カラーテレビ24.4%、自動二輪車48.6%、DVDプレーヤー57%−二〇〇二年の世界市場に占める中国での生産の割合だ。対する日本は、それぞれ1.9%、9.1%、6.3%である。わずかに四輪車が、中国5.5%に対して日本は17.4%となっているが、日本や欧米の自動車メーカーは、中国での生産を拡大する方針であり、早晩、これも逆転しよう。
一般工の賃金を比較すると、横浜を100として、深●9、上海8、北京5、大連4というから、日本に生産拠点を置く通常の企業に勝ち目はない。今後五年間で、中国への直接投資を大幅に伸ばすとしている日本企業は47.3%、若干伸ばすとしている日本企業は29.8%にも上っている。
しかし、日本も、このまま手をこまねいていては、産業の死を意味する。経済産業省では、在来型産業では高機能部品や工作機械などわが国がまだ世界で強い分野の製品の技術開発、ITやバイオ、ナノテク、デザインといった新分野の研究開発、さらに中小企業では伝統工芸品の新製品開発、すき間市場でのトップ企業が多いことから、こうした企業の育成などを図ろうとしている。
ただ、日本の企業だけでは、限界があろう。外資系企業の日本への積極的な投資を呼びこみ、拡大する中国市場に先端技術などの高度な製品を供給する拠点にすべきでないか。英国は、外資の導入でよみがえったが、その教訓を生かすべきだ。
全世界からの対欧米直接投資がGDP(国内総生産)比20%超なのに、対日投資は1.1%と低い。法人税を下げたり、先端技術企業の固定資産税の減免などの投資促進策が必要だ。
また、中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定で農産物関税を撤廃しようとしているとの情報もあり、これと引き換えに工業製品が自由化されれば、影響は計り知れない。日本も、予定されている自由貿易協定の拡大、農水産品貿易の完全自由化も考えるべきだ。
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