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(2)バリアフリー客席
 
Q-56
 バリアフリー客席(いす席)の前の間隔は85cm以上とあるが、もう少しつめても良いと考える。
A
 車いす使用者がいす席の前方に車いすを移動させて、車いすからいす席に移動する基準のために必要な寸法です。車いすの幅65cmに双方の腕の幅20cmを加えた数値です。
 
Q-57
 バリアフリーのいす席は向かい合わせに設置して良いか、良い場合その間隔はどのくらいが良いか、客席のスミの方を利用して車いすスペースを取りたい。車いすスペースの部分の高さを低くして良いか、最低高さはどのくらいまでか。
A
1)推奨85cm以上+いす前30cm=115cm
2)高さは、特に規定されていませんが、介助者の存在も考慮してください。車いすのサイズだけを考慮した奥まったスペースに設置しないでください。
 
Q-58
 設計マニュアル77頁のバリアフリー客席<寝台>のイラストで寝台レイアウトが分かるが寸法が記入されてない、参考の寸法を記入してほしい。
A
1)寝台は従来のもので良いですが、高さは車いすの座面の高さの40〜45cmにして下さい。通路幅、転回スペース等の推奨基準も参考に実際に使用できる配置としてください。
 
 
Q-59
 情報提供内容、表現方式について、基準は無いか。
A
 設計マニュアルにおいては、点状・線状ブロック、案内板、触地図案内板、運行情報提供設備、シンボルマークについて記載しているが、実行上・運営上必要とされる考え方、方法について、参考として、次の(1)視覚表示及び移動円滑化整備ガイドライン(平成13年8月)の抜粋を参考としてください。
 
(1)視覚表示設備
 一般に、視力の低下は40〜50歳ぐらいからはじまり、60歳を超えると急激に低下する、車いす使用者の視点は一般歩行者よりおよそ40cmほど低い、聴覚障害者は耳から聞く情報は得られないことが多い、日本語のわからない訪日外国人が多いなど、さまざまな利用者が情報コミュニケーション制約を抱えている。移動円滑化をめざす視覚表示設備の整備においては、設備本来の機能を十分に発揮できるようにすることが必要であると同時に、さまざまな情報コミュニケーション制約を抱える利用者も、共通の設備から情報を得られるように工夫する考え方が必要である。サインはコミュニケーション・メディアの一種なので、情報・様式・空間上の位置という三つの属性を持つ。視覚表示設備は、見やすさとわかりやすさを確保するために、情報内容、表現様式(表示方法とデザイン)、掲出位置(掲出高さや平面上の位置など)の三要素を考慮することが不可欠である。さらにサインの情報内容や表現様式、掲出位置を、体系的なシステムとして整備し、また可変式情報表示装置を、状況により変化するニーズに合った情報をタイムリーに表示する方式として整備することが、移動しながら情報を得たい利用者にわかりやすく情報を伝達することが基本条件になる。
 
<移動円滑化ガイドライン>
●サインシステム
●基本的事項
1)サインの種別
●サインは、誘導・位置・案内・規制の4種のサイン類を動線に沿って適所に配置して、移動する利用者への情報提供を行う。
●誘導サイン類:施設等の方向を指示するのに必要なサイン
●位置サイン類:施設等の位置を告知するのに必要なサイン
●案内サイン類:乗降条件や位置関係等を案内するのに必要なサイン
●規制サイン類:利用者の行動を規制するのに必要なサイン
2)表示方法
●出入口名、改札口名、行先、旅客施設名など主要な用語には、英語を併記する。
●地域ごとの来訪者事情により、日本語、英語以外の言語を併記することがなお望ましい。
●英語を併記する場合、英訳できない固有名詞にはヘボン式ローマ字つづりを使用する。
●固有名詞のみによる英文表示には、ローマ字つづりの後に〜Bridgeや〜Riverなど、意味が伝わる英語を補足することがなお望ましい。
●書体は、視認性の優れた角ゴシック体とすることがなお望ましい。
●文字の大きさは、視力の低下した高齢者等に配慮して視距離に応じた大きさを選択する。
●弱視者に配慮して、大きな文字を用いたサインを視点の高さに掲出することがなお望ましい。
●安全色に関する色彩は、別表2-1による。出口に関する表示は、このJIS規格により黄色とする。
●高齢者に多い白内障に配慮して、青と黒、黄と白の色彩組み合わせは用いない。
●サインの図色と地色の明度の差を大きくすること等により容易に識別できるものとすることがなお望ましい。
●サインは、必要な輝度が得られる器具とすることがなお望ましい。さらに、近くから視認するサインは、まぶしさを感じにくい器具とすることがなお望ましい。
●ピクトグラムは、一般案内用図記号検討委員会が策定した別表2-2の標準案内用図記号を活用する。
 
誘導サイン・位置サイン
1)表示する情報内容
●誘導サイン類に表示する情報内容は、別表2-3のうち必要なものとする。
●誘導サイン類に表示する情報内容が多い場合、経路を構成する主要な空間部位と、移動円滑化のための主要な設備を優先的に表示する。
●移動距離が長い場合、目的地までの距離を併記することがなお望ましい。
●位置サイン類に表示する情報内容は、別表2-4のうち移動円滑化のための主要な設備のほか必要なものとする。
●位置サイン類に表示する情報内容が多い場合、前述の設備のほか経路を構成する主要な空間部位を優先的に表示する。
2)表示面と器具のデザイン
●誘導サイン類及び位置サイン類はシンプルなデザインとし、サイン種類ごとに統一的なデザインとすることがなお望ましい。
3)表示面の向きと掲出高さ
●誘導サイン類及び位置サイン類の表示面は、動線と対面する向きに掲出する。
●誘導サイン類及び位置サイン類の掲出高さは、視認位置からの見上げ角度が小さく、かつ視点の低い車いす使用者でも混雑時に前方の歩行者に遮られにくい高さとする。
●動線と対面する向きのサイン2台を間近に掲出する場合、手前のサインで奥のサインを遮らないように、2台を十分離して設置することがなお望ましい。
4)配置位置と配置間隔
●経路を明示する主要な誘導サインは、出入口と乗降場間の随所に掲出するサインシステム全体のなかで、必要な情報が連続的に得られるように配置する。
●個別の誘導サインは、出入口と乗降場間の動線の分岐点、階段の上り口、階段の下り口及び動線の曲がり角に配置する。
●長い通路等では、動線に分岐がない場合であっても、誘導サインは繰り返し配置することがなお望ましい。
●個別の位置サインは、位置を告知しようとする施設の間近に配置する。
 
案内サイン
1)表示する情報内容
●構内案内図に表示する情報内容は、別表2-5のうち移動円滑化のための主要な設備のほか必要なものとする。
●構内案内図には移動円滑化された経路を明示する。
●旅客施設周辺案内図を設ける場合、表示する情報内容は、別表2-6のうち必要なものとする。
●ネットワーク運行・運航のある交通機関においては、改札口等に路線網図を表示することがなお望ましい。
2)表示面と器具のデザイン
●案内サイン類はシンプルなデザインとし、サイン種類ごとに統一的なデザインとすることがなお望ましい。
●構内案内図や、表示範囲が徒歩圏程度の旅客施設周辺案内図の図の向きは、掲出する空間上の左右方向と、図上の左右方向を合わせて表示することがなお望ましい。
●表示範囲が広域な旅客施設周辺案内図の図の向きは、地理学式に北を上にして表示することがなお望ましい。
3)表示面の向きと掲出高さ
●案内サイン類の表示面は、利用者の円滑な移動を妨げないよう配慮しつつ、動線と対面する向きに掲出することがなお望ましい。
●空間上の制約から動線と平行な向きに掲出する場合は、延長方向から視認できる箇所に、その位置に案内サイン類があることを示す位置サインを掲出することがなお望ましい。
●構内案内図、旅客施設周辺案内図、時刻表などの掲出高さは、歩行者及び車いす使用者が共通して見やすい高さとする。
●運賃表を券売機上部に掲出する場合においても、その掲出高さは、券売機前に並ぶ利用者に遮られないように配慮しつつ、車いす使用者の見上げ角度が小さくなるように、極力低い高さとする。この場合、照明の映り込みが起きないように配慮する。
●券売機上部に掲出する運賃表の幅寸法は、利用者が券売機の近くから斜め横向きでも判読できる範囲内とする。
4)配置位置と配置間隔
●構内案内図は、出入口付近や改札口付近からそれぞれ視認できる、利用者の円滑な移動を妨げない位置に配置する。
●乗り換え経路又は乗り換え口を表示する構内案内図は、当該経路が他の経路と分岐する位置にも配置することがなお望ましい。
●旅客施設周辺案内図を設ける場合、改札口など出入口に向かう動線が分岐する箇所に設置することがなお望ましい。
●大規模な旅客施設では、構内案内図などを繰り返し配置することがなお望ましい。
 
可変式情報表示装置
 可変式情報表示装置とは、フラップなどを用いた機械式やLEDなどを用いた電子式の表示方式を用いて、視覚情報を可変的に表示する装置のことをいう。
1)表示する情報内容
●平常時に表示する情報内容は、発車番線、発車時刻、車両種別、行先など、車両等の運行・運航に関する情報とする。
●車両等の運行・運航の異常に関連して、遅れ状況、遅延理由、運転再開予定時刻、振替輸送状況など、利用者が次の行動を判断できるような情報を提供することがなお望ましい。この場合、緊急時の表示メニューを用意することも有効である。ネットワークを形成する他の交通機関の運行・運航に関する情報も、提供することがなお望ましい。
●異常情報を表示する場合は、フリッカーランプを装置に取付けるなど、異常情報表示中である旨を継続的に示すことがなお望ましい。
2)表示方式
●表示方式は、文字等が均等な明るさに鮮明に見える輝度を確保し、図と地の明度の差を大きくすること等により容易に識別できるものとすることがなお望ましい。
3)配置位置
●車両等の運行・運航用の可変式情報表示装置は、視覚情報への依存度の大きい聴覚障害者を含む多くの利用者が、運行・運航により乗降場が頻繁に変動する場合に各乗降場へ分流する位置のほか、改札口付近や乗降場、待合室など、視覚情報を得て行動を判断するのに適当な位置に配置する。
●可変式情報表示装置の掲出高さは、誘導サインや位置サイン類と統一的であることがなお望ましい。
 
<バリアフリー基準>
(運行情報提供設備)
第9条 車両等の運行(運航を含む。)に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。ただし、電気設備がない場合その他技術上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
(標識)
第10条 昇降機、便所又は乗車券等販売所(以下「移動円滑化のための主要な設備」という。)の付近には、移動円滑化のための主要な設備があることを表示する標識を設けなければならない。
(移動円滑化のための主要な設備の配置等の案内)
第11条 公共用通路に直接通ずる出入口(鉄道駅にあっては、当該出入口又は改札口。次項において同じ。)の付近には、移動円滑化のための主要な設備(第4条の3前段の規定により昇降機を設けない場合にあっては、同項前段に規定する他の施設のエレベーターを含む。以下この条において同じ。)の配置を表示した案内板その他の設備を備えなければならない。ただし、移動円滑化のための主要な設備の配置を容易に視認できる場合は、この限りでない。







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