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Q-6: グループホームの職員の仕事がわかりづらい。世話人の仕事について具体的に教えてほしい。
 
A:グループホームの世話人は、毎日何をしているのか、どういう仕事をしているのか。
 当たり前のことですが、世話人はグループホーム入居者の平凡な日常生活を支えることが仕事です。世話人の仕事は一言では言い表せません。
 支援費制度が始まり、より身近になった「ホームヘルパー」と「世話人」とでは、どう違うのか。世話人の仕事は入居者によって変化します。
 意志疎通が難しい方や身体障害が重い方、病院との連絡が密に必要な方が入居されている場合、世話人にはより質の高い仕事が求められます。
 世話人には資格があっても邪魔にはなりませんが、必ず必要ではありません。ただし、入居者本人に寄り添うことのできることが重要となります。それは、家族になることではなく、世話人はあくまで支援する人であって、家族とは違います。世話人には適度な距離と客観性が必要です。入居者のつまずきに巻き込まれ、本人をより混乱させることになってはいけませんし、失敗を恐れ本人の挑戦を止めることになってもいけません。
 グループホームは地域で生活する本人を支える居住の場です。安心して失敗できる失敗してもそれが経験になり、自信へとつなげていけるよう支えるの世話人の役割になります。この役割を果たすためには、公的なものそうでないものを含めて、本人の使える社会資源をたくさん知っていることが必要です。
 また、使い勝手のよしあしや本人の利用に適しているかなど、その社会資源の中身についても知っておくことが必要です。すべて自分で解決できる世話人がすばらしいわけではなく、問題に突き当たったときに、できないことを補ってくれる社会資源につなげてことができる人が世話人です。例えば、毎日変わるかもしれないホームヘルパーに入居者の人となりを正確に確実に伝えることも大切な役割となります。
 食事づくりや掃除、洗濯など目に見える仕事は、入居者の苦手な部分を代わりにやることで入居者の生活の一部を補うに過ぎません。
 本人の望む生活を実現するためには、まず本人が何を望んでいるのか知ることが必要です。何を望むかがわかっても、それをかなえるのは世話人の仕事ではありません。その望みをかなえるために、どうすれば本人ができることを引き出せるのかを考え、どんな社会資源を使えるのか、どんな人に協力してもらえるのか、一つの役割をだれが担うのかといったことを考えることが大切な役割となります。
 グループホームは集団生活の場ですが、施設のように入居者をみんな一緒に扱うのではなく、一人ひとりの生活を尊重する場であることが基本となります。どんなに重度な障害のある入居者であっても、プライバシーに気をつけて守らなければなりません。
 例えばノックをしないで部屋に入ったり、散らかっているからと本人がいないときに勝手に部屋に入って掃除をしてしまう、食事や寝る時間が入居者みんな一緒だったり、門限があったりなど、一般の大人に対しては当然やらないことです。グループホームは、家族のように錯覚してしまいがちですが、それぞれが自分の部屋の家賃、食事代、水道光熱費、消耗品費などを払って生活していることを考えると、昔の下宿に近いといえます。
 もちろん入居者一人ひとりの状況によって、本人の意思に反して世話人が対応しなければならない場合もあるかと思われます。その場合、少しでもわかりやすい方法を使って、入居者が安心できるように説明することも大切な役割です。
 これまで、障害のある人は訓練しなければならない人、指導されるべき人と思われてきました。しかし、グループホームは訓練の場ではありません。「生活の場」です。
 毎日顔を合わせる世話人に命令される生活では、グループホームで生活することが嫌になってしまいます。できないことがあっても、入居者が自分らしく、いきいきと生活できることが最も大切となります。
 
Q-7: 週末はどうしているのか。
 入院を必要とする医療ケアについてどうしていますか。
 
A:(横浜市のあるグループホームの場合)
 ホームは365日体制。
 入居者は、週末は家に帰ることもあります。
 新しい生活に慣れること、帰る家があるとき親から離れていくことが大切。
 重い障害の場合、月曜日から日曜日まで、介助する職員体制が難しいため、家に帰る場合もあります。
 グループホームから病院での介護も行うため、入院時の体制が必要となります。
 横浜市内のグループホームでは、経管栄養の必要な人はいるかいないかと思われます。
 看護師レベルの治療を必要とする人はいません。
 訪問看護程度ならいます。
 
Q-8: 高齢で入院(週末医療)とグループホームの生活を続けている場合、本人が希望する限り、グループホームでの生活ができるのでしょうか。
 
A:医療との密接なつながりを当初からもつことが必要です。
 グループホームでどこまでやるかと言うより、それを支える周りがどうあるかと言うことになります。
 親亡き後のグループホームで、ずっと住めるグループホームでなければなりません。
 
Q-9: 当事者と親が言う意見が違う場合があります。(ニーズの違い)
 福祉ホームとの違いを簡単に教えてください。
 
A:当事者と親が言う意見が違うことは、精査する必要があります。
 親がより保護的な所を見ているのではないでしょうか。
 福祉ホームは、管理人がいるだけで直接の介助はしません。基本的には自分で生活して下さいというアパートと同じです。
 横浜市には現在250ヶ所程グループホームがあります。その内、身体障害のある人が入居している所は10ヶ所程で、現時点で知的障害に比べ少ないですが、しかしニーズはあります。
 
Q-10: 老人のケアハウスを使い、グループホームを行うことは可能でしょうか。
 
A:老人の場合は痴呆性高齢者グループホーム制度があります。
 身体障害者にはグループホーム制度がありませんので、話し合いでそういったグループホームを作っていいのか考える必要があります。運営は作った人たちで、行っていかなければなりません。制度が無いので、行政と話し合って認めてもらうことが先ず必要です。
 
Q-11: 現在、我々が抱えている障害者というのは知的障害を併せ持つ重複障害者がかなり多いと思われます。重複障害者を考えたグループホームであってほしい。
 
A:自分のいいたいことが言えない方、自由に動けない方等たくさんいるのではないでしょうか。我々はここのところを考えてグループホームを作っていきたいと考えています。
 
Q-12: グループホームと一人暮らしは、どちらが良いですか。
 自立生活と家族の関係(親との葛藤があったのでは?)
 
A:(研修会での当事者から)
 一概に言えないが、仕事の場が近くにあったり、自分的には一人暮らしが良い。
 人によって違う。世話人がいると楽な部分があります。
 グループホームで慣れて一人暮らしに移行していく人もいます。
 その人の生活の仕方で決まります。(その人のやりたい生活スタイルがある)
 生活を選べることは良いが、状況はなかなか難しい(支援費制度)
 すんなり家族が許してくれる所もあるし、心配される家族もいます。
 自分らしく生活しているのを認めてもらうようにすることも必要です。
 
(研修会参加者から)
 グループホームにしろ、ひとり暮らしにしろ、障害を持っていなくとも苦労されると思います。そういったことはあたりまえのことではないでしょうか。
 その人の範囲でどうしたら生活できるのか、グループ、仲間で考えて行くことが必要です。その人に親がどれくらい協力できるか、親の心配もあります。グループホームで子どもが苦労している所を見ていく中で、「良かった」と思うことも大切です。
 
Q-13: 自立体験(宿泊訓練等)が必要な場合、グループホームで生活するには、どの位の期間、取り組みが必要ですか。
 
A:(研修会での当事者から)
 個々に違うので一概に言えないが、自分の場合3ヶ月(月1回)行っていました。
 中には、7〜8年体験自立を続けている人もいます。
 本人がグループホームに入るという決心が必要です。
 
Q-14: 横浜市の障害児・者地域生活支援の特徴について教えてください。
 
A:運営委員会活動の発生があります。横浜市の障害児者に対する地域生活支援を特徴づけてきたものに「運営委員会」方式による「地域訓練会」「地域作業所」「グループホーム」活動があります。昭和40年代は横浜市内に障害児者施設が不足し、多くの障害児者が在宅生活を送らざるを得ない状況でした。こうした状況から障害児者の親などが障害児の保育・療育の場・障害者(青年期)の就労の場、親自身のつながりの場を求める自主活動として発生してきたものが、親などの関係者自身により運営される地域訓練会でした。
 こうした個々の活動団体を横断的に支援するため、横浜市在宅障害者援護協会が活動、当事者を中心に結成されました。
 また、運営委員会活動の展開されて、運営委員会による当初の活動は、就学年齢前の障害児の保育・療育活動を行う「地域訓練会」でありましたが、知的障害、身体障害などの障害内容にこだわらず、地域支援活動として行われてきたことが特徴であり、これが対象児童の成長にあわせて学齢期まで広がっていくこととなりました。
 運営委員会は障害者自身のほか、家族、地域住民、障害児者団体、協力ボランティア、行政、横浜市在宅障害者援護協会などにより、10人程度の規模で構成され、当事者性、開拓性などを活動の理念として掲げてきています。
 こうした当事者性を重視した視点から、当事者のライフステージに応じ、成人期の課題の対応が必要となり、具体的には学齢期以降の社会参加活動の場と生活の場の確保であり、知的障害・身体障害の種別を問わない「地域作業所」活動と「グループホーム」設置活動へと展開してきました。
 
Q-15: 地域生活支援事業の都道府県地域格差についてお伺いいたします。
 
A:都道府県別のグループホームの数で、多いところでは北海道が427ヶ所、それに大阪府、神奈川県、東京都300ヶ所前後の県がある一方、香川県では10ヶ所にも満たない数です。北海道は香川県の50倍ということになります。(2004年5月)支援費以外のグループホームもあるので、この数字がすべてではありませんが、大変な格差があることは間違いありません。
 その格差は広がっています。行政の理解がなく、グループホームをつくりにくい地域でグループホームをつくるのは確かに大変です。でも、まず、当事者が自分たちの声を上げないかぎり、実態は変わりません。グループホームづくりの一歩はまず、自分たちの希望を明らかにすることです。自分はどんなところで暮らしたいのか、自分たちの子どもがどんなところで暮らすのが希望なのか、その声をあげることです。そして、グループホームは一人ではつくれません。また、一人でつくるべきでもありません。独りよがりの運営になってしまったり、その人がいなくなったとたん、後が続かなくなってしまうからです。声をあげて、そして仲間をつくること、ここからグループホームづくりを始めましょう。







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