日本財団 図書館


参考資料3
 
国内主要造船所が考える塗装スペックTSCF15年の各項に関する問題点
 TSCF「バラストタンク塗装及び表面処理ガイドライン」は下表のとおりである。
 
番号 項目 10年仕様 15年仕様 25年仕様
1 一次表面処理
 1) ブラストグレードと表面粗度 Sa2½,30-75μ Sa2½,30-75μ Sa2½,30-75μ
 2) 許容塩分 ≦30mg/m2 ≦30mg/m2 ≦30mg/m2
2 ショッププライマー
 1) 塗装系 エチルジンクシリケート エチルジンクシリケート エチルジンクシリケート
3 二次表面処理
 1) 鋼板の状態 “P1”(ISO8501-3),
ワンパスエッジ処理
“P2”(ISO8501-3),
スリーパスエッジ処理
“P2”(ISO8501-3),
半径エッジ処理
 2) 事前水洗 推奨 推奨 強制
 3) 表面処理前の許容塩分 ≦30mg/m2 ≦30mg/m2 ≦30mg/m2
 4) 処理グレード Sa2½-ダメージ部,ビード
Sa1-健全部
ショッププライマ−除去率30%
Sa2½-ダメージ部,ビード
Sa1-健全部
ショッププライマ−除去率70%
Sa2½
 5) 搭載後処理グレード バット及びダメージ部St3 バット Sa2½,ダメージ部St3 バット及びダメージ部Sa2½
 6) 処理後の表面粗度 BS2634の塗装要求 ISO8503-1/3の塗装要求
 7) ゴミ除去後 “1”(ISO8502-3) “1”(ISO8502-3) “1”(ISO8502-3)
 8) 下地処理後の許容塩分 ≦30mg/m2 ≦30mg/m2 ≦30mg/m2
 9) 異物 NONE NONE NONE
4 塗装
 1) 表面温度(最低) メーカのアドバイス,+10℃ メーカのアドバイス,+10℃ 最低+10℃
 2) 事前塗装テスト Independent APPENDIX 4“BALLAST TK COATING--”に依る Independent APPENDIX 4“BALLAST TK COATING--”に依る Independent
 3) 膜厚 250μMIN.,ショッププライマ−上 300μMIN. 350μMIN.
 4) 塗装系 ライトカラーエポキシ ライトカラーエポキシ ライトカラーエポキシ
 5) 塗装回数 MIN. 1回×全ストライプコート後、2回×全スプレー塗装 MIN. 2回×全ストライプコート後、2回×全スプレー塗装 MIN. 3回×全ストライプコート後、3回×全スプレー塗装
5 アノード
 1) ジンク又はアルミ 契約による 契約による 契約による
 
 TSCFガイドラインに示される基準に対する各造船所の意見を、次表にまとめた。
 
番号 各造船所からの意見
1-1) 対応に問題なし
1-2) 多大なコスト発生/工程影響あり

ブラスト前の規定値であれば対応不可

丁寧な清水洗い必要。通常塩分除去のための水洗は実施していない。工場外でブロックを製作し、オープンバージで海上輸送した場合強風で塩害を受けた場合のみ水洗を実施している。
2-1) 規定する必要なし

多大なコスト発生/工程影響あり

対応に問題なし
3-1) 船社意向に合わせるべき

標準比で約4倍の費用

グラインダー処理工数の増加(当社はone pass edge grindingを標準としている)

(1)TSCF15: Three pass edge grinding →One pass edge grindingとする。
(2)TSFC25: Grinding to radius →Three pass grindingとする。性能同等、工程影響。
3-2) 明らかに塩害があった場合にのみ実施

通常油脂の除去の為、シンナー拭きをしているが、下地処理として厳格運用は厳しい。

TSFC25 Mandatory →Recommendedとする。工程影響。
3-3) ほぼ全ブロックについて水洗が必要か(対応不可)、消化能力1/2に減

残留塩分30mg/m2を確保するのが難しい。特に海上輸送されるBlockがある場合は海水に打たれている可能性があり、水洗いを行っても現在の標準基準50mg/m2をクリアーするのがやっとの場合があり、今後運搬方法、水洗方法を検討する必要がある。
また、計測ポイントの数によっても誤差が生じ、何処を計測しても30mg/m2となると、TSCF基準を引き合いに出され塗装前計測検査を要求された場合、1ヵ所基準を満足していなくてもRejectされ再度水洗いとなる可能性があり、大幅な作業の遅れが生じる可能性がある。

通常この検査は実施していない。検査項目の増加。

= 50 mg/m2とする(国内塗料メーカ推奨値)
3-4) 規定する必要なし(Shop Primerは建造期間の保護等の目的で塗るものであり、Primerが塗料に悪さをしないものであれば、健全なPrimerは除去する必要はない)

多大なコスト発生/工程影響あり 全面ブラスト必要

消化能力1/3に減、建屋&設備倍に増強の要、人員は3倍必要。健全部のプライマ−(アノード効果)をわざわざ除去する意味が理解できないし、それにより塗装寿命が延びるという根拠がない。

Blast時のショッププライマー除去率達成出来ない。(15年・25年基準)
標準Product船のCOT特装のショッププライマー除去率が70%であることから比較しても、部材の多いバラストタンクで除去率を70%以上にすることは莫大な時間と手間が必要となる。(100%は不可能か?)
また、何を基準に70%以上除去されているのか判断に困る。すなわち明らかに70%以上除去されていることを目視のみで確認出来、検査を容易にする為には作業としては80%-90%を目指すこととなり、単に70%除去のコストでは比較できなくなる。ちなみに現在、ショッププライマー健全部はスイープBlastのみであり、約30%除去程度が現状ではないのか。

健全プライマ−を除去する必要があるのか?なぜ70%なのか?←よく理解できない。検査時、どのような方法で70%を判定するのか?←難しい。

Shop primerの健全性は、shop primerの種類(日本の造船所が採用しているものは超耐熱性(800℃)を有しており熱ダメージが少なく、錆の発生は少ない)、および工作設備&工程により異なるため、shop除去率を数値化・統一した場合、不必要な処理をしなければならない造船所が出てくる。更には、ブラスト工場を有しない造船所は対応ができないことになる。従いガイダンスとしては下記としたい。尚、Intact shop primerの除去記述は削除する(除去率を数値化するのではなく、除去判定基準を纏める方が良い)。
<TSCF 10/15/25>
(1)Sa 2 1/2 or St3 on damaged pre-construction primer and welds.
(2)Intact shop prime to be clean and free from salts, zinc corrosion and other contaminants.
3-5) 多大なコスト発生/工程影響あり ブラスト必要

建造隻数1/3に減

当社は搭載後のErection部は外板・WBT内ともパワーツールにて処理をしているが、15年基準では溶接部を、25年基準では全ての場所についてBlastを要求している。外板については船台でOpen Blastを行うことも可能だが、公害問題を無視することは出来ないし、WBT内部についてBlastを施工することは養生、掃除などでCOT以上の時間と手間を要することになる。

搭載後ブラストを施工するには、ブロック塗装済みの塗装へのブラストによるダメージ防止や粉塵の汚れ防止等が必要。対策コストアップ、ダメージ修復作業(足場、再下処理、塗装)の費用、汚れの評価等見積もりできないリスクがある。

エレクションジョイント等、tank内部でのブラスト施行は技術的に困難。現状可能なツールとしてはスポンジブラスト等あるも施行効率が悪く、実用化の目処は立っていない状況。本ガイダンスとしては下記としたい。
<TSCF 10/15/25>
Butts and damages St3
3-6) 対応可能但し建造隻数1/3に減

BS2634の資料持ち合わせなく詳細不明。通常、アンカーパターンの計測検査は実施していない。検査項目の増加。
3-7) 対応は可能

ISO8502-3の資料持ち合わせなく詳細不明だが、一般に目視検査であったのが、粘着テープ等の器具を使った検査になるのでは?
3-8) 多大なコスト発生/工程影響あり

ほぼ全タンクについて水洗が必要か(対応不可)消化能力1/3に減

通常この検査は実施していない。検査項目の増加。更に、下地処理前に実施してもこれが必要なのか?Brestle法でサンプリングするのが一般的であるが、検査後発錆はどのように補修するのか?

= 50 mg/m2とする(国内塗料メーカ推奨値)
3-9) 対応は可能
4-1) TE塗装の場合、冬場の気温が低い時は低温用TE塗料を使用し(メーカーカタログによると-5℃でも使用可能)冬場をしのいでいたが、+10℃を推奨となると強制ではないにしろ、作業が出来なくなる恐れがある。また25年の最低10℃では、冬場の工事が成り立たないと思われる。

冬季・野外作業は不可能になる。

TSCF25も“As per manufacturers”としたい。工程影響。
4-2) 対応は可能
4-3) 対応は可能・コスト発生/工程影響

対応は可能

通常標準膜厚の90%を最小膜厚としている。補修工数・塗料使用量増。

膜厚・塗回数についても、各船毎、船主/造船所間における契約事項によるものでありルール規定は馴染まないと考える。もしガイダンスとして残すのであれば下記としたい。
(1)Min. 記述は削除する。
(2)TSCP10: “over pre-construction primer thickness”は削除する(実際の評価困難)
4-4) 船社意向に合わせるべき

対応は可能・コスト発生/工程影響

対応は可能

現在製造中の物なら可
4-5) 対応は可能・コスト発生/工程影響

対応は可能、但し建屋増強&人員増強

ストライプコートは最低2回実施するものなのか?SC⇒1stFC⇒SC⇒2ndFC⇒SC⇒SCの計4回SCをするのか不明。
一般に2回塗りの場合は、1stFC⇒SC⇒2ndFC⇒SCで実施する。

膜厚・塗回数についても、各船毎、船主/造船所間における契約事項によるものでありルール規定は馴染まないと考える。もしガイダンスとして残すのであれば下記としたい。
(1)TSCF10:  2回塗り(1-ストライプ)→1回塗り(1-ストライプ)
(2)TSCF25:  3回塗り(3-ストライプ)→2回塗り(2-ストライプ) 400mic. /2回塗り可能。
5-1) 対応は可能







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION