日本財団 図書館


第III章
グループホームについてのQ&A
《グループホームについてQ&A》
Q-1: いろいろな所にグループホームを作る場合に、どんどん出来ていけば良いのですが、迎え入れる地域の態勢はどうなのでしょうか。
 また、北海道のグループホームの整備については今後どのように進んでいくのでしょうか。
 
A:入所施設からグループホームに地域生活が移行する場合、支援費制度を上手く使うには、自活訓練加算を上手く使う方法があります。
 地域の住宅を借りて、6ヶ月から最大1年位そこで訓練をします。例えば借家の家を借りて、一人について支援費プラス約14万円位の加算がつきます。或いは法人の物件や施設の中にある独身寮などを自活訓練に使う場合約11万円位の加算がつきます。
 支援費制度になって、とても重要になったと思われます。今まで以上に入所している人の利用者負担が高くなっています。地域生活の実習して、合わせてプラスアルファの支出をするのは困難性がでてきています。自活訓練加算を使い、地域生活を練習をしてグループホームへ移行する流れがあります。
 来年度より北海道では特区として「入所施設のサテライト方式」を実施します。
 これは過疎地域に作った施設の利用者が、例えば地域で一一軒家を借りて生活するのは、過疎地域では物件も少なく難しい。例えば何々村で50名の施設が仮に在ったとして、その中で10名位が都市部でアパートのような物を建てて、そこに職員が1名位が泊まってサテライトすると言うことです。
 このように、特区を申請していろいろな地域生活へ移行して行く取り組みが各自治体で始まってきています。また、今の制度の枠組みを緩和する方向で進んでいます。
 グループホームの日割りなども、週末の土・日曜日をグループホームで居宅を使って生活するといった考え方も出来ないこともなく、こういった応用も今後は広がっていくのではないでしょうか。
 地域は本当に障害のある人を受け止める基盤があるのかは、すごくまだ疑問があります。今、いろいろな国の政策をしている政党でさえ入所施設を作るのを正しいと思って、補助金を獲得して入所施設を作ろうとしていますので、国民レベルで障害のある人が地域生活をして当たり前だという、基盤はまだ日本の社会では十分ではないと思います。これから全ての障害のある人が、地域で正しく理解してもらう基盤を作って行かないと難しい問題ではないでしょうか。
 そのときにグループホームの家を借りるときは、そこの所を理解してもらわないと困難性があります。地域住民との交流を深めることで、信頼・信用を得ることが次へとつながっていきます。そして、地域のお母さん方が世話人をしていただくことで、地域の労働力、地域のネットワークができあがってきます。
 今までグループホームは施設と言う大きな枠で地域のふれあいを行っていたのが、もう少し小さな集団でごく自然に行えます。しかし、大都市においてはマンションやアパートでグループホームをやっている場合は、地域の人たちとの交流も少ないし、田舎に比べ、都市部の方が地域の人に細かい気遣いがあるので大変ではないでしょうか。
 
Q-2: いろいろと施設(療護施設、小規模通所授産等)を整備しましたが、まだまだ解決しなくてはならない問題(通所施設への送迎の問題等)がたくさんあります。
 グループホームの制度ではなく、支援費という限られたサービスをうけながら、共同住宅などで個室(各部屋にトイレ、風呂等付)で生活していけることができないか模索しています。
 
A:横浜市の場合、法人がバックアップしているグループホームと横浜市在宅援護協会(在援協)が永年、運動をして作ってきたグループホームとがあります。これは横浜市が在援協を通したグループホームに補助金を出す形を取っています。
 在援協が運営するグループホームは法人の運営するグループホームと違い、ガラス張り的な運営ができ不透明にならない側面があることです。それは、運営委員会にいろいろな人が(障害者本人、家族等)参画して論議して行くところにあります。
 グループホームも社会福祉法人だけでなく、いろいろな団体でもできるようになり、例えば、協同組合法に則った協同組合方式のグループホームなどは、スェーデンなどで作られているようです。そう言った方法もあっておかしくないと思います。
 障害の重い人が、グループホームで生活することが全てではないので、グループホームで生活をしなくても良いし、グループホームを利用すると今の制度上は支援費のいろいろな制限が市町村の考え方によってつくので、より障害の重い人をグループホームで受け止めて、十分必要なだけ支援費を出しますと言った市町村の確約がないとすごく重心の人たちがグループホームが理想的だと言っても今の支援費やいろいろなサービスでは大変厳しいものがあります。
 グループホームは4人以上という設定がありますが、これはあまりこだわらない方が良いと思います。本人にくる支援費ですので、一つの家でなくともアパートなどで別々の所で4人暮らして、そこに世話人との共有する空間があれば、個別の支援ができ、そこにホームヘルパーを上手く使うこともできます。ですからグループホームを運営上、一軒家を借りて4人以上でなくては駄目だという今の規定をもう少し支援費の考え方などを拡大解釈して、2名でも3名でもミニグループホーム的な支援費を得るような考え方に立てれば、もう少し違うのではないでしょうか。
 在宅で生活してもグループホーム施設で生活しても、その人が必要なサービスに対して市町村がお金を払うという支援費の考え方に立たないと何処かで施設だグループホームだということで上限等を付けなければ出来なくなってしまいます。その辺に限界があるのかもしれません。ただ、いろいろな試みをしてグループホームでなくとも二人の共同生活もあるわけで、グループホームの枠にこだわらずホームヘルプを必要なだけ使うということもできないことはないと思われます。
 
Q-3: 個人の共同生活の場を作っていく様な姿勢は支援費の対象となりますか。
(北海道札幌市の場合)
 
A:グループホームという枠組みでなく、例えば共同で何処かの場所に住んでいて、そこに支援費を入れていけるかということについて、身体障害をもつ方のグループホームというのは、何故なかったのかというと、自立生活運動という流れの中で、身体障害の場合一人一人判断能力があるのでいろいろなハード面のサポートがあれば、別に一緒に暮らして行くという概念を持たなくとも良いということがありますので、個人個人がいろいろな体験を積む中で、一人暮らしを獲得していく流れがあります。
 ただ、入所施設に長くいる方、家族とずっと一緒だった方がいきなりそこに行くのはなかなかハードルが高い方もいます。精神的にもう少し友達など誰かといるということも大事ということもあり、グループホーム的なものも必要ではないか。経過的なものも必要ではないか。今は身体障害の方は福祉ホームがあり、福祉ホームというのは、どちらかというと普通のアパートの様な形に必要なケアを入れる形です。重度ケア付住宅を公営住宅を使って行っています。公営住宅で一人一人の部屋があり、そこにケアステーションを付けてそこから必要な支援を行います。当時は支援費ではないのでヘルパーも十分でなかったので、独自に福祉ホームに上乗せする形で市と道がお金を出して、24時間ある程度の人を配置できる補助金を出して運営をしてきています。今、支援費になりヘルパー制度が浸透してきているのでこうしたケア付住宅のやり方をどうしていったらよいのかはこれからの課題です。
 医療的ケアの部分もグループホームという形を取るのがよいのか、福祉ホームの制度で横にケアステーションを付けて、そこに看護スタッフがいて、そこから24時間支援できるのがよいのか。重い障害の方の不安は、ヘルパーが24時間というよりも、万が一の時のために近くに誰かがいてほしいというニーズがあります。その辺の所から、ヘルパーが24時間対応ということで良いとなるのは今後の課題です。
 グループホームという形をとっていくのか、もしくは一人二人から訓練的なことをして、そこに支援費を入れていくのか、またはヘルパーを効率的に使うために、例えば二人に一人のヘルパーを有効に使って頂くと例えば倍使えるといったところに着目しています。そう言ったやり方をしていくと二人か三人で家を借り、そこで時間をいっぱいいっぱい共有して、そうすると上手く回っていくという中で、訓練をして行くということはできるのではないでしょうか。支援費で使える物は目一杯入れていただいて、その中でそれを最大限それを有効に使う形で組み合わせをしていただいてやっていくのは、今のグループホームという形が直ぐ制度化されるかどうかはまだ見えていないところが身体障害の場合ありますので、そういったやり方は十分可能かと思われます。
 
Q-4: 入居希望者の要求度が高いため、ヘルパーさんの質や世話人さんとの相性、同居者との相性など問題があり、なかなか入居に踏み切れないでいます。法人のバックアップがある場合は利用者間で問題があった場合もなんとか対処できますが、そうでない場合たちまち運営に困ってしまうことを聞きます。
 入居者間のトラブル、世話人さんやヘルパーさんの質など、ハード面よりソフトな部分のケアのしかたについてどう対処していけばよいのでしょうか。
 
A:この問題は法人がバックアップするしないの関わらず、日常よくある問題です。
 グループホームが一つだと、そこで4人が共同生活するのは施設の4人部屋が一人部屋に移っただけで、グループホームや施設から移行しただけで必ずしも、その人が共通理解があって上手くいけるかといった部分は未知数です。まして外部から入ってくる人や在宅の人が4人で共同生活する場合は、全然分からない所から生活するので、そういった人間関係のトラブルは出てきて当然です。
 もう一つは、世話人さんやスタッフの問題で、世話人さんが利用者を管理してしまうような側面が強く、利用者からの不満が出てきた経緯があり、グループホームを申請するとき同居を止めて通いや色々な支援に変えたことがあります。
 バックアップする機能、バックアップする人が、どう世話人さんを研修するのか、どうコーディネートしていくのか。すべての世話人さんが専門の勉強をしているとは限らないので、まさにバックアップ機能で世話人さんの質を高めるようなトレーニングをするとか、他の所へ見学や研修に行くなど、コーディネートすることがバックアップ機能の役割でもあります。施設から地域生活へ移行した施設が持っているグループホームが一ヶ所だけの所もあるが、これを二ヶ所三ヶ所と作り続けないと利用する人たちの要望に応えられない傾向にあります。
 
Q-5: グループホームを作るためにどう運動していけば良いのか。また、何もない状態でグループホームを立ち上げる場合、資金面等どうしていけば良いのでしょうか。
 
A:知的障害者の領域でいけば、グループホームのあり方で、支援費の区分はどうなのだろうか。適正なグループホームの人員配置は、ガイドラインを作って国が明確にした方が、不透明な運営はなくなるだろうなどの運動は進められています。
 身体障害のグループホーム制度化を国の制度として載せるのであれば、来年行われるかもしれない福祉法改正前に、国や自治体に要望を出して、重度身体障害者グループホームなのか名称はいずれにせよ、国レベルに要求していかないと法律改正に載らないのではないか。現在行っている全国的な組織の要望や運動を継続して行っていくことで、道が開けてくるのではないか。それが障害の枠を越えたグループホーム制度になるかもしれません。現在も重複障害を持つ人は知的障害者グループホームを利用している場合もあります。そう言った相互利用も行われていること含めて、国や自治体に要望して行けば良いのではないでしょうか。
 グループホームをどう経営していくかということは、事業者申請をして例えば今の高齢者やNPO等の資格要件があって、グループホームの物件を準備して、そこに利用する人の予定がある程度目処が付けば、グループホームの事業者申請をするステップを踏まなければなりません。家があるから直ぐグループホームが出来るかといえば、それは出来なくて、法人やNPOなどに貸してグループホームにすることは出来ます。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION