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解剖学への招待

 事業名 篤志献体の普及啓発
 団体名 日本篤志献体協会 注目度注目度5


解剖実習を終えて
筑波大学医学専門学群 石川裕子
 
 一生の中で何人か、絶対に忘れる事のできない、自分を大きく変えてくれる師に出会える。その幸運に感謝をし、その師の恩をいつも心に留めていなければならない。そう父に教えられてきた。そして私は、今年、また幸運な師との出会いを経験した。
 解剖初日、その師と対面した時、私は何とも言えない気持ちで、しばし動けなかった。震えながらメスを入れたあの感触は今でも手に残っている。それから二カ月間、毎日のように師と向かい合った。解剖は作業自体も大変で、終って帰ると寝てしまう事もあった。それが毎日続くと、疲れで逃げ出したくなったり、作業が雑になってしまいそうな事もあった。しかし、ふっと師の顔を見上げると、自分が恥ずかしくなり、また集中を取り戻せた。師は自分からは何も教えてくれない。私が何を学びたいと思い、どう実行に移すかで、学べる内容も量も変わってしまう。師の恩に報いるために、まず私にできる事は、なるべく多くを学びとる事であると考えた。そのために、できる限りの事をしなければならない、その緊張感を常に持っていた。精いっぱい努力し、大変多くの事を学べたと思っている。また、解剖学実習をやり遂げた自信と、師への恩返しという新たな責任を持ち、私自身を大きく成長させてもらったと思っている。
 納棺の日、淋しい気持ちで師に別れを告げた。もう師は側にはいてくれないが、私は師への恩をいつも心に止めて生きていかなければならない。これから師によって成長させてもらった私で、教えてもらった事を忘れずに生かして、医療の道を一歩ずつ進んで行きたい。苦しい時、つらい時は、師の顔を思い出して乗り越えて行けると信じている。
 
福島県立医科大学 石田千恵
 
 3ヶ月にわたった解剖学実習もとうとう終わりです。あなたも私達と同じようなすがすがしいお気持ちで、今日を迎えられているのではないでしょうか。
 今回の実習は、私達にとって、他の方法では決して学び得ない多くの事を、目と心に焼きつける機会となりました。あなたは最高の教材であり、最高の先生でした。
 あなたの体は驚く程巧妙で、どの教科書よりも説得力をもって、私達に知識を与えて下さいました。又、小さな変異や臓器の状態を見ては、あなたの生前のご様子までも想像することができました。そのことは、人体が決して機械ではないこと、一人一人の人生を支えた構造なのだという事実を、暗に教えて下さいました。さらに、あなたがそのお体と共に医学に捧げた精神に触れられたことは、私達にとって大きな財産となりました。
 連日の実習に疲れ、くじけそうになったこともありました。しかし、毎回の実習の前後に黙祷をし、あなたの生前のご遺志を思うと、また新たな気持ちで興味深く実習に取り組むことができました。
 最後に、今回の実習では人体の神秘に感動すると共に、その複雑さを理解することはまだまだたくさんの勉強が必要だということを知りました。
 私達はこれからも、あなたのご遺志に恥じない医師、医学者になることをお約束します。どうぞ安らかにお眠り下さい。
 
北里大学医学部 石田学
 
 私にとって、解剖学実習とは「医師になるための大いなる第一歩」であった。
 二学期の頭から始まった解剖実習は、私にとっては未知なる世界であり、同時に驚きの連続であった。「人体」このたった二文字の単語の中に、なんと多くの事柄がつまっているのだろう。それは、本で読んだだけでも、話を聞いただけでも決して理解できないであろう。それを理解する唯一の方法、それこそが「解剖」という過程であると思う。そういう意味で、私にとってこの三ヶ月余りの月日がいかに重要でいかに有意義であったかは、言うまでもない。
 一学期から解剖学を学んでいたものの、あくまで平面での話になってしまうため、どこか実感に欠ける所があった。だが、実際にご遺体を解剖することで、立体での話になり、理解度が格段に上がったと思う。筋肉、神経、血管、リンパ管、骨等々、数え切れない程の知識を身に付けることができたのは、献体して下さったご遺体があってこその話であることは明白である。日々の実習を終える度に自分の知識が増えていくのは、一医学生として、とても誇らしいことであった。
 解剖実習において、私が一番興味を持ったのは、「全く同じご遺体などは存在せず、全てのご遺体は千差万別である」ということであった。臓器の大きさが大きいもの、神経や血管が太いもの、その他にも様々なご遺体があった。その中でも特殊なものは「破格」と呼ばれ、とても興味深かったのを覚えている。
 今回、私が解剖させて頂いたご遺体はもちろんのこと、全ての献体者の皆様のご行為とお気持ちには、本当に感謝している。同時に長くにわたってご指導して下さった先生方、共に解剖実習をした班員にも感謝している。
 献体して下さったご遺体からの無償の愛とこの実習を通しての貴重な体験をしっかりと心に刻み込み、これからの勉学に励みたいと思う。最後に、お世話になった全ての人々に感謝の意を示すと共に、献体して下さったご遺体方のご冥福を祈りたいと思う。
 
神奈川歯科大学 石渡麻美
 
 解剖実習をして、人の命の大切さ、人体の精巧さを実感することができました。一年のうちから解剖実習をするということで、最初はまだ早いのではないかとも思いました。しかし、医療系を目指す者にとって、人体解剖をするということは、人体の仕組みを知ることという、知識的なものだけでなく、人の命がどんなに尊いものであるのかを知ることができました。
 最初の解剖実習の日のことをまだよく覚えています。はじまる前までは、緊張と恐怖心でいっぱいでした。つい少し前までは、自分たちと同じように生活していた方を自分たちの手で解剖してよいものなのだろうか?教育を受けることが目的とはいえ、悩みました。しかし実際に解剖実習をしてみて、その感動に私は全てが吹っ飛んでしまいました。
 この地球上に生命が生まれて、進化して、ヒトが生まれて、それだけで奇跡みたいなことで、本当にすごいことだと思います。例えば、ロボットの二足歩行は実現させるのにずいぶんと苦労しましたが、二本の足で立って歩いているということは、それだけですごいことです。普段、何気なくしてしまっていることでも、それはとても複雑で大変なことなのです。そんな作りを知ることは感動の連続です。
 慰霊祭でお会いした方々は皆献体される方たちばかりでした。「献体する」ということはその身を捧げ、私たちの教育のために貢献していただくということだけです。それはとても勇気のいることで、遺族の方々のご理解、献体された方の献身的なお気持があって初めてできることだと思います。そんなお気持ちに私たちはどうやって応えていけば良いのでしょう?それは、献体された方々の「今まで生きてきた証」のようなものを精一杯くみとって、今後の自らの精進に努めていくことではないのでしょうか。
 最後になりましたが、献体していただいた多くの方たち、ご理解していただけた家族の方たちに心から感謝の気持ちを表したいと思います。そして、献体の方々のご支援なしにはありえなかった「命の実感」を噛みしめ、これからも精進していきたいと思っています。







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更新日: 2019年8月10日

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