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3 社外工数の推移
● 日造協企業の半数に社外工
 今回調査に回答をいただいた企業376社の中で、人数の多寡に関わらず社外工を抱えている企業は、48%(181社)にのぼり全体の約半数近くをしめている。1社平均の人員数は38名で、自社の技術員・工員数の平均35.6名とほぼ同数に近い。また、経年推移についてみれば、毎年の調査のサンプル企業が一致していないため正確な比較はできないが、社外工(協力事業者)を抱える企業の割合が平成10年以後ずっと50%前後で推移しているのに対し、1社平均の社外工数は漸増している。
 特に今回調査では1社当り平均で前年比2倍強に増加している。集計に採用したサンプル数等の違いによる誤差を考慮する必要はあるが、多少の偏りを想定しても前年比で50%以上程度は増加している可能性は高い。各企業とも仕事量の増加分を社外工の活用で埋め合わせていることが伺える。
 
表2-5 社外工数等の推移
  回答企業数 協力会社(社外工)を有する企業 平均の社外工数
平成10年調査 581社 261社(44.9%) -
11年調査 582社 278社(47.8%) 12.3人
12年調査 567社 274社(48.3%) 15.7人
13年調査 508社 242社(47.6%) 14.8人
14年調査 478社 244社(51.0%) 16.0人
15年調査 459社 242社(52.7%) 18.3人
16年調査 376社 181社(48.1%) 38.6人
注)1.  資料出所:平成10〜16年度日造協実態調査
2.  本表は、各年調査の集計データをつなぎ合わせたもの。集計対象としたサンプル及びサンプル数は各年毎にまちまちである。
 
図2-2 1社平均の社外工
 
図2-3 社外工を有する企業の割合
 
● 切迫する技能者の世代交代
 日造協に所属する会員企業技能者の年齢構成をみれば一目瞭然であるが、今後数年内に半数近い技能者が世代交代年齢に達する。ここ1〜2年で若干の新旧世代交代が進んだが、団塊世代(現在55〜57歳)が60歳の定年年齢に達する2007〜9年頃が世代交代のピークと予想されている。2007年問題といわれている労働力の逼迫危機は造船協力業にとって他業界よりも更に切実といえるかもしれない。
 
表2-6 日造協会員所属事業所従業員の年齢階層別構成割合の推移
  平均年齢 年齢階層別構成比
29歳以下 30〜39歳以下 40〜49歳以下 50〜59歳以下 60歳以上
平成11年6月 45.5歳 14.7% 13.2% 19.1% 33.7% 19.3%
12年6月 45.7歳 14.2% 13.4% 17.7% 35.3% 19.4%
13年6月 45.8歳 13.9% 14.4% 17.1% 34.0% 20.6%
14年6月 45.1歳 15.4% 15.6% 16.6% 31.9% 20.5%
15年6月 44.8歳 19.8% 15.8% 17.8% 32.2% 14.4%
16年6月 45.0歳 19.2% 16.9% 17.2% 31.3% 15.6%
注) 資料出所:日造協共済加入データ
 
図2-4 日造協会員所属事業所従業員の年齢階層別構成割合の推移
注) 資料出所:日造協共済加入データ
 
● 求人環境いくぶん改善も楽観できず
 調査表採用企業数420社のうち「採用予定数を充足するくらいの応募はある」が149社と全体の35.5%を占めている。「応募者が採用予定数を上回ることが多い」25社(6%)と合わせると、全体の約42%に達しており、技能者、作業員の採用環境は数年前に比べいくぶん改善している。
 とはいえ、「応募者が採用予定数に達しないことが多い」企業も74社(17.6%)と2割近くに達する。国全体の有効求人倍率が1倍を下回る雇用状況にもかかわらず、造船協力企業では必ずしも順調に人材補給ができているとはいい難い。今後わが国の労働人口が右下がりに移行することは既定の事実であり、今後2007年から始まる団塊世代の大量リタイアを控えて、業界の求人環境は楽観できない。
 
表2-7 技術員・工員募集への応募状況(全体)
調査表提出企業数 応募者が採用予定数に達しないことが多い 採用予定数を充足する位の応募はある 応募者が採用予定数を上回ることが多い 分からない 無回答
420社 74社 149社 25社 84社 88社
17.6% 35.5% 6.0% 20.0% 21.0%
 
図2-5 技術員・工員募集への応募状況(全体)







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