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資料〜基調講演レジュメ(2)
《重度身体障害者グループホーム制度の創設に向けて》
1. 横浜のグループホームについて
横浜のグループホームの特徴
(1)市の制度であること
(国制度(平成元年)ができる前からグループホームとよんでいた)
(2)法人でなくとも運営できること(運営委員会)
(3)障害の種別を問わないこと
(4)「重度加算があること」
(5)横浜市在宅障害者援護協会(現在:横浜市社会福祉協議会障害者支援センター)、
横浜市グループホーム連絡会があること
運営委員会も運営できることにより
・入居者が運営に加われること
・作業所や親の会、本人たちの会が母体となれること
・施設がなくても、グループホームがつくれること
なぜグループホームが必要なのか(管理から自己決定)
グループホームの偏在
 
2. グループホームの基本的な考え方
(1)自分の生き方は自分で決める
 グループホームは障害者が望む多種多様な生活の仕方の単にひとつの選択肢にすぎない。今後進むべき方向はどんなに障害が重くても、ひとりひとり独立して暮らせる体制を築いて行くことです。
 (グループホームで暮らすか、ひとりで暮らすか選べるようになること)
 
(2)集団生活の場ではない
 ひとりひとりの独立した暮らしの保障を追求する場でなければならない。
 
(3)障害の程度を問わない
 地域で暮らしたいという障害をもつ人たちの思いは、障害の程度にかかわらず、共通した思いです。障害の程度によって選べる施策が異なる現在の制度のあり方は見直されるべきです。
 
(4)自己決定を支え、入居者が運営に参加する
 
3. グループホーム制度のあり方
(1)グループホームのバックアップ機能は地域の中に。
 施設から独立した各地の生活支援センターがグループホームをバックアップするシステムに。(国のグループホーム制度は、バックアップ施設を作りなさい。経営面で施設運営を考えてしまい、グループホームを中心に考えていない。ここに制度上の不備がある)
 
(2)ひとりひとりの生活に必要な援助に応じて、人を配置できる補助の仕方を。
 
(3)生活の場は多種多様であること
 
(4)グループホームをはじめ、いろいろな地域サービスの運営に障害者本人が参画できるしくみをつくること
 
(5)地域での暮らしを援助する人材の育成と再教育の場を。
 
(6)地域の各種サービスの充実こそが重要
 
(7)人権を守るための仕組みを早急に。
 
4. グループホーム入居の前に作業所でやったこと
・自分で選ぶ、決める(何を食べるか、何をやるか)
・食費を集める
・試せる トースターでパンを焼く
電動車いすに乗る
・調理 まずやってみる
必要な買い物、道具の工夫
・やってみないとわからない
一人で買い物に
ついてて手伝わないと意地悪
・自分でできること、手伝ってもらうこと
1日かけて自分で3食作る
・訓練より、やる工夫
計算できるようにするより、お釣りをごまかされない方法
・必要性があること
事前のトレーニングは意味がない
 
5. グループホームってどんなところ?
 グループホームはどんな所で、どんなふうに考えているのか。
 グループホームというのは、障害がある人たちが4〜7人でスタッフの援助を受けながら暮らすところです。(現在の障害者のグループホームの大半は4〜5人の規模です)
 入居者は男性だけのホームや、女性だけ、男女どちらもいるところとホームによっていろいろです。
 グループホームの建物は、大きい一軒家を借りたり、アパートやマンションを2〜3戸借りたりします。数は少ないですが、県営住宅などの公営住宅を借りているところもあります。
 グループホームには、ゆっくりできる自分の部屋があり、一人一人の暮らしがあります。でも、それだけではなく、グループホームには一人でいたくない時はみんなと一緒にいることができる部屋もあり、一緒に話をしたり、出かけたりすることもできます。一人一人の暮らしがあって、でも一人ぼっちじゃない、これがグループホームの特徴です。
 身体障害者のグループホームの場合、車いすの移動ができるスペースが必要なため、広さや改造費、新築する場合の建設費など、知的障害のグループホームに比べ費用が高く、同時に入居者が負担する家賃も高くなり年金だけで支払うのは困難と思われます。
 グループホーム補助金では足りない場合、生活保護の他人介護料を使うことができます。
 なぜ、グループホームが4〜5人の入居者に2〜3人のスタッフか。これが10名程の入居者にスタッフが4〜5人になると大きすぎて食事での会話などとれなくなります。家族の中でできることができなくなる(食事、風呂など)調整が必要となります。入居者が4〜5人であれば自分たちで管理できる、家庭規模の人数と思われます。援助側も4〜5人は見られる範囲です。
 
・グループホームは自分の家
 「地域社会の中で、普通に暮らしたい。」この障害のある人たちの思いを実現するために、グループホームはできました。グループホームに入居している人たちは、朝仕事や作業所や通所施設などの日中の活動の場に出かけ、夕方グループホームに帰ってきます。
 昼間は外で活動をし、夜はゆっくりとくつろげる。休みの日にはごろごろしていたり、自分の好きなことをしていられる、これがグループホームの暮らしです。
 グループホームでは自分の部屋でどう過ごすか、何時に寝るかなど、自分の暮らしは自分で決めます。もちろん自分で決めることが難しい人は援助者が手伝います。
 しかし、グループホームは4〜5人で暮らしているので、何でも自分の思い通りになるわけではありません。自分が今、お風呂に入りたいと思っても、他の人が入っていたら入れません。毎日自分が好きなものを食べたいと思っても、他の入居者の食べたいものが出てきたりします。犬を飼いたいと思っても、犬が嫌いな入居者がいるかもしれません。
 でも、これらのことは決まりで縛られたり、援助者が決めてしまうのではなく、自分たちで話し合って解決するようにしています。どういう順番でお風呂に入るのか、献立をどうするかなど話あって決めます。我慢したり、譲り合うことが必要なこともあります。
 しかし、これらのことは家族で暮らしていても、同じことではないでしょうか。
 昼間は外で活動をし、夜はゆっくりとくつろげる暮らし、管理された生活ではなく、自分で、または自分たちで決める暮らし、こような普通の暮らしがグループホームにはあります。つまり、グループホームは入居者一人一人の自分の家なのです。
 
・お金を払って
 生活にかかる費用は、自分の生活費でまかないます。生活費に使うのは、給料、年金などです。生活費が足りない場合には、生活保護を利用することもできます。
 生活費の中から家賃、食費、水道光熱費など、生活するのに必要な経費を支払います。
 家賃は地域によって様々ですし、家賃補助がある自治体もあり、非常に差があります。
 1万円から4万円位までの幅があります。食費が2〜3万、他に水道光熱費や洗剤やトイレットペーパーなど共同で使う消耗品のお金をグループホームに払います。
 そのほか、自分の部屋で使うもの、洋服などは自分で買います。生活費をやりくりして、個人旅行を楽しんだり、好きなものを買ったりします。
 入所施設に比べてグループホームはお金がかかると言われます。その通りなのですが、家賃、食費、水道光熱費など自分で払うことが普通の暮らしなのではないでしょうか。
 選べないあてがいぶちの暮らしではなく、お金を払って自分の好きなものを選ぶ、これがグループホームの暮らしです。
 確かに年金が出ない人、あるいは給料がなく年金だけの人にとっては、これだけ負担するのは厳しいと思います。必要な場合は生活保護制度を利用できますが、就労の場の拡大や年金の充実など所得保障の充実が必要です。
 
・できないことは手伝います
 たとえばお金の管理が苦手という人、掃除や洗濯・ご飯をつくることができないという人、食事や入浴・トイレなどに介助を必要とする人など、その人の生活に必要なことは援助者が手伝います。グループホームの制度ができた最初の頃は、ちょっとした援助があれば地域で暮らせる人のみを対象としていたこともあって、グループホームというと自分で何でもできる人しか入居できないと誤解している人も多いのですが、現在は制度上は障害の程度に関わりなくグループホームに入居できます。
 入院が必要な程度の医療ケアが必要な人は入居できません。実際はグループホームによって、援助体制は様々です。また、制度が不十分なこともあり、重い障害がある人たちが入居できるグループホームは数が少ないのが現状です。
 以前は施設で訓練をし、いろいろなことが自分でできるようになった人だけがグループホームで暮らすと考えられていましたが(グループホームが目標)、今は、できないことは援助者が手伝って地域で暮らすのが当たり前と考えているグループホームが多くなってきました。(地域生活が基本)
 グループホームで生活したい暮らしたいと本人が思っていることが、グループホームに入居する条件です。
 
・障害の重い人こそグループホームで
 
 支援費制度が始まって、グループホームの世話人(援助者)だけでは十分に対応できないような援助が必要な入居者には、ホームヘルパーの派遣ができるようになりました。
 (以前も利用できたのですが、利用できる自治体は少なかったのです。)
 世話人とホームヘルパーがどう役割分担するのか、自治体によって派遣を認めないところがあるなど、課題は多くありますが、ホームヘルパーの利用ができるようになり、多くの援助が必要な人たちのグループホームの入居の可能性は広がりました。
 また、ガイドヘルパー(ホームヘルパーの移動介護)を利用して、休みの日に一人一人、別々に出かけられるようにもなりました。徐々にですが障害の重い人たちがグループホームで暮らせる可能性は広がっています。
 私たちは、障害の重い人たちにこそ、グループホームは必要だと考えます。
 医療ケアを必要とする人の入居は、現実的には難しい。
(医療スタッフの夜間勤務体制を組むのは難しい)
 
・誰が運営するのか
 グループホームで障害がある人たちがいきいきと暮らしていくには、グループホームでの援助の質をもっと高めていかなければなりません。
 グループホームの質を高めていくには、自分がどう暮らしたい、どういうグループホームで暮らしたいという障害のある人たちの思いや、家族の思いをグループホームの運営に反映させなければなりません。
 本人やその家族がグループホームの運営にどんどん参加すること、このことがこれからのグループホームにどうしても必要なことだと思います。
 
【まとめ】
 終の棲家とかは関係ありません。
 本人が決めることであり、「ずっと居たい」と思ったら、ずっといられる場所でないといけないと思います。
 いろいろな制度を使って運営することが必要となります。
 本人は本人の独立した生計でグループホームに住み、別世帯になり、本人の生活の場となります。
 重心の場合でも国のグループホーム制度は使えます。知的障害者のグループホーム制度(横浜市「朋」知的障害者通所更生施設)
 重複障害のある人は、身体障害と知的障害の制度をうまく使うこと。
 グループホームを立ち上げる際の課題として、施設を持っていないNPO法人はなかなか認めてもらえないという相談があり、前例がないかと調べたら、長野市でNPO法人がグループホームを立ち上げています。前例がないと断られることが多いが、全国的に調べてみると見つかる場合もあります。ホームヘルパーの利用等についても同様な事がいえます。
 運営に父母が関わっている場合が多く、今後の課題として、運営を担う人たちの事務費をつけていくことも必要となります。
 身体障害者のグループホームは、環境・アクセスが必要であり、細かい部分は別としても、なぜ必要なのか、考える身障のイメージをきちんと伝えることが重要となります。







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