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2. 船内旅客用設備利用に関する基準
(1)バリアフリー客席及び車いすスペースから船内旅客用設備まで
 
Q-23
 小型カーフェリーで車両甲板に通路を設けた場合、車両搭載時にも通路の確保(常時)が必要ですか。
A
 必要です。通路と車両区域の色分けも望ましい。
 
Q-24
 戸を設ける場合、自動扉を設けることが取付スペースの関係で困難な時には、その他の構造の戸を設けることとなりますが、規則上は“容易に開閉して通過できる構造のもの”となっていますが、もう少し具体的な要件はありませんか?
A
 自動式の他“容易に開閉して通過できる構造のもの”とは、軽い力で操作ができる手動式引き戸で握り手は棒状、ハンドル式のもの(問38を参照してください。)、事例としては福祉センター、病院等に設置されているもの。
 
Q-25
 設計マニュアル73頁のいす肩口の握り手について、通路側のものは理解できるが窓側のいす上部の握り手は必要か。
A
 通路側の握り手は、通路の手すりとして使用します。また、いす上部のものは、車いすからいすに移動する場合に使用します。
 
Q-26
 バリアフリー通路の「手すり」の設置位置について、船舶毎に通路の設定は違うが、大型旅客フェリー等のエントランス等にあたる広範囲となる空間での「手すり」の設置に於いて十分でない場合が多い。また、バリアフリー客席と車いすスペースの位置関係及び車いす使用者の本来の動向がつかみにくい。
A
 旅客船の通常の出入口では、両側の壁面に手すりを設置することで良い。船舶では階段部分では2mを超える場合は中間にも設置するようになっている。エントランスについては、周囲にできるだけ連続して設けることが望ましい。バリアフリー客席と車いすスペースの位置関係は、段差が無く移動できる最短の場所が望ましい。
 
Q-27
 通路の末端の付近の広さは、車いす転回に支障のないものと、規定されているが小型船の場合は空間制約上、大変厳しい要件となる。どうしたら良いのか。
A
 バリアフリー通路1における末端の転回場所の設置、バリアフリー通路2における末端の転回場所、50m以内毎のすれ違い及び転回場所の設置については、以下のとおり。
 旅客船のバリアフリー基準は、船舶の大きさに応じて基準の差異はなく、総トン数5トン以上に一律に適用されることになるため、基準の作成にあたっては小型船を意識し基本的に小型船であっても達成できるミニマムリクワイアメント(最低基準)として策定されている。しかしながら、バリアフリー通路に設ける車いすの転回場所等については、船舶の大きさにかかわらず設計の自由度を高めるための解釈を設けるとともに、特にすれ違い場所の規定が小型船にとって空間制約上大変厳しい要件となり得ることを想定し、表1及び表2に示すような取扱をすることとしている。
 
(1)「通路の末端の付近」を「末端」から5m以内までとすることができるという幅を持たせることにより設計の自由度を高めることとした。
(表1及び表2のすべて場合)
(2)バリアフリー通路1において、バリアフリー客席及び車いすスペースを結ぶ通路が短い場合、双方から5m以内に設けられた転回場所を共有することができることとした。
(表1の2の場合)
(3)バリアフリー通路2において、50m以内毎のすれ違い及び転回場所が末端の転回場所を兼ねることを可能とした。(表2の2の場合)
(4)バリアフリー通路2において、バリアフリー客席、車いすスペース、船内旅客用設備を結ぶ通路が短い場合、これらの末端の転回場所を1つに集中することにより50m以内毎のすれ違い及び転回場所を省略することを可能とした。(表2の3の場合)
 ただし、(4)(表2)は小型船において空間制約の厳しい場合に適用すべき緩和措置であり、大型船は当然のことながら小型船であっても可能な限り、表2の1または2を満足するようにしていただきたい。
 
→考え方:バリアフリー客席または車いすスペースから船内旅客用設備までのバリアフリー通路2において、車いす使用者同士が出会った場合、通路を譲るために車いすで逆進することが許容される距離を最大10mと想定。
 
表1.2
バリアフリー通路1における末端の転回場所の設置について
 
表2
バリアフリー通路2における末端の転回場所、
50m以内毎のすれ違い及び転回場所の設置について
(拡大画面:65KB)
 
(2)バリアフリー便所
 
Q-28
 イラストにある寸法は、基準のみ記入されているが、各種参考に寸法が記入されていると良い。例)41頁バリアフリー便所の必要な寸法(扉巾と360度回転φ150以上しか記入しない)
A
 公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン(以下「移動円滑化整備ガイドライン」という。)では、標準的には内法寸法200cm×200cmとし、新設の場合は標準的には220cm×220cmとしているが、これは陸上施設の場合の大きさであり、旅客船については今後の検討課題である。
 
Q-29
 バリアフリー基準第13条第1項第3号の規定で「車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと」とされているが、他方船舶設備規程(115条の20)では便所等の囲壁に23cmの高さまでの防水措置が要求されている。両規程を満足する構造として、どのようなものがあるか。
A
 船舶設備規程115条の20で要求される便所等の囲壁に23cmの高さまでの防水措置については、浴室・洗濯室同様・室内の水の逆流防止を目的とした船員のための衛生諸室としての要件であり、旅客用便所に関する規定(設備規程第117条)では、囲壁は要求していませんので、「車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと」を実現することが可能だと思います。
 
Q-30
 案内板の設置高さや設備規程で要求されない任意の便所について質問を受けたことがある。
A
 壁の点字表示については、次を参照してください。なお、移動円滑化ガイドラインの参考では、仰角10より下の範囲で極力高いもの(例:表示の中心高さ120cm〜140cm)とされているが、旅客船については今後の検討課題である。
 船舶設備規程で要求されている便所以外の便所についても高齢者、身体障害者等の利用を考慮して設備する必要があります。
 
参考:部屋、(・)トイレ
a)墨字の室名表示とは別に触知案内板を設置する場合は、ドアノブ又は引戸取っ手のある壁側に、高さ約1.4m前後の位置に、ドアの境に接して設置することが望ましい。墨字の室名表示と兼ねる場合はこの限りでない。(図6参照)
b)ホテルなどの部屋番号については、算用数字に限り点字表示の代わりに字形を浮き出させ、数字とドアとの色相やコントラストを明確に表すことができる。
c)トイレ等においては、入口付近の分かりやすい場所に触知案内板を設置する。
 
図6 室名の表示例







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