事は避けられないと想定される。
 
試計算結果
図3.1
(拡大画面:24KB)
 
表3.1
 
表3.2
 
表3.3







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