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6. グループホームでの利用者負担は?
 支援費の利用者負担はありません。
 住宅費(家賃)、食事代、電気代、水道代、ガス代、電話代、新聞代、町内会費など共同で使用する費用
 北海道のグループホームの一人あたりの平均家賃負担は、14,352円(札幌市、旭川市を除く)
 北海道の都市部を除く一人の月のその他経費負担は4〜5万円の所が多い。
 
7. グループホームの世話人、スタッフの業務内容
 利用者への食事提供、共有部分の清掃、衛生管理、利用者の健康管理など、契約内容によっては金銭管理の援助まで行います。
 グループホームマニュアルには、一人ひとりの部屋の掃除ですとか、そこまでの支援との表現はしていません。ここが、ホームヘルプサービスを使えるか使えないかの市町村の考え方によって異なります。
 グループホームの支援費というのは、その人本人にくる支援費ですので、個室で生活している人の空間に支援する支援費ですので、グループホームを共有する支援費の考え方と、「自分の部屋のここだけどうしてもできない」という部分にホームヘルプの家事援助、身体介護を使うということは決しておかしくないことです。
 基本的に知的障がい者のグループホームの支援費の単価が低すぎるということもあるのではないでしょうか。もう少しグループホームの単価を上げて、障がいの重い人には、それなりの単価を上乗せしてヘルパーを使わなくとも、できるようなグループホームの支援費であれば、このような問題はないのではないでしょうか。
 東京都の重度身体障害者グループホーム制度では、国のグループホーム(区分1)に更に上乗せ加算をしています。
 障がいの重い人に関してのグループホームに人件費を上乗せしている。上乗せした部分ではガイドラインを決めて、世話人を2人体制で支援していることや、そういった状況を見て更にまだ足りないのであれば、居宅介護でのホームヘルパーで補うやり方をしています。こういった整備が国レベルの合意で行われていないのでグループホームでホームヘルプを使う市町村もあれば、使わない市町村もあり、そういったところは市町村の都合によるものと思われます。
 これからは、グループホームのスタッフの質をどう高めていくか。
 障がいの重い人がグループホームで生活していく時に、特に医療的なケアが必要とする人がグループホームを利用するときなど、そういったことを考える時、世話人の業務はどうなるのか。これから考えて論議していく必要があります。
 
8. グループホーム利用者が利用できる支援費
居宅生活支援
居宅介護
身体介護、家事援助、移動介護(ガイドヘルプ)
デイサービス
短期入所(緊急の場合、市町村が必要とした場合)
 
施設訓練等支援費
通所施設、通所部、分場
*介護保険の適用の65才以上の人が居宅のホームヘルプサービスを受ける場合は、介護保険のサービスが優先される。しかし、支援費の居宅介護が使えないというわけではない。
*グループホームで生活し、日中活動は通所更生施設に通い。土日はデイサービスを使ったり、ガイドヘルプで外出したり、また生活介護で身体介護のヘルパーに入浴介護を手伝ってもらったり、家事援助で部屋の掃除なども利用しているケースもある。
 
9. ホームヘルプの利用の制限問題(グループホームに居住する場合)
 家事援助を認めていない市町村がある。(札幌市など)
家事援助を認めていない市町村の考え方
 グループホームには世話人がいるし、バックアップの職員がいるのでホームヘルパーを家事援助で派遣しなくてもいいのではないか。
 でも、グループホームの個室で生活している人の部屋の片づけ、掃除などは個人的範疇(はんちゅう)、世話人は共有部分の掃除などを担当。
 
10. グループホームは共同住宅
 消防法では共同住宅とみなされています。
 従ってカーテン、カーペットは防炎加工が必要。消化器も台所、1階、2階の居室、外の灯油タンクの所などに必要。
 市町村の消防署の考え方で若干違います。避難誘導灯も必要な地域もあります。
 
11. グループホームは入所施設で生活している人が地域生活移行する最初の居住形態
 グループホームは終の棲家ではない。
 やがてここから、アパート生活や自宅を持ったり、結婚したりと生活が広がっていく。
 (通過型)
 
12. グループホームは個室が原則
 少なくとも四畳半(これでは狭い)
 事情があって二人部屋でも六畳以上(これでも狭い)
 居室の快適さが今後の課題(個室に専用トイレとか洗面台があるとか)
 
13. どんな障がいがあっても地域で暮らすためには、何が必要か?
 グループホームを利用するとしたら
(1)グループホームの家賃補助が必要
大都市などでは家賃が高い
(2)ホームヘルパーも必要な時間数使える
 より障がいの重い人がグループホームで生活するとき、かなり困難性がある。
(3)グループホームから日中活動へ通うところが必要
 養護学校卒業後、行く場所がないといった現実
 通所施設、デイサービス、作業所等、社会資源を作っていく必要がある。
(4)障害基礎年金だけでは生活ができない場合、生活保護の受給も検討
 
14. 未来のグループホーム、諸外国から学ぶもの
 スウェーデンでは施設解体を進めるときに、国民に理解してもらうための説明はどうしたのか。「同時代に生きる同世代としての当たり前の生活をめざす」寝室、リビング、キッチン、トイレ、シャワー室−これが北欧の当たり前の一人の居住スペース。
 日本のグループホームは日本の居住生活の実態なのか。これを改善する必要があります。
 入所施設が4人部屋だからグループホームが一人部屋でこれがよいではダメ、質の高い居住環境を用意していく必要があります。
 
15. 身体障害者のグループホームは?
 いくつかの都府県政令指定都市では単独補助を出し、身体障害者のグループホームを社会福祉法人やNPO法人で運営しています。
 
16. 身体障害領域だけがグループホームが必要でないとは言えない
 制度的にグループホームがないので福祉ホームが5人以上で運営できるようになりました。でも福祉ホームはある程度の自立度が要求されます。
 どんな障がいがあっても、住む所の選択は当事者にあるべきです。以前は親、兄弟家族が入所施設を選択していました。施設から出てひとり暮らしを目指す人もいるであろうし。最初はひとり暮らしが不安だという人もいるはずです。数人の共同生活を経て、独り暮らしをする人もいるはずです。でも、グループホームは決して終の棲家ではありません。それぞれの人生の一過程です。ここから結婚を目指す人もいるだろうし、独り暮らしを目指す人もいます。
 
17. 重度身体障害者のグループホームの環境条件
 知的、精神の障がいと一番違うことは、移動と身体介護が必要な環境に住環境が適切に用意されているかが一番重要です。
 したがって、知的な障がいのある人たちのグループホームの一部屋の基準では狭すぎます。最低でもベットと車いすが不自由なく使える環境。許せば個室ごとに洗面所、トイレを設置すべきです。また、エレベーター、介護リフト、移動リフト、階段昇降機などの設置、バリアフリーな浴室なども必要となってきます。
 
18. 重度身体障害者グループホームを作るとしたら
 当面は知的障がいのグループホームで区分1の支援費を受給して、グループホームでホームヘルプを使い生活して、この実績で市町村に独自な補助制度の訴えをしていくこと。
 自立体験、グループホーム体験の住宅を作っていき、当面はショートステイホームなどを運営して支援費の短期入所を使い自立体験、宿泊体験をしていく。
 グループホームは社会福祉法人だけではなく、今はNPOなども運営、バックアップできるようになっています。
 
19. グループホームの予算だけでは運営できないグループホームの現状
 ホームヘルパーとの協力で運営できる現状
 
20. ノーマライゼーションからインクルージョン社会へ
 入所施設からの地域生活移行は加速度的に進んでいきます。従ってグループホームは終の棲家ではないが、毎年増設していかなければなりません。
 養護学校卒業生もストレートに入所施設を選択する人は減ってくると思われます。在宅で高齢になった人もグループホームを利用するようになってきます。精神病院で社会的入院をしている人もグループホームを利用するようになってくると思われます。
 従って、地域でのグループホームの存在意義は大きく、地域でごく自然にグループホームがあり、利用する人が地域に溶け込んで生活し、困ったとき、必要なときに地域住民に協力してもらい、生活していく、地域、コミュニティで人として普通に暮らしていくこと。
 このような街づくり、コミュニティづくりを目指していきましょう。
 障がいの枠を越えて、地域でどう支えていくかという運動が必要となります。障がいの枠を越えて、地域で集える場所とか或いは通う場所とか、そういう場所をどんどん作っていかないと地域生活に移行していった時に、日中活動の場はどこにあるのかと考えたときに、周りに何もないことになり、非常に寂しいことになります。
 障がいの重い人たちをどう支援して、どう生活していくということを今後考えて、重度身体障害者グループホームを制度化する必要があります。







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