日本財団 図書館


(3)階段
 
Q-41
 船内にスロープを基準どおりとろうとすると、船幅の小さい船では難しい。良い事例を紹介して欲しい。
A
1)バリアフリー化された経路は1以上が必要です。バリアフリー経路でない所にはバリアフリー基準は適用となりません。リフト方式などもご検討下さい。スロープ勾配の1/12は推奨です。
2)取外し式スロープや船内側であれば床の高さを上げる方法も考えられます。
 
Q-42
 階段基準推奨の蹴上げ踏面を守った場合、段差に対する階段部の必要面積が非常に大きくなる。小型船では所要定員の確保が困難になる。軽減処理はあるのか。
A
 階段の蹴上げや踏面は安全上必要であり、急な階段は高齢者や障害者には大変つらく、困難である。このため、急な階段になる場合はリフトの併設か何か安全策が必要である。階段の蹴上げ、踏面の数値は推奨基準であり、望ましいという値です。
 
Q-43
 すべての階段の上下に点状ブロックが必要か(職員のみ使用する階段、バリアフリー経路でない階段)
A
 旅客用階段には全て必要です。旅客が立ち入ることのない乗組員区域には不要。
 
Q-44
 「点状ブロックについて」病院関係者の話では病院内でも高齢者が点状ブロックにつまずくケースがあり、敬遠されていると聞いています。狭くて揺れる船内では特につまずきやすいと思われるので、(例)と同様つまずきにくい点状ブロックがあるのか。また、そういう施工方法が開発されているのか。
A
 JIS T 9251で定めるブロックの山の高さ5mmは、高齢者のつまずきの実験上、許容範囲と言われております。
 
(4)バリアフリーエレベーター、その他の昇降機
 
Q-45
 「その他の昇降機」でいす式(人のみ)と車いすごと階段昇降装置の採用について基準を明確にしてほしい。(例えばG/T、航行区域)甲板室出入口扉のクリア開口幅について、扉を開けた状態でフックが出ていたため、有効幅が取れていないとの検査官の見解有り。厳しすぎるのでフック分は除外してほしい。
A
 原則として車いすごと昇降できるものが望ましい。ただし、イス式の昇降機については、小型の旅客船のバリアフリー通路1に設けるものであって、乗組員による人的支援体制によっては必ずしも否定されるものではありません。その場合は、地方運輸局船舶検査官に相談してください。
 フックの除外については、車いす、人の通行の障害になる場合は除外できません。
 
Q-46
 エレベーター、階段前には点状ブロックは施工されているが、通路内は施工不可歩きにくい、つまずき易い理由。センサーを利用した音声案内により曲がり角、階段等の注意喚起ができないか?
A
 点状ブロックは階段等段差のある部分など危険地域の知らせるため、敷設するもので、現在の点状ブロックの山の高さ5mmは高齢者のつまずきの許容範囲と言われております。また人を感知して案内するシステムの設置は有効です。
 
Q-47
 エスカレータの速度に関しての基準はあるのか。
A
 移動円滑化整備ガイドラインでは30m/分以下で運転可能なものを設置することが望ましいとされている。
 
(1)車いすスペース
 
Q-48
 スペースで車いすを2台以上は配置する場合のスペースを明確にしてほしい。
A
 設計マニュアルの設計サンプル170T、320T、999Tを参考にし、必要な手すり等をあてはめて考慮して下さい。
 
 
Q-49
1. 車いすスペースの幅“80cm以上”は固縛レールも含んだ寸法でしょうか。
2. 座席には100mm高さの座が設けられていますが、これに対するスロープは必要か。
A
1. 有効幅であって固縛レールを含んだ数値ではありません。(図9参照)ただし、車いす固定装置の種類により、80cm以内で固定するものもありますので、設置の際は自船に使いやすいものを設置して下さい。
2. スロープを設けることが望ましい。
 
図9 車いす固定装置
 
Q-50
 車いすに固定装置装備(ブレーキ)により、本船への固定装置を省略して良いか。
A
 省略はできません、本船に固定装置は必要です。
 
Q-51
 バリアフリー客席には、バリアフリー客席である旨の表示をどのようにすれば良いか。
A
 表示については、障害を問わず、また外国人にも認知できるような的確な表示を当該客席近くに分かりやすい場所に設置する。(設計マニュアル85頁参照)
 
Q-52
 「車いす固定設備」設置箇所は旅客定員に算入して良いか。
A
 参入できません。
 
Q-53
 車いす格納スペースは、どれぐらいとれば良いか。
A
 車いす格納スペースの規定がないため車いすの格納は、バリアフリー基準適合席の近傍の空間または車いすスペースを利用する。
 バリアフリー化のための設備、構造等については、当該船舶の旅客中に一定の割合で身体障害者等がいることを想定して基準を定めており、バリアフリー化客席については、旅客定員25人に対して1個以上の割合で設置することにより、車いす使用者を含む身体障害者と同数のバリアフリー客席が確保されることとなっています。また車いすスペースはバリアフリー客席とは別に車いす使用者のために設置(旅客定員100人に対して1個以上の割合で設置する。)されています。このため車いす使用者はバリアフリー客席と車いすスペースの両方を利用でき、バリアフリー客席を利用した場合には車いすスペースが空くことになるので、空いた車いすスペースに車いすを収納できます。
 以上のように基準の設定上は車いすスペースを利用することにより車いすを収納できることとなっていますが、実際には更に、車いす使用者が利用するバリアフリー客席に可能な限り近い場所で、かつ、移動円滑化の図られた通路の幅を狭めないような位置にそのまま、または折り畳んで収納するよう配慮することが必要です。(手動車いすについての日本工業規格(JIS T 9201:1998)においては、車いすの折り畳み幅を320mm以下と定めています。
 
車いすスペースの考え方:(1)肢体障害者の全人口に占める割合は約1.2%であること。
(2)国際海事機関(IMO)が策定した「高齢者及び身体障害者のニーズに対応した旅客船のデザイン及び運行に関する勧告」においても旅客定員100名に対して少なくとも1箇所の割合とされており、国際的にも妥当なものであると考えられること。
 
Q-54
 車いす使用者が、いす席又は座席を利用する場合、車いすスペースといす席及び座席の位置関係の標準的な位置はどう考えれば良いか。
A
 車いすからいす席及び座席に移る事を考え、いす席及び座席の近くが望ましい。その場合、手すりの配置にも注意してください。
 
Q-55
 小型高速船、小型フェリーで車両甲板にシルバールームを設ける場合等では、スペース的に無理があり、機能的に満足のいく設計ができない。又マニュアルはあまりに車いすを中心に考えられているが、島の航路を利用する人は圧倒的に老人が多い。航路によっては基準を柔軟に考えてはどうかと思う。
A
 設計マニュアルは車いすの方を中心に考えていません。身体の負担を軽減する施設等が整備されれば、その効果は高齢者、身体障害者といった方々だけでなく、健常者を含むすべての人に安全で移動しやすいという考えです。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION